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- 相談しにくいセクハラ・パワハラ対策【初級編】 -

女性部下を接待に帯同。上司として注意すべきポイントは?

場合によっては会社の業績にも影響する、取引先とのお付き合い。接待の場を盛り上げるため部下たちに協力を求めるのは、ある意味で正当な行為かもしれない。しかし、ここで注意したいのが女性部下に対する配慮だ。古い考えのままでいると、セクハラはもちろん、それ以上の罪に問われる可能性もあるという。詳しい話を弁護士の飯塚恵美子さんに聞いた。

今回のアドバイザー

飯塚恵美子

弁護士法人ITJ家庭法律事務所 弁護士

東北大学法学部卒業。東京弁護士会所属。離婚や相続など、家庭問題を主として扱うITJ家庭法律事務所の代表弁護士。

「接待要員」として部下に帯同を求めるのは、セクハラ以外の罪に問われる場合も

いわゆる“仕事上のお付き合い”としては、当然の行為ともいえる宴席への部下の帯同。それだけに、女性に限り帯同を求めることがセクハラに該当するといわれると、正直釈然としない上司もいるだろう。そもそも、女性部下を仕事関係の宴席に帯同させる行為自体が、本当にセクハラと認定される可能性はあるのだろうか?

「たとえ部下であり仕事上の付き合いとはいえ、女性をあからさまに接待要員として接待の席に帯同させる行為は、セクハラと認定される可能性が高いといえるでしょう。そもそも、セクシュアルな存在として男性を楽しませるという内容は、業務契約に含まれていないはず。コンパニオンとして働いているのではない限り、業務以外の行為を強要するのはNGなのです」(飯塚さん、以下同)

とはいえ大半の上司は、「コンパニオン役を任せよう」というような明確な意思を持って帯同を求めているわけではないだろう。しかし飯塚さんは、それでもリスクがあることに変わりはないという。

「接待要員としての帯同を意識していなかったとしても、何も説明せずに取引先との飲み会に同席させるのはグレーゾーン。『女性だから』という理由でお茶くみを命じたことがセクハラ認定されたのと同様に、宴席への帯同がセクシャルな目的だと女性側が受け止めたら、セクハラと判断されても不自然ではないのです」

また飯塚さんによれば、接待要員として宴席に女性を帯同させる行為は、セクハラだけでなく「強要罪」に問われる危険性もあるという。

「“強要”とは、法律的にはやる義務がないことをやらせること。余程ひどい場合以外、警察も立件はしませんが、女性部下に接待や同席を無理強いするようならば、強要罪に該当する可能性も否定できません。『お酒を御酌させる』、『料理を取りわけさせる』といったことも、無理強いするようならば同様に強要罪になる可能性があります」

宴席とはいえ「仕事の場」なのを忘れず、上司としての責任を果たすべき

仕事関係の宴席とはいえ、女性部下に帯同を求める行為がセクハラと捉えられる可能性が高いことは、よくわかった。しかし現実的には、純粋な“仕事のパートナー”として、女性部下を帯同したい場合も多いはず。その際の注意点について、飯塚さんにアドバイスを求めた。

「もっとも大切なのは、宴席への帯同が業務に関係する仕事であることを、事前にしっかりと説明しておくこと。また、その上で部下の了承を得ることです。もちろん『お酒を注がせる』、『料理を取りわけさせる』といった行為の強要は絶対にNG。必要があると思った場合は、部下が納得し自分の意志で実践するよう促すため、まずは上司がお酌をしてみせるなどの“お手本”を示すことも大事かもしれませんね」

さらに注意すべきなのが、帯同した女性部下を“守る”こと。宴席でのハプニングだからといって、見過ごしてしまうのは決して許される行為ではないという。

「見て見ぬふりするのは絶対にいけません。上司には、部下が安全を確保しつつ労働することができるよう配慮をしなければいけない『安全配慮義務』という責任があるからです。セクハラ行為を看過することは、安全配慮義務違反に問われ、損害賠償を支払わなければいけないケースもあります。セクハラに近い行為を目撃したら『自然に割って入る』、『女性部下を外に連れ出す』など、適切な対処をしてください」

“仕事上のお付き合い”とは、即ち仕事そのもの。要するに宴席であっても、日中の会議や商談の場と変わらないのだという意識をもって、上司としての役割と配慮を忘れずにいるべき、ということなのだ。

最後にアドバイザーからひと言

「ビジネスマナーとして『部下は率先して上司に酒を注ぐ』とありますが、最近の風潮としては、これもパワハラやセクハラに問われる危険性があるので十分注意してください」

Text by Katsuya Hokonoki(Seidansha)
Edit by Kei Ishii(Seidansha)