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第7回 | 世界の名車コレクション

ニュー・ストラトス──伝説のラリーカー、ここに再臨

1970年代後半に始まったスーパーカーブームや当時のラリーシーンを覚えている人なら、このニュースに少なからず興奮するに違いない。あの『ランチア・ストラトス』がカスタムビルダーの手によって限定25台で復活する。『ランチア・ストラトス』は、スーパーカーブームを巻き起こした池沢さとしの『サーキットの狼』に度々登場するなど、40〜50代にはなじみ深い名車だ。復活する『ストラトス』にはズバリ、『ニュー・ストラトス』の名が与えられた。

あの伝説の名車『ランチア・ストラトス』がコーチビルダーの手によって復活

往時の『ランチア・ストラトス』は、『サーキットの狼』に登場したことで一躍その存在が広まり、また、フェラーリ『ディノ246GT』のエンジンを搭載していたことなどからスーパーカーと思われていたが、じつは純粋なラリーカーだ。

源流は、老舗カロッツェリアのベルトーネが1970年に発表したコンセプトカー『ストラトス・ゼロ』。デザインを担当したのはアレッサンドロ・ガンディーニである。このコンセプトカーをベルトーネがフィアット傘下にあったランチアにラリーカーとして売り込み、市販化に向けた開発がスタートした。

正式デビューは1974年のジュネーブモーターショー。3710mmの全長は軽自動車並で、ホイールベースは2180mmと驚くほど短い。これらはすべてラリーで勝つためのもので、ボディ剛性はF1マシンに匹敵するほどだったという。

それでいて、目を奪われるような魅力的なスタイリングは、ラリーカーとは思えないほど美しいのだ。

しかし、狙い通りにWRC(世界ラリー選手権)で大活躍し、最強ラリーマシンの称号を手に入れるが、さまざまな事情や思惑により、1982年を最後にラリーから引退。生産台数はおよそ500台といわれ、その希少性から、今もヴィンテージカー市場では第一級のコレクターズ・アイテムとなっている。

今回の『ニュー・ストラトス』を製造したのは、少量生産のカスタムビルダーとして知られるイタリアの「MAT(マニファットゥーラ・アウトモビリ・トリノ)」だ。

自らラリーに出場するほど熱心なラリーファンであるドイツの実業家が、「『ランチア・ストラトス』の復活」という夢を実現させるべく、MATに依頼して実現したものだという。

『ニュー・ストラトス』のベースモデルはフェラーリ『F430スクーデリア』

『ニュー・ストラトス』のデザインと組み立ては、オリジナルのベルトーネに代わってピニンファリーナが担当した。

シャシーにはフェラーリ『F430スクーデリア』のアルミフレームを切り詰めたものを使用し、オリジナルと同じ3710mmの全長、短いホイールベースを実現している。

ボディはカーボンファイバー製で、それにより車両重量はわずか1274kgに抑えられた(オリジナルは980kg)。前後重量配分は50:50と理想的なバランスが追求されている。

ただし、全幅はかなりワイドになり、安全基準などの問題から現代的要素も取り入れられている。とはいえ、半円形のフロントガラス、低く平べったいフロントノーズ、丸形のテールランプといった外観は、遠目から見てもはっきりと「ストラトス」とわかるほどだ。

オリジナルと同様にミッドシップレイアウトが採用され、そこに搭載されるのは4.3LのV型8気筒エンジン。『F430スクーデリア』のエンジンをベースに、専用チューンを施して最大出力を510PSから540PSに高めている。最高速度は330km/hに達するという。

『ニュー・ストラトス』の価格は約7170万円、ラリー仕様モデルの登場も?

『ランチア・ストラトス』は室内が非常に狭いことで知られるが、ドアの内側スペースはヘルメットが収納できるほど広かった。この特徴は『ニュー・ストラトス』にも受け継がれ、ご覧のように、ドアインナーにはヘルメットの収納スペースが設けられている。

生産台数はわずか25台。ただし、MATがラリー仕様車の画像を公開していることから、今後はレース仕様やラリー仕様モデルの導入もあるかもしれない。

価格は日本円換算でおよそ7170万円とかなり高額だ。しかし、このクルマの場合、価格はそれほど問題ではないだろう。だいたい、そう簡単に手に入るクルマではない。

もしかすると、そう遠くないうちに、甦った伝説のラリーマシンが再びサファリ・ラリーで活躍する姿を目にすることができるかもしれない。

Text by Kenzo Maya
Photo by (C) Manifattura Automobili Torino
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

動画はこちら
MAT – NEW STRATOS オフィシャル動画

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