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第9回 | 男性にもある更年期──LOH症候群を理解する

まずは男性ホルモンを補充! LOH症候群の基本治療手順

男性の更年期と呼ばれる「LOH症候群」。女性の更年期の場合は、閉経前後などの期間を過ぎれば症状が落ち着くというが、男性の場合は医療機関での治療や、生活習慣の改善が必要となる。しかし、治療といっても何をするのかわからず不安な40代男性もいるはず。そこで、LOH症候群の治療がどのようにおこなわれるのか、専門医に聞いた。
今回のアドバイザー
桑満おさむ
「地元密着型」というコンセプトで1997年目黒区に、五本木クリニックを開院。泌尿器科を専門とする一方で、患者さん一人ひとりのお肌のホームドクターとなるべく、美容皮膚科・美容外科も併設。また、巷の美容法や健康法に対して、素朴な疑問から医学的な観点まで様々な視点でバッサリ斬る「院長ブログ」も人気。

「LOH症候群」は、採血と臨床症状によって診断される

30〜70代と、幅広い年代の男性が患うという「LOH症候群」。おもな症状に、抑うつや不眠、いらつきなどの精神症状や、勃起障害といった性機能低下など、さまざまな症状がみられるという。とくに男性の更年期では精神症状が強く見られる、と桑満さん。

「LOH症候群には “元気がなくなる”というイメージがありますが、じつはイライラして怒鳴り声をあげる、という人もLOH症候群である可能性が高いといえます。イラつきが強い人が治療を受けると、再診で訪れたときには性格が穏やかになることもありますね」(桑満さん、以下同)

治療が性格にまで影響を与えるとは驚きだ。このようにLOH症候群の症状は多岐にわたるため、まずは、医療機関で検査をおこなうことが治療の第一段階だ。

「まずは、ご本人が自覚している症状(性機能低下、精神症状など)について細かく聞き、採血をして男性ホルモンの値を調べます。血液検査の結果、血中の遊離テストステロンの値が低い場合は、LOH症候群の可能性が考えられます。日本泌尿器科学会・日本Men‘s Health医学会が提示している『LOH症候群診断ガイドライン』では、血中の遊離テストステロン値が8.5pg/ml未満の男性を治療対象としていますが、基準はクリニックによって異なります」

ただし、血中のテストステロン値は1日のうちで大きく変動するので、病院に行くタイミングが重要、と桑満さん。

「LOH症候群の疑いがない人でも、夕方になればテストステロン値が下がるので、正確な値を出すためにも午前中に検査を受けてください」

男性ホルモン補充療法が一般的、保険の適用は?

LOH症候群の診断が出た後、実際に治療する段階に入る。どのような治療がおこなわれるのだろうか?

「もっとも一般的なのは『男性ホルモン(テストステロン)補充療法』です。男性ホルモンを筋肉注射で補充します。当院の場合は2〜3週間に1回通院していただき、3カ月で合計6回の治療を目安にしています。検査などの費用は自己負担ですが、注射剤の男性ホルモン補充療法は保険適応なので1回1000円ほどで受けられますよ」

3カ月という期間は設けているが、効果があらわれるタイミングは人それぞれ。治療による効果のなかで、もっともわかりやすいのが、いわゆる「朝勃ち」だとか。

「朝勃ちがなくなるのもLOH症候群の症状なのですが、男性ホルモンを補充した翌日には朝勃ちがあった人もいますね。ただ、短期投与で改善する人もいれば、数年間投与する人もいるので、効果に個人差があるのも事実です。また、パートナーと一緒に過ごすことで、テストステロン値が上がるという研究結果も出ています。LOH症候群であることを家族の方に伝えてパートナーと過ごす時間を増やすように心がけましょう」

そして、禁煙や禁酒、適度な運動をするなどの生活習慣の改善も有効だとか。注射を打つだけでなく、生活のなかで“テストステロンを下げない工夫”が必要なのだ。また、海外では肌に塗るジェルや貼り薬、安全性の高い内服薬も登場しているが、まだ日本では認可されていないという。

「これらの治療法を施しても、改善がみられない場合は、うつ病などほかの病が関係している可能性があります。その場合は、心療内科への相談をすすめています」

子どもがほしい人や前立腺がんの疑いがある人などは、男性ホルモン補充療法はNG

ただし、男性ホルモン補充療法は代表的な治療法ではあるが、すべての人が受けられるわけではない、と桑満さん。

「男性ホルモン補充療法には、精子が減るという副作用があるので子どもがほしい男性には、なるべく違う治療法を提案します。また、前立腺がんと前立腺肥大症の疑いがある人は、男性ホルモン補充療法を受けることはできません。そのため、LOH症候群の検査と一緒に前立腺がんの検査をおこなうのが一般的です」

症状が多岐にわたることもあり、治療法も千差万別。医師と相談しながら治療するのが理想だという。

最後にアドバイザーからひと言

「LOH症候群の治療は、主治医とともにおこなうもの。恥ずかしいこととは思わず、医師との信頼関係を築きながらじっくり治していきましょう」

Text by Miki Ohnuki(Seidansha)
Edit by Kei Ishii(Seidansha)

取材協力
五本木クリニック

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