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- 舌の肥えた肉好きへ 間違いのない名店 -

洞窟のような個室で豪州のワイルドな肉料理を。渋谷「ズーガンズー」

接待やデートで、経験豊富な大人の男性らしいお店選びをしたいなら、敢えて王道を避けてみるのもひとつの手。グルメ事情に精通している「わかっている男」を演出するのであれば、「肉」のチョイスにも一工夫したいものだ。そこで今回は、牛肉の“本場”オーストラリア直送のオージービーフを始め、オーストラリア産の“各種肉料理”が楽しめる店、渋谷・ワインダイニング「ズーガンズー」を紹介しよう。

土壁とくぐり戸が演出する大人の隠れ個室

最寄駅は渋谷、表参道。その中間地点にあるこちらの店は、若者で溢れかえる2つの駅前どちらの喧騒からも離れた、大人の隠れ家的ワインダイニングの店である。

店の場所、地下1階という立地、そして土壁の内装が隠れ家感を演出しているが、特筆すべきは個室。入口は狭く低く、くぐり戸となっておりどこか洞窟を思わせる。
相手との親密度を高めてくれそうなこの個室。独創的かつ、遊び心溢れるおしゃれな店の雰囲気から、若い人の利用が多いかと思いきや、そうでもないらしい。

「神楽坂にも支店があるのですが、こちらの本店は17年目になります。普段は外食慣れしているからこそ、他とちょっと異なる雰囲気を求めたいという40代以上の男性のお客さまが多いですね。特に、オーストラリアやニュージランド出身の外国人の方や、滞在経験のある日本の方に懐かしい味と重宝していただいております。もっとも、オーストラリアは移民の国ですので、特にジャンルとしての「オーストラリア料理」というものはなく、世界の様々な調理法を取り入れています。この店も、オーストラリア・ニュージーランド産の食材、ワインをメインとして扱っておりますが、和洋を問わず、さまざまな調理法で提供しております」(ズーガンズー・渋谷店マネージャー本田さん)

オーストラリア産の食材、と言ったがそれはオージービーフやオージラムといったものばかりでなくカンガルー、ワニといったエキゾチックミートにも及ぶ。もっとも、接待でいきなりカンガルー、ワニというのはあまり現実的ではないかもしれない。そこで、前菜、サラダ、パスタ(orリゾット)、メイン、デザートに飲み放題がついて5000円の「通常コース」からまず2品いただいてみた。

飲ませすぎ注意、前菜とスパークリングワイン

コース料理の前菜は3〜4品で構成され常に内容が変わる。とはいえ、金沢港から直送された魚介の料理が1品、そして宮崎産赤鶏のレバームースを使ったものが必ず1品入るのは変わらない。

当日いただいた前菜も、プリの刺身と、生ハム、キャロットラペ、そしてレバームースを載せたバゲットで構成されていたのだが、このレバームースが格別であった。レバーの臭みはまったくなく、フォアグラのように濃厚でありながらしつこくない。聞けば時間をかけ、低温で調理することと風味付けのポートワインが文字通りの“キモ”なのだとか。これがかなりの「酒が進んでしまう味」となっており、接待始めで杯を重ねる勢いづけにはぴったりとみた。

なお、ワインダイニングの店だけあってオーストラリア・ニュージーランド産のワインを常時約300種類ほど揃えている。当然、コースのオプションとなる飲み放題であってもそこに妥協はない。

飲み放題で選べるのはオーストラリア産6種類のワインだが、この価格帯では珍しいスパークリングワイン、それも赤・白の両方も選べる。実はこちらの店では、乾杯アルコールの7割が喉を潤す感覚でぐびっといける、さっぱり味の白スパークリングで行われるという。
取材にも関わらず1杯いただいてしまったが、酔わせやすさ(?)を予感させるおいしいものであった。

高級和牛に飽きた相手には間違いなしの肉料理

さて、コースのメインとして登場するのが「短角牛のタリアタータ」となる。
タリアタータとはイタリア語の「切る」が語源となった肉料理。要は、ステーキを切ったものなのだが、ルッコラなどの香味野菜のサラダを添えて食べるのが定番。使用しているのは、バラ肉の一部で、サシ(脂)が非常に細かく入っている牛のササミ(別名:ササバラ)という部位。バラ肉ではありながら脂のしつこさはなく、赤身とのバランスがいいのが特徴だが、それがもともと脂肪の少ないオージービーフであるためなおのこと「脂感」はない。かわりに、赤身部分の「肉の味」をぞんぶんに楽しむことができ、あっというまにペロリと食べてしまうだろう。

脂肪たっぷりの食事の後にやってくる、ある種の「背徳感」を接待相手と共有したい人には合わないかもしれない…。と、冗談はさておき、これはサシたっぷりの高級和牛を食べつけた接待相手や、健康的な肉食を望む層にもアピールできるはず。

今回は、接待を目的としたためより一般的なメニューの紹介にとどめたが、前述したようにカンガルーの串焼き(2piece/980円)、ワニ足と舌のロースト(2580円)など、「オーストラリア感」の高いメニューもアラカルトには並んでおり、予約時に相談すればこれらを組み込む「オーストラリア満喫コース」に変更することも可能だ。

A5和牛! フランス産ワイン! といった、超王道高級路線とは異なるが、それだけに“普通に飽きてきた”接待相手にも、きっと良い印象を残せるだろう。洞窟的な個室が、きっと新しいビジネスの企みに役立つはずだ。

Text by Masayuki Utsunomiya
Edit by Kei Ishii(Seidansha)