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第3回 | 葉巻への誘い──ゆとりある大人の愉悦を

マリアージュを愉しんでこそ。葉巻と相性の良い酒・食べ物について

ここ20年ほどの間で世界的に需要が伸びており、品薄な銘柄も出ているという葉巻。ゆとりある大人の趣味として、その世界に触れてみたいと考えている男性も多いだろう。そこで知っておきたいのが、葉巻の味わいをさらに増す飲み物や食べ物たちのこと。葉巻を介したコミュニケーションの愉しみやマナーとともに、専門家のアドバイスを受けた。
今回のアドバイザー
羽崎修平
「Panacee(パナセ)」店主
厳選された酒と、管理の行き届いた極上の葉巻が楽しめるバー「Panacee(パナセ)」店主。店名はフランス語で「万能薬」を意味し、店を訪れた人の心を癒やしたいという意味が込められている。旬のフルーツをふんだんに使ったカクテルも人気。

食事のチョイスも、葉巻を美味しく吸いたいときには大事

葉巻の味わいをより深く愉しみたいのであれば、おぼえておきたいのが飲み物や食べ物との相性。素敵なマリアージュを見つけることにより、葉巻だけでなく組みあわせた飲み物や食べ物の印象も格段に変わる。たとえば、イギリスでは夕食後にポートワインやコニャックなどを飲みながら葉巻を楽しむ習慣が昔からあり、食事の内容も含めてどんな葉巻を選ぶかが、葉巻愛好者の至高の悦びなのだという。酒と葉巻が愉しめるバー「Panacee」店主の羽崎修平さんに、まずは葉巻と相性の良い飲み物について聞いた。

「一般論としてホワイトスピリッツよりも茶色い酒、冷たいものよりも常温のお酒の方が葉巻の味わいは膨らむとされますが好き好きではあります。そもそも食後酒は少量でアルコール度数が高いものを選ぶのがセオリーで、葉巻は基本的に食後酒や甘味との相性が良いんです。コニャック、アルマニャック、ブランデー、ウィスキー、ラム、甘口のポートワイン、そして貴腐ワインなどがオススメですね」(羽崎修平さん、以下同)

もちろん、酒でなければダメというわけではない。中には「葉巻の味を楽しむには水が一番」と言う人もいるそうだが、いずれにしてもひとつの飲み物で通すより、葉巻の味わいの変化にあわせ、飲み物を変えていったほうが、より趣向品としての愉しみが増すと羽崎さんは言う。

「葉巻は前半、中間、後半でどんどん味が変わっていくもの。具体的には後半に行くにしたがって味わいが強くなってきます。煙が葉巻の中を通ることで、水分やその他の成分が蓄積し、さらに火元が近くなってくることで煙も熱くなるため、刺激も強く味わいがヘビーになっていくのです。この変化にあわせ、飲み物の味わいを甘くしたり、クリーミーなものを選んで煙の刺激をマイルドにしたり、アルコール度数を上げ強くなる煙の味わいにあわせていくといった感覚で、飲み物をセレクトしてゆくのが良いと思います。

日常的に葉巻を吸う方は、あまり深く考えなくなり自然に欲しいものが頭に浮かぶようになると思いますし、お水やお茶など、終始同じ飲み物で通す人もいます。私は飲み物も楽しみたいですし、より趣向的に考えて吸うことが多いですね。例えば贅沢なフランス料理の食後はリッチなコニャックやポートを楽しみたいですし、食後に油感が口に残る時は一杯目はさっぱりとしたカクテルを注文することもあります。私の友人にはマティーニ&葉巻が大好きという方もいらっしゃいます」

また「Panacee」では旬のフルーツを使ったカクテルと葉巻とのマリアージュを愉しむ人も多いそう。

「ストレートの酒は、その物の味が想像できないとマッチングは難しくなりますが、カクテルは味の調整ができることが良さ。バーテンダーとお客様に信頼関係があれば、イメージした通りの味わいのカクテルを出してもらえるはずです。たとえば最初はモヒートでスッキリ、中間になったらウィスキーベースのオールドファッションやブランデーベースのフレンチコネクション、最後はストレートで、といった感じでも良いですね。こうした愉しみかたができる点は、バーで葉巻を吸う大きなメリットでしょう」

また、食後に葉巻を楽しむ際に、より葉巻を美味しく楽しむために大きな役割を果たすのが食事。葉巻好き的には「今夜はこの葉巻を吸いたいから、これを食べよう」というようにメニューを選ぶこともあるという。食後に葉巻を愉しむ際、どのようなメニューを選ぶと葉巻の美味しさが増すのだろう。

「好き好きではありますが主に肉料理。脂質とタンパク質をしっかり摂取すると食後の葉巻が美味くなると思います。ステーキや焼肉。もちろんフランス料理もそうですね。寿司や和食は理想的なシガー前の食事とは言いづらいのですが、気にしなければ問題ありません。

ただし苦しくなるほどの食べすぎは禁物です。なんでもそうですが、苦しい時は何をしても幸せにはなれませんから。私は個人的にカレーを食べながら葉巻を吸うのが好きなんです。スパイスが葉巻にあうんですよね。デザートを楽しみながらコーヒー&葉巻も良いですし、チョコレートの様な濃厚なものとの相性は抜群です。マンゴーやパイナップル、桃などをつまみに楽しむ葉巻も幸せなものです」

葉巻をとりまく時空を含めて愉しむのが醍醐味。同行者への配慮も忘れずに

ここまで、葉巻の吸い方や味わいかたの基本を紹介してきたが、葉巻の愉しみは味わいだけでなく、葉巻を介したコミュニケーションもその醍醐味であると羽崎さんは語る。吸い終わるまでの時間を、どのように使うかによって愉しみの幅の広がりも変わってくるのだ。

「葉巻は吸い終わるまでに長い時間を費やしますから、その間をどう過ごすかによって仕上がりの満足度も変わってきます。誰と共に過ごし、どんな会話をするか。これもまた葉巻の大きな愉しみといえるでしょう。近年世界的に需要が伸びてきたとはいえ、規模的にみれば、やはり葉巻はマイナーな趣味。それだけに同じ趣味を持つ人同士のつながりは、より深いものになります。

私は世界各国でどこに行っても葉巻を吸うので、空港に着くとまず葉巻が吸える店を探し、そこに直行して一服してからその後の作戦を立てます。そしてその場その場で楽しい出会いがあるんですよ。一概にはいえませんが、葉巻の愛好家はゆとりの有る方々が多いですから、葉巻の知識やマナーはもちろん、様々な教養を兼ね備えてる方も多いので、お話しているだけで楽しいです。自分もそういう人間になりたいと思ってますし、そういった点でも、余裕のある大人の趣味だといえるのです」

大人の趣味という点ではマナーも大切。愉しみたいのなら、同行者への配慮も忘れてはならない。

「素敵な女性と食事へ行き、食後に美味しい葉巻が吸いたいからといって、バーで吸い終わるまでに2時間、3時間かかる長い葉巻楽しんでいたら、大概の葉巻を吸わない女性は疲れてしまいますよね。人前でカッコよく、スマートに葉巻を吸いたいなら、共に楽しんでいる方への配慮も大切です。たっぷりとしたサイズを楽しみたいときは、気の置けない関係の方と一緒の時か、お一人で楽しまれるのがおススメです。他の事を気にせず、ゆったりと楽しめること、これは美味しく葉巻を吸う際にとても大切な事です」

その味だけでなく、同席する人とのコミュニケーションを含めた時間や空間までが一体となり、はじめて極みを迎えることになる葉巻の世界。大人の“非日常”を愉しむため、ぜひ一度体験してみてほしい。

Text by Tamotsu Narita
Photo by Kazushige Mori
Edit by Kei Ishii(Seidansha)

店舗情報
パナセ
渋谷区恵比寿1-25-3 2F(恵比寿駅から徒歩10分)※5~6月近隣に移転予定
電話 03-5791-9040
営業時間 19時~翌3時(日曜定休)

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