180409 (2)
- 肩こり・腰痛・不眠 40代に効果的な疲労回復術 -

仕事中のだるさは「脳疲労」かも? ヤル気が復活する「脳回復テクニック」

終わりの見えないルーティンワークや、堂々巡りの議論が続く会議など、うんざりしてしまいそうなシーンはどんな仕事にもつきもの。責任感のあるビジネスマンなら、集中力の続かない自分自身を責めてしまうこともあるかもしれない。しかし、仕事中のだるさは決してメンタルが未熟なわけではなく、脳が疲れているサイン。部下や後輩には疲れた顔を見せたくない!と奮闘する40代ビジネスマンのために、仕事中のだるさを吹き飛ばす「脳回復テクニック」を、東京疲労・睡眠クリニック院長の梶本修身先生に教えていただいた。

■今回のアドバイザー
医師
梶本修身

東京疲労・睡眠クリニック院長。医学博士。大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座特任教授。疲労回復、睡眠の専門家として、「マンガでスッキリ!疲れを取るなら脳を休めなさい」(永岡書店)など著書多数。「すべての疲労は脳が原因Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」(集英社)は、累計18万部を突破。その他、「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ)、「この差ってなんですか?」(TBS)など、テレビをはじめとした各種メディアでも活躍中。

仕事中に感じる「だるさ」は、脳細胞からのSOSかも

熾烈な競争社会の中で戦ってきた今の40代の中には、仕事中に「だるい」「疲れた」などと弱音を吐くことが恥のように感じる人も多い。しかし、実はそのだるさはメンタルの強さでは克服できない「脳の疲労」かもしれない、と梶本先生。

梶本先生「オフィスワークを長時間したり、ドライブを続けたりすると、途中でうんざりして投げ出したくなることはありませんか? これは自身が飽きっぽいからではなく、脳が疲れているサイン。同じ作業を続けるということは、同じ脳細胞が繰り返し使われているということ。疲労がたまった脳細胞は、『これ以上、使わないで!』とSOSを出します。この脳からのSOS信号を無視すると、脳神経の働きが落ちて注意力が低下するだけでなく、やがて慢性疲労の原因にもなってしまうのです」

マナー違反の「あの行為」が、脳の疲労を回復させる

「脳の疲労」と聞くと深刻な症状であるような印象を受けるが、ちょっとした工夫で脳細胞への負担は軽減できるそう。日頃疲れを感じやすいという人は、梶本先生の提唱する「脳が回復するテクニック」を試してみるべきだろう。

梶本先生「仕事中にだるさを感じてきたら、以下の方法を試してみてください。

①1時間ごとに休憩する
脳疲労を防ぐための方法はごくシンプル。『飽きを感じたら潔く休むこと』です。脳の機能は一度低下すると回復までに時間がかかってしまうため、理想的には『飽きを感じる前に』休息をとりたいところです。『この仕事が終わったら休憩しよう』などと長い時間頑張る方は多いですが、3時間作業をして15分休憩するより、1時間ごとに5分休憩をとるほうが脳の疲労が抑えられ、作業効率も保たれます。こまめな休息を心がけることが、結果的に仕事の能率アップにつながるのです。

②散歩をする
体を激しく使わなくても、長時間デスクに座っているだけで疲労はたまります。座った姿勢が続くと股関節が圧迫されて血液やリンパの流れが滞り、疲労物質が脳や自律神経に溜まってしまうのです。疲労物質の代謝を促すためには、血液やリンパの流れをスムーズにすることが不可欠。そして、長時間座ることで滞った循環を促すためには、『歩く』ことが最適なのです。わずかな時間でも歩行すると、ふくらはぎをはじめとする脚の筋肉が収縮と弛緩を繰り返し、心臓に血液を還流してくれます。デスク作業中なら1時間ごとにトイレへ行く程度でもOK。このとき水分補給もすると、より体の循環がアップします。

③貧乏ゆすりをする
長時間の座った姿勢で体の循環が滞ると疲労を感じるようになりますが、会議中などで散歩に行くことが不可能なこともあるでしょう。そんな時は『貧乏ゆすり』をしてみてください。7時間以上座り仕事をしている会社員は、5時間以内の座っている会社員と比べて死亡率が高いのですが、貧乏ゆすりをすることで血流が促進され死亡率が低下するとされています。もし、オフィスでの貧乏ゆすりがマナー違反と感じて実行できない場合は、30分おきぐらいの間隔で座ったまま足を前に伸ばし、かかとの上げ下げをするのも有効な手段です。

④短時間の昼寝をする
飽きを感じる前に休憩を取れず、仕事中にだるさやパフォーマンスの低下を自覚してしまった場合は、潔く昼寝をしてしまいましょう。15~30分程度眠るだけで、脳と自律神経はかなり回復します。『昼寝すると、そのあとぼーっとしてしまう』という方はコーヒーを飲んでから眠りましょう。コーヒーの作用発現時間は摂取後30分程度とされていますので、ちょうど目覚めた頃に覚醒作用を発揮してスッキリと目覚めさせてくれます」

根本的に疲れにくい脳を手に入れるため、睡眠の質を確認しよう

脳の疲労は意外にもごくシンプルな方法で防げる様子。しかしこれらのテクニックは、対処法的な効果は得られるものの、脳の疲労を根本的に取り去るには少々不十分。脳を健康かつ疲れにくい状態に保つためには、質の良い睡眠をとる必要があるという。

梶本先生「退屈な仕事にだるさを感じたり、午後に軽い眠気を感じたりすることは生理的に当然のことです。ただ、『オフィスワーク中に我慢できないほどの眠気に襲われる』『電車に乗ると隣の駅に着くまでに寝落ちしてしまう』といった場合は、夜間の睡眠が足りていないか、いびきなどで睡眠の質が低下している可能性があります。

脳の疲れを根本的に癒すための手段は、睡眠しかありません。疲れ知らずの脳を手に入れるためにも、夜はぐっすりと眠ることを心がけてください。自分ではよく寝ているつもりなのに眠気や倦怠感に悩まされているという場合は、睡眠外来を訪れて良質な睡眠がとれているかどうか調べることをお勧めします」

「休んでいる時間すら惜しい」と感じられる仕事についている男は幸福だ。しかし、頑張りすぎて脳が疲れてしまい、パフォーマンスが発揮できずにいたのでは男としての名折れ。第一線で活躍するビジネスマンとして精彩を放ち続けるためには、「勤勉」や「忍耐」よりも、「休息」こそを重要視するべきなのだ。

最後にアドバイザーからひと言

「肉体的な疲労も精神的な疲労も、すべての疲労は脳の疲れが原因です。疲れ知らずの心身を手に入れるためには、脳を疲れさせないことが何よりも大切なのです」

Text by Takumi Arisugawa