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第9回 | 日産の最新車デザイン・性能情報をお届け

すごすぎる災害救援車──日産タイタンが人と動物を救う

毎年秋にラスベガスで開催される「SEMA SHOW(セマ・ショー)」は、本来はアフターマーケットパーツの展示会だった。しかし、いつしか自動車メーカーやパーツメーカーといった企業がデモカーやコンセプトモデルを発表する場へと発展。昨年11月のショーでは、3年ぶりに参加した日産自動車が『タイタン』をベースにした二台の特殊車両を発表して話題になった。なぜなら、それはパワーやデコレーションを競ったこれ見よがしなショーカーではなく、災害救助をテーマにしたシリアスかつ高機能な車両だったからだ。

日産タイタンの災害救援車両が示唆するピックアップトラックの新たな可能性とは?

『タイタン』は日産が初めて生産したフルサイズのピックアップトラックである。初代は2003年にデビューし、二世代目となる現行モデルは2015年に発表された。

とはいえ、日本ではなじみが薄いに違いない。なにしろ、その全長は約5700mmあり、全高も約1900mm。このサイズでわかるとおり、『タイタン』は北米でビッグスリー(ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラー)に対抗するべく投入された巨大なピックアップトラックだからだ。初代も現行もアメリカで発表され、日本では販売されていない。

SEMAショーに出品された二台の『タイタン』は、いずれも「Calling All TITAN(すべてのタイタン愛好者への呼びかけ)」と題した日産主体のキャンペーンで集めた寄付によって開発された。ピックアップトラックの新たな可能性を示唆する車両といってもいい。

たとえば、『Ultimate Service(究極のサービス)TITAN』と名づけられたそのうちの一台は、アメリカン・レッドクロス(米国赤十字社)との協力関係で生まれた災害救援車なのだが、内容がユニークかつ先進的で、その発想には大いに学ぶべき点があるのだ。

その名は「究極のサービス」。米国赤十字社と共同開発した応急処置機能のユニット

日産は、この車両を「移動式コマンド及び応急処置機能のユニット」としている。簡単にいえば、救急車と先進的な通信機器を組み合わせ、そこへ救護活動のための数々のアイデアを合体させたのがこの車両だ。応急処置用のベッドサイドに高速の通信機器と連動したパソコンとモニターを備えることで、あらゆるケガや病気の最先端処置技術について情報や指示を得られる。血液の鮮度を保つ装備をもち、その供給配達車にもなりうるという。

ストーブや食料供給のための調理設備(冷蔵庫、電子レンジ、湯沸かし器)も装備し、災害時には当然、被災者支援のための休憩所ともなる。なかでもユニークで先進的なのは、Wi-Fiスポットと複数の発電機によってバックアップされたモバイルコマンドセンターとしても機能することだ。アメリカでは近年、ハリケーンによる被害が拡大し、スマートフォンなどの通信機器が使用できなくなる事態が多発。それによる混乱も生じている。

もちろん、被災地に到達するための踏破能力も高められている。SEMAショーに出品されたのは、この見本市にふさわしいパーツ群を装備するためだ。一例を挙げれば、ICONの3インチ・リフトサスやデザート、ADD Offroadのステルスバンパー、WARN ZEONのウインチ、B&Sのベッドボックス、Baja DesignsのLED照明といった具合である。

エンジンはパワフルな5.0Lのディーゼルターボだが、これだけの装備を搭載するとボディサイズはどうしても大きくなる。日本で運用するのはむずかしいかもしれない。

もう一台は「動物の足跡」。動物救助隊と連携して開発された自然災害時の動物救護車

もう一台は『PAWS ONE(動物の足跡)』とネーミングされた動物救護車。自然災害時や災害後の動物救助隊として設立された「ARR(Animal Rescue Rigs=アニマル・レスキュー・リグ)」というNPO法人との連携によって開発された。

もともとARRは多数の自動車関連企業との協力関係によって生まれた組織で、米国政府から税制上もっとも優遇される内国歳入法501条(c)(3)団体に指定されている。『PAWS ONE』には、そのアドバイスを最大限に生かしたカスタムが施されているという。

パワーユニットは5.6LのV8ガソリンエンジン。Rough Countryの6インチ・リフトアップ、HARD NOTCHED CUSTOMSのサンドイッチバンパー、12000ポンドの牽引力をもつSmittybiltのウインチ、Bushwackerのフェンダー、BEDSLIDEの収納ユニットなどを装備する。さらに救出用の斧、シャベル、水濾過システム、動物用ハーネスなどが追加される予定だという。極めつきはルーフラックに搭載されたZODIACのボートだろう。むろん動物たちの捜索救助活動に使用するものだが、これは米軍特殊部隊が使用しているミリタリーグレードで、民間用とは比べものにならない耐久性が与えられている。

1999年に大型ハリケーン「フロイド」が発生した際には、250万に上るペットや家畜が被害に遭い、2005年の「カトリーナ」の被害はそれを上回ったとされている。被災したペットのうち、その80%が飼い主に再会できなかったという。その意味でARRの役割は大きく、支援者が増えているのもアメリカ人らしいマインドといえるだろう。

北米ピックアップトラック市場における日産タイタンの評価はあまりにも低すぎる?

『タイタン』は、北米のピックアップトラック市場で販売台数のトップ10にはランクインしているものの、2018年上半期は前年同期比マイナス4.8%の2万3294台。ビッグスリーには依然大きく水をあけられている。なにしろ、首位のフォード『Fシリーズ』は45万1138台、2位のシボレー『シルバラード』は29万1074台、3位のラム『ピックアップ』は23万3539台も販売しているのだから、文字どおりケタ違いの差だ。

しかし、多くの自動車専門家は、『タイタン』の性能と装備内容から考えると、まだまだ世間の評価が低すぎるとも語っている。『Ultimate Service TITAN』と『PAWS ONE』という二台の災害救援車は、きっと『タイタン』に良い刺激をもたらすに違いない。

Text by Koji Okamura
Photo by (C) Nissan USA
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
Nissan Ultimate Service TITAN オフィシャル動画
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