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第14回 | 相談しにくいセクハラ・パワハラ対策【初級編】

自己防衛はどこまで可能? セクハラ冤罪の予防策とは

責任ある立場に就いている40代以上の男性にとっては、まさに死活問題ともなり得る「セクハラ冤罪」。自分では、まったくその気がなかったつもりでも、訴えられた場合ほとんどのケースで「黒」に近い判定が下されるというから恐ろしい。セクハラ冤罪から自分を守るための対策はあるのか? 専門家の意見を聞いた。
今回のアドバイザー
飯塚惠美子
弁護士法人ITJ家庭法律事務所 弁護士
東北大学法学部卒業。東京弁護士会所属。離婚や相続など、家庭問題を主として扱うITJ家庭法律事務所の代表弁護士。

セクハラ冤罪は訴えられた時点でダメージが大きい。初めから示談を目指すケースも多い

そもそも、セクハラ冤罪とは何か。セクハラ問題に詳しい、弁護士の飯塚惠美子さんに聞いた。

「セクハラ冤罪とは、実際にはなかったセクシャルハラスメントを、民事や刑事、社内のセクハラ委員会などで認定されてしまうこと。民事事件や社内委員会で問題になった場合は、本当に触ったという証拠がなくても、女性の意見が通りやすいのです。一方、刑事事件では科学的調査の進歩によって、以前よりは有罪になりにくくなっています。しかし科学調査は費用がかさむため、一部の事件などでしか使われません。そのため、結局は無実の主張をあきらめてしまうケースもあるようです」(飯塚さん、以下同)

女性側の証言が通りやすいセクハラ冤罪。男性側は無実の主張をあきらめ、示談に持っていくことになるケースが多いという。

「基本的に、世間体などを考え、男性側は初めから示談や和解に持ち込もうという場合が多いです。セクハラ冤罪は、訴えられた時点ですでにかなり難しい状況。仮に男性側が『やっていない』と主張しても、絶対にやっていないと言えるだけの証拠がないと、相手方からのかなり具体的な内容での訴訟提起があれば、勝訴を勝ち取るのは難しいことがあります。たとえば、2人きりではあったけれど、ドアを空けていて誰からも見える状況だったとか。ただ、そこまでわかりやすい状況ではない場合のほうが多いのではないでしょうか」

女性と2人きりの状況はNG。ときには、録音機器を使って証拠を残す必要も

セクハラ冤罪において、セクハラの不存在を明らかにするのが難しいということがわかった。それだけに、普段からの心がけが重要だ。特に、女性と2人きりになる状況は、できる限り避けるべきだという。

「セクハラ冤罪において、事後にセクハラの不存在の証拠を集めるのは難しいと思います。したがって、普段から心がけるべきなのが、女性と2人きりになる状況を避けること。たとえば、飲食店を利用するときは個室を避けて、他の客から見えやすい席を選ぶべき。また、お酒に酔って体調が悪くなった女性を介抱する場合は、部屋に到着するまで従業員に付き添ってもらい、女性だけを部屋に残して自分はロビーで待ちましょう。このぐらい、2人きりにならないための細心の注意が必要なのです」

さらに、どうしても2人きりが避けられない状況では、録音機器を使用するのもひとつの手だ。

「ときには、部下から『どうしても2人きりで相談がしたい』と懇願されるなど、2人きりにならざるを得ない状況もあるでしょう。そんな場合は『僕も間違えたことを言ってしまうといけないから、録音しておくね』『あとから違うことを言ってしまうと困るから、確認のために録音するね』など、自然な流れで会話の録音をするという方法をオススメします。もし拒否されてしまったら、『二人だと難しいから、他の人にも聞いてもらおうか』と第三者を場に連れていきましょう。とにかく、2人きりで何の証拠もない、という状況は避けるべきですね」

思いがけない場面でセクハラを訴えられることも。社内のセクハラ委員会にも注意

飯塚さんによると、特に職場内でのやり取りには注意が必要だという。思いがけない場面でセクハラを訴えられることもあるそう。

「過去には、仕事がうまくいった部下を祝うため、打ち上げで奢ったら、『本当は他の人たちと一緒に行きたかったのに、無理やり2人きりにされてしまった』とセクハラを訴えられてしまったというケースがありました。特にお酒の場だと、男性側への不信感は強まるため注意しなければなりません。また、仲の良い同僚相手でも、プライベートな会話には配慮が必要です。たとえば、奥さんに関する相談をしていて、初めのうちは『私がその話、聞いてあげる』と乗り気だったのに、セクハラを訴えられてしまったというケースもあります」

また、大企業などではセクハラ委員会などが構成されていることが多いが、上長の判断だけでセクハラを認定するなど、必ずしも統制がとれているというわけではないようだ。

「パワハラやセクハラ委員会などの社内委員会は、まだまだ歴史が浅いため、客観的な事実ではなく、上長一人の判断で、女性側の主張を丸呑みしてしまうところもあります。特に、社外の人から訴えられた場合は、『今後の関係もあるから、とりあえずセクハラを認めさせてしまえ』ということも。軟禁状態にされて、無理やり証言させられたという話も聞きました」

飯塚さんの話にもあるとおり、男性にとってはかなり厳しい状況と言わざるをえないセクハラ冤罪に関する問題。具体的な注意はもちろんのこと、トラブルを避けるためには、やはり本質的に「セクハラ」について考える必要があるだろう。

最後にアドバイザーからひと言

「本人がどんなにやっていないと言っても、一度訴えられてしまえば厳しい状況になります。普段からセクハラ冤罪の可能性が少しでもあると感じたら女性と2人きりにならないように心がけて生活しましょう」

Text by Shogo Fuse(Seidansha)
Edit by Kei Ishii(Seidansha)

取材協力
ITJ法律事務所

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