大人のための最新自動車事情/スーパースポーツの新たな概念を打ち立てる『McLaren 570S Coupe』
- スーパーカーブランド【マクラーレン】 -

スーパースポーツの新たな概念を打ち立てる『McLaren 570S Coupe』

ロンドン市内から電車で50分弱。「マクラーレン・テクノロジー・センター」は、サリー州ウォーキングの森林地帯に存在感を漂わせる近未来的な建物だ。F1の名門チーム「マクラーレン」の本拠地で、最新テクノロジーを駆使したF1マシンの研究・開発の要である。そして、「マクラーレン・オートモーティブ」のスーパースポーツカーも、この場所で開発・生産されている。

エントリーモデルながら競合ブランドのフラッグシップを凌ぐほどのポテンシャル

「マクラーレン・オートモーティブ」は、F1で培ったテクノロジーを活かしたラグジュアリーかつハイパフォーマンスなスポーツカーを製造する自動車ブランドだ。ラインナップは、最上位のスーパースポーツ「アルティメットシリーズ」、主力スーパーカー「スーパーシリーズ」、そして、エントリーモデルの「スポーツシリーズ」で構成。6月5日に日本で初公開された『McLaren 570S Coupe』は、エントリーモデルである「スポーツシリーズ」にあたる。エントリーモデルといっても、2556万円という価格は、他のスーパースポーツのフラッグシップに相当。さすがF1技術の粋を集めた1台というべきだろう。

F1技術のフィードバックという点では、素材がもっともわかりやすい。『McLaren 570S Coupe』は、F1マシンである『McLaren MP4/1』などと同じく、シャーシにカーボン・ファイバーを採用。また、エクステリア・パネルにはカーボン・ファイバーを使い、主要なコンポーネントの重量を平均50%削減した。乾燥重量1313kgは、類似の競合モデルと比較すると150kg近く軽いという。

脅威の加速を最新テクノロジーで制御

軽量化された車体を押し出す心臓は、3.8リッターV8ツインターボ・エンジンの進化型。パワーウェイトレシオは、クラス最高レベルの434PS/tonを実現。0km-100km/hを3.2秒で加速する。

この暴力的な加速を制御するのが、新たに開発されたサスペンションシステムだ。フロントとリアに取りつけた可変ダンパーとデュアルウィッシュボーン。オンロードでもサーキットでも高い操作性と洗練性を約束してくれる。ハンドリングは、洗練されつつも操作性の高い走りの「ノーマル」、サーキット向けのドライビング・エクスペリエンスを堪能できる「スポーツ」「トラック」の3つモードから設定可能だ。

エクステリアのシルエットは、鍛えた抜かれたアスリートが持つ肉体の美しさを思い起こさせる。特にこだわったのが、エアロダイナミクスだ。ボンネットはフロント・ホイールアーチ上に空気を送り込むように成形。外側斜め前方に持ち上がるディヘイドラルドアも、複雑な形ながら流れる空気をボディに沿うようにエンジン・ベイまで導いてくれる。また、フライング・バットレス(垂直なリアガラスとサイドウォールから造られる構造)は、気流をリアデッキへ送り込むことにより、ダウンフォースを増大させる。

まるでジキルとハイド。車内に乗り込めばラグジュアリーなインテリアが広がる

なんともスパルタンな動力性能と空力性能だが、車内に乗り込めばそこはラグジュアリーの一言につきる。スポーツシートは、良好な視界と最高の乗り心地を提供。ハンドクラフト・レザーに包まれたキャビンには、Bowers & Wilkins社製ステレオシステムが採用され、ドライブ中に極上の音楽を奏でてくれる。
卓越したパフォーマンス、群を抜いた高級感、レースで培われた技術的イノベーションを兼ね備える『McLaren 570S Coupe』を、「マクラーレン・オートモーティブ」は「スポーツカー世界におけるブラックスワン」と例える。ありえないことが起こり、世界を一変させることを意味するブラックスワン。そんな例えをされる1台に、心惹かれないわけがない。

Text by Tsukasa Sasabayashi