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第13回 | 40代からの身近な病気 内容と対策を知っておこう

「サルコペニア肥満」を予防して生涯現役の男になる

見た目に太っていなくても、筋肉が少なく脂肪が非常に多い状態の「サルコペニア肥満」。進行が進むと日常生活での動きや行動に制限が生じるようになり、ひいては軽い転倒での骨折や、寝たきり生活になるリスクが高まってしまうという恐ろしい病気だ。では、40代の今のうちからサルコペニア肥満を防ぐためには、どのようなことに気をつければよいのか? サルコペニア研究を専門とする医師・飛田哲朗先生にアドバイスをいただいた。
今回のアドバイザー
飛田哲朗(ひだてつろう)
医師
名古屋大学医学部を卒業後、医学博士号を取得。整形外科専門医、脊椎脊髄外科指導医として医療の現場に就く。サルコペニアに起因する骨粗鬆症性骨折をなんとか防ぎたいという思いからサルコペニアの研究に従事する。現在、名古屋第二赤十字病院 脊椎脊髄センターに勤める。

サルコペニア肥満予防の第一歩「食事制限」で負のスパイラルを脱するべし

加齢とともに筋力が低下するサルコペニアに、肥満を併発した病状を指す『サルコペニア肥満』。筋力がないので体を動かさず、体を動かさないので肥満が悪化する…という悪循環を起こしてしまいがちだ。いずれ寝たきりなどになってしまわないよう、早めの予防が必要となる。

飛田先生「サルコペニア肥満を予防するための具体的な方法は、大きく3つあげられます。

1つ目は『食事量を減らす』こと。
肥満を解消するには摂取カロリーを減らすか、消費カロリーを増やすしか方法はありません。ただし、ファスティングのような過度の食事制限は禁物。過度の食事制限を行うとかえって筋肉量が減ってしまいます。

食事制限の結果、血液の中の糖分が減ると、まず筋肉のタンパク質が分解しアミノ酸から糖分を作り出します。脂肪の分解は筋肉の分解よりも遅れて起きるのです。そのため過度の絶食を行うと筋肉量が減り、一見すると体重が減りダイエットに成功したかのように思えます。しかし、この体重減少は一時的なもので、筋肉が減った分だけ基礎代謝量も減ってしまい、すこし食事量を増やしただけで体重がリバウンドしやすい体質になってしまいます」

「サルコペニア」状態に陥らないために、こまめな運動で筋肉量をキープしよう

食事療法で脂肪を減少させても、筋肉量が減少してしまっては「サルコペニア」状態を防ぐことはできない。そのために必要なのは、やはり運動だ。

飛田先生「2つめの予防法は『習慣的に運動する』こと。息が弾み汗をかく程度の運動、一回30分以上、週に2回を目標にしましょう。
生活習慣病の予防と同様に、習慣的に運動をして筋肉量を維持することがサルコペニア肥満の予防に有用であると考えられます。医師である私自身は、手術のため一日の多くを立ち仕事をしています。それに加えて、なるべくエレベーターを使わず階段を使ったり、通勤に自転車を使ったりして習慣的に運動をするように心がけています。

スマホの身体活動量計アプリを使うのも有効です。がんばった分がスマホですぐに確認できるので、結果を見るのが楽しくてやりがいになります。ただし、軽度の運動では筋肉量を維持することはできますが、筋肉量を増やすまでには至りません」

2つの筋トレが習慣になれば、筋肉が効率的に増やせる

日常的な運動では、筋肉の量をキープすることはできても増やすことができない。筋肉量を増やすことに特化した対策も不可欠なのだ。

飛田先生「3つ目の予防法は、『筋トレをする』ことです。レジスタンストレーニング、いわゆる『筋トレ』は中高年においても筋量を増加させる効果があります。特に、『ビッグ・スリー』と呼ばれる、大胸筋、大腿四頭筋、広背筋はボリュームが多く、トレーニングの効果が出やすい筋肉として知られています。サルコペニア肥満の予防においても「ビッグ・スリー」を鍛えることは有効です。ウェイトトレーニングをする際には、これらの筋肉を重点的に鍛えましょう。

しかし、筋トレの問題点は、なんといってもツライことです(笑)。私自身、学生でスポーツをしていた頃はなんとかがんばって筋トレをしましたが、社会人になって忙しくなるとウェイトトレーニングのような本格的で苦しい筋トレをする精神的余裕と時間の余裕がなくなってしまいました。

ウェイトトレーニングをする余裕のない方は、大腿四頭筋を効果的に鍛える『スクワット』と、バランス力を鍛える『方足立ち』の2つのトレーニングだけでも行って下さい。このトレーニングはロコモティブ・シンドロームの予防法、通称『ロコトレ』と同じものなので、ロコモの予防が気になる方にはうってつけです」

「サルコペニア肥満は可逆的な病態」と飛田先生は語る。現在のところサルコペニア肥満の治療法は、運動療法と食事療法。すなわち、予防法と同じように摂取カロリーを減らして肥満の治療を行い、運動をして筋量を増やすことによって治療することができるそう。いまはまだ筋力も多い健康体という人も、すでにサルコペニア肥満の予兆があるという人も、上記の予防法を習慣にして「生涯現役の男」を目指そう。

最後にアドバイザーからひと言

「まずは日常生活の中に運動習慣を取り入れましょう。心と時間に余裕があればジムに通って筋トレを始めてみましょう!」

Text by Takumi Arisugawa

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