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- スーパーカーブランド【ロールスロイス】 -

流れ星が流れるロールス・ロイス──限定55台のレイス

ロールス・ロイスのビスポークプログラムは、内外装のカラー、素材、ウッドパネルのデザイン、細かなステッチにいたるまで、あらゆる仕様を自分好みに仕立てることのできるサービスだ。超高級車を新車で注文するひと握りの成功者だけが経験できる、ロールス・ロイスの醍醐味のひとつである。しかし、最近では、ロールス・ロイス自らがコーディネートしたビスポークモデルが発表されることも増えてきた。流麗なファストバックスタイルの2ドアクーペ『レイス』の限定モデル、「ルミナリー・コレクション」もそのひとつだ。

流麗な2ドアクーペの『レイス』に加わった流れ星仕様のビスポークモデル

2013年のジュネーブモーターショーでデビューした『レイス』は、ファストバックスタイルが特徴のスタイリッシュなクーペモデルだ。最高出力465kW(632ps)、最大トルク870Nmを発生するV型12気筒6.6Lツインターボエンジンを搭載する、“史上最もパワフルなロールス・ロイス”でもある。

レイス(Wraith)はスコットランドに伝わる「幽霊」や「生霊」を意味する言葉だが、じつは1930年代に生産されていたモデルにもこの名前が付けられていた。

ロールス・ロイスというと、オーナーは後席に座るイメージがあるが、『レイス』はオーナーが積極的に運転を愉しむためのクルマだ。想定されている顧客層は『ファントム』よりもやや若い。だからなのだろう、2016年には『レイス』のビスポークモデルとして、黒を基調に内外装を仕立てた「ブラックバッジ」が発表されている。

今回の新作「ルミナリー・コレクション」は、流れ星が浮かび上がるルーフライニングやイルミネーションが備わるウッドのキャビンを持つ、なんともきらびやかな一台だ。

頭上に8つの流れ星が発生し、ウッドパネルにも流れ星のイルミネーション

「ルミナリー・コレクション」のハイライトは、インテリアだ。後ヒンジのコーチドアを開けると、そこには柔らかな光の世界が広がる。

頭上に星空が浮かび上がる「スターライト・ヘッドライナー」は、ロールス・ロイスの各モデルに設定される人気のオプション。しかし、「ルミナリー・コレクション」では、新たに8つの流れ星をランダムに発生させる仕掛けが施された。1340本の光ファイバーライトによって作られる演出をすべて見るには、およそ20時間もかかるという。

ウッドパネルにはもうひとつの「光」がある。チェコ産のチェダーオーク素材のウッドパネルには、176個のLEDが組み込まれ、こちらにも流れ星が尾を引くようなイルミネーションの演出が与えられた。

レザーのシートは、フロントがタン、リヤがアンスラサイト(消炭色)、またはシーシェル(貝殻)という前後異色の仕様だ。パイピングとステッチにそれぞれの対照色を用いるコーディネートが施されている。この「グレー×タン」は、夜明けに差し込む陽光からインスピレーションを受けたものである。

ドアトリムやセンターコンソールに配された印象的なシルバーの素材は、ステンレス・スチール製のファブリック。クリーンルームで3日間をかけて、直径0.08~0.19mmのステンレス・スチールを手織りして作られるという。

「ルミナリー・コレクション」は生産台数わずか55台の限定モデルだが、それを表す「Wraith Luminary Collection — One of Fifty-Five」と刻印されたステンレス・スチール製のトレッド・プレートも備わる。

ロールス・ロイスの職人が手描きするサドラリータンカラーのピンストライプ

ボディカラーは「サンバーストグレー」。ボンネットやサイドには、サドラリータンカラーのピンストライプが描かれている。

「描かれている」と表現したのは、このピンストライプが職人の手描きによって引かれているからだ。「ルミナリー・コレクション」の製作は、ほかのビスポークモデルと同様に、ロールス・ロイスの本社工場で「ロールス・ロイス・ビスポーク・コレクティブ」が担当する。

イギリス南部、ウエスト・サセックス州の高級別荘地にあるロールス・ロイスの本社工場は、自然光が差し込む明るい建物を英国庭園が取り囲む、世界で最も美しいとされる自動車工場である。ここで、熟練の職人たちが一台一台をハンドメイドで仕上げるのだ。

ロールス・ロイス「レイス ルミナリー・コレクション」は4000万円台前半!?

現時点では「ルミナリー・コレクション」の導入時期は不明。そもそも、たったの55台のみの生産なので、日本に入ってくるかどうかもわからない。ただ、「ブラックバッジ」が国内発売されたことを考えると、日本導入の可能性も少しはあるだろう。

もっとも、仮に上陸しても、おいそれと手に入れられるクルマではない。価格も発表されていないが、「ブラックバッジ」が4099万円だったことを考慮すると、それ以上の価格になるだろう。つまり、家が買える価格である。

限られた者しか乗ることができない。だからこそロールス・ロイスなのだ。

Text by Muneyoshi Kitani
Photo by (C) Rolls-Royce Motor Cars
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)