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第31回 | 酒?料理?個室?目的別の接待の切り札店

「祢保希(ねぼけ)銀座店」──土佐料理の店で海の肉、鯨肉を味わう

接待やデートで、経験豊富な大人の男性らしいお店選びをしたいなら、敢えて王道を避けてみるのもひとつの手。グルメ事情に精通している「わかっている男」を演出するのであれば、「肉」のチョイスにもひと工夫したいものだ。そこで今回紹介してみたいのが、ある世代にとっては懐かしく、ある世代には新鮮な驚きをもって迎えられるに違いない「肉」を味わうことができる土佐料理の店「祢保希 銀座店」。捕鯨の地、土佐といえば忘れてはならない「鯨料理」を提供する名店だ。

創業100年を迎えた老舗の信用で入手する鯨肉

1917年に高知で創業した老舗「祢保希(ねぼけ)」。なんとも変わったこの店名は、サンスクリット語の「幸せ」に由来するという。銀座7丁目、5階建ての自社ビルで営業するここ「祢保希 銀座店」は都内4店舗目にあたるが、それでも38年の歴史がある。ちなみに、「土佐料理」の名付け親は、先代社長だというから驚きだ。

「長崎の五島列島から毎日、朝獲りの産地直送で仕入れた魚介料理が店の自慢ですが、鯨料理を目当てに食べにくるお客様も多くいらっしゃいます。もちろん、鯨肉の仕入れ、調理に自信を持っておりますが、好きな人はこちらが驚くぐらい鯨料理ばかりをお食べになっています。特に希少な尾の身の刺身などは、これだけを3皿頼む方もいるぐらいです」(銀座店料理長・渡辺さん)

ご存知のように、鯨肉は調査捕鯨の副産物という扱いであり、牛豚鶏の流通とは異なる。祢保希は鯨料理専門店でこそないものの、これまでの実績や長年の取引で培った信用から、普通はなかなか難しい量の仕入れが可能になっているとのこと。夏のカツオ、冬のクエが看板というが、鯨料理もこの店の目玉のひとつに違いない。

昨今では珍味カテゴリにとらえられかねない鯨肉。希少・高級化する以前の“B級グルメ”だった時代を知る読者も多いことだろう。なかにはクセの強い、ようは牛豚に比べていまひとつ美味しさを感じられなかったという記憶の残る人もいるかもしれない。

「残念ながらそうしたイメージは強いですね。しかし、最近の鯨肉は昔とは別物と思ったほうがいいほど質が高くなっています。なにより冷凍、物流の進化で鮮度がまったく違いますから。店に冷凍の状態で届くパックにしろ、以前は大きな塊でしたが、最近は小わけされており、適切な解凍もやりやすくなっています。いわば、本当の鯨肉の美味しさが味わえる環境が整ってきたといえますね」

とはいえ、最近行った別の居酒屋で頼んだ鯨の竜田揚げは、それなりにクセがあったような? そんな疑問を素直にぶつけてみれば「そこは、解凍、血抜きにも技術がありますから」とのこと。ごもっともである。

牛豚馬羊どの肉とも違う魅力! 改めて見直したい鯨料理

そんな祢保希で、鯨料理接待をするならば7000円から価格別にA・B・Cと揃った「鯨ハリハリ鍋コース」になるだろう。そのうち、最上級のCコース(1万円)で楽しめる、「尾の身刺身」「鯨串カツ」「ハリハリ鍋」をいただいてみた。

「鯨串カツ」は、縮めて「鯨(げい)カツ」とも呼ばれている、アラカルトでも人気のメニューだ。油で揚げることにより、より凝縮された鯨肉の風味、旨味が楽しめる。食感でいえば、牛のヒレカツに近いが、肉の風味は牛とは異なる。馬や鹿に近いような気もするが、あえて無理に例える意味はないだろう。鯨の味、としかいいようはないが嫌なクセはない。カレー粉を隠し味に使っているというソースは果物やスパイスなどからつくった自家製。ビール、ハイボールなど炭酸系がグイグイ進む味である。

そして、この店の看板メニューでもある「ハリハリ鍋」(ハリハリうどん)。コースでは「ハリハリ鍋」と、残ったつゆに入れる締めの「うどん」にわかれるが、今回は同様の味が楽しめ、またアラカルトでも1人前から注文できる「ハリハリうどん」でいただいてみた。

宗田節、鰹節と昆布でとったという出汁は薄味であっさりとしたものだが、そこに鯨ベーコンでもおなじみ「うねす」の薄切りが加わり、滲み出る脂の甘み、風味が複雑な旨味を醸し出している。うどんは細身だが、つるつるとした喉越しと、細さに見合わぬコシが特徴の「稲庭うどん」を使用。これがまた、鯨の味が滲み出た出汁によくあっている。

メイン写真でも紹介しているように、見た目こそA4クラスの高級和牛のカルビのような見た目の「尾の身の刺身」だが、味はまったくの別物。鯨カツで感じたのと同じように、他のどの肉とも違うやはり「鯨の味」としかいいようがないが、それ以上にその違いが魅力的に感じられた一皿だった。脂も肉も、甘さを舌の上で広げながらなんとも言えない感触を残し溶けていってしまう。一度に数皿頼む客もいるというのも納得である。

全部で19もの個室があり、接待その他のビジネス利用には万全。それでいて銀座のお店でありながら、席料もなし(写真・最上階の特別室のみ有料)なのが嬉しい。昔食べたあの鯨肉とはもはや別物、そして牛豚馬羊…どの肉とも違う魅力のある鯨肉が楽しめるこちらのお店は、「鯨なんて」と、かつての鯨を知る年代の接待にこそオススメしたい。もちろん、酒どころ高知の日本酒も多く取り揃えている。鯨飲といわずとも、接待先と深い酒が酌み交わせることは、間違いなさそうだ。

Text by Masayuki Utsunomiya
Edit by Kei Ishii(Seidansha)

店舗情報
土佐料理 祢保希 銀座店
住所 東京都中央区銀座7-6-8 西五番街通
営業 月〜金 17:00〜22:30(L.O.21:30)、土16:00〜21:30(L.O.20:30)
休 日・祝
TEL 03-3572-9640

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