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- 体調を変えたいなら、40代からの体質改善 -

慢性的な疲労感は食生活で改善できる? 「副腎」をいたわる食事とは

日本ではまだ認知度が低いものの、このところ耳にする機会が増えてきた「副腎疲労」。慢性的な疲労感が主な症状だが、副腎疲労の多くの患者に共通している症状がもう一つある。それは、腸が炎症を起こしていること。精神的なストレスのほか、食生活の乱れによる腸内環境の悪化も副腎疲労を引き起こす要因のひとつなのだ。そこで、腸をいたわり副腎疲労を改善する食生活について、副腎疲労症候群の専門家である本間良子医師、龍介医師夫妻にアドバイスを仰いだ。

■今回のアドバイザー
スクエアクリニック
本間良子 院長
本間龍介 副院長

本間龍介医師自身が副腎疲労に悩まされた経験から、2005年、日本初の「副腎疲労外来」を備えたスクエアクリニックを川崎市に開業。患者一人一人が自身の体調や体質に向き合い、オプティマルヘルス(その年齢において最適で最高の状態)を手に入れることを目標とした医療の提供を行なっている。著書に「医師が教える疲れが抜けない人の食事法 予約の取れない『副腎疲労外来』で実践していること」(祥伝社)、「しつこい疲れは副腎疲労が原因だった」(祥伝社)、「自分で治す! 副腎疲労」(洋泉社)など。

炎症を抑えるために副腎がフル稼働! 腸炎症が副腎疲労を引き起こす

慢性的な疲労感をはじめとした様々な不調を生じさせる「副腎疲労」。副腎疲労になるきっかけが、食生活の乱れによる腸内環境の悪化であるケースは多いそう。

本間先生「副腎疲労は、副腎が働き過ぎて疲弊し機能低下してしまうことで起こる病態です。50種類以上のホルモンを分泌する役割を持つ副腎が過剰なストレスに反応し、ストレスを緩和するホルモンであるコルチゾールを出しすぎることによって疲弊。コルチゾールが出にくくなりストレスを緩和できなくなることで、体調不良を感じるようになります。

このコルチゾールは、実は消炎作用を持つホルモン。精神的なダメージによっても分泌されますが、食生活の乱れなどによって腸炎症が起きていると、炎症を和らげようとしてコルチゾールが多量に分泌されてしまいます。特に、『リーキーガット(腸漏れ症候群)』という、腸壁に穴が空き毒素や最近が漏れ出してしまう腸の病気になってしまうと、コルチゾールを大量に消費されるため、副腎疲労が誘発されるリスクが跳ね上がります」

「腸をいたわるためにヨーグルト」はNG。避けるべき食材は?

腸内環境の悪化が副腎疲労を招くとすれば、まず取り組むべきは腸の健康=食生活の改善だ。

本間先生「軽〜中程度の症状であれば、副腎疲労は食生活を改めることによって改善可能です。副腎疲労を招きやすい、または悪化させやすい以下のような食事はなるべく避けるよう気をつけてください。

●グルテンを含む食べ物
主に小麦に含まれているグルテンですが、腸管のタイトジャンクション(細胞同士を結びつけるタンパク質でできた装置)を邪魔してしまうことがあります。そのため、グルテンを日常的に摂り続けるとリーキーガットという腸炎症に陥ることがあり、副腎疲労を招きやすくなってしまいます。

●カゼインを含む食べ物
カゼインは腸で吸収されにくく、その結果腸炎症を起こしてしまうことがあります。また、脳にある葉酸レセプターという葉酸を受け止める所に、カゼインを摂取することで生じたペプチドという物質がくっついてしまうことも。すると、血中から葉酸を脳へ運ぶ働きが鈍くなり、脳の活動を低下させうつ状態を悪化させてしまう心配があります。

●保存料や化学調味料を含む食事
外食やコンビニ弁当などの食事には、多くの保存料や化学調味料が使われています。こういった添加物の類は、腸内環境および神経伝達物質を混乱させるため好ましくありません。

●カフェイン
チョコレートやコーヒーに含まれるカフェインには、コルチゾールの分泌を促す働きがあります。そのため、副腎疲労の方はカフェインを取ると一時的に元気になることが多いのですが、効果が切れると疲労感を感じるだけでなく、副腎に大きな負担をかけることになります。

●砂糖や炭水化物
甘いお菓子や炭水化物を一気に大量摂取すると、血糖値が急上昇します。急激に上がった血糖値を調整するためには、コルチゾールのほかアドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンが大量に必要となり、副腎への負担となってしまいます」

副腎を元気にする食材を積極的に取り入れよう

体の負担となる食物をなるべく排除することで、腸や副腎へのストレスは減らすことができそう。さらに積極的に副腎に優しい食事を心がけたい人のために、副腎を元気にする働きを持つ食事についても本間先生に教えてもらった。

本間先生「副腎に良い食べ物は様々ありますが、体に合った食べ物は個々人によって変わってきます。ご自身の体調と相談しながら、以下のような食べ物を積極的に取り入れるようにしてみてください。

●植物性発酵食品
発酵食品には腸内環境を整える効果がありますが、乳製品に含まれるカゼインはなるべく摂らずにいたいもの。納豆、味噌、漬物などの植物性の発酵食品から乳酸菌を摂取しましょう。

●良質なタンパク質と脂質
タンパク質はホルモンの材料となるため積極的に摂りたい食材です。副腎小魚や青魚、良質な鶏肉や豚肉といった質の良いタンパク質を選びたいですね。脂質は、オリーブオイルやココナッツオイル、亜麻仁油、えごま油などがお勧めです。

●ビタミンBを含む食べ物
コルチゾールを作るのにビタミンB群は必要不可欠。豚肉や貝を多く摂りましょう。

●野菜やハーブ
色とりどりの野菜には抗酸化作用や抗アレルギー作用があります。肝機能や血糖値に良い効果があるので、色々な野菜を食べるようにしましょう。肝臓で解毒されなかった毒素は炎症の原因となり、副腎に負担をかけることになります。解毒作用があるとされるハーブやスパイスにもチャレンジしてみるのも良いでしょう。

しかし、どんなに体に良い食材でも、食べるのは週3回までにしてください。ひとつの食材を取り続けるとアレルギーを生じることがあります」

十分な休息を摂りながら、品目の多い豊かな食生活を送る。副腎に良い食事は、ストレスでささくれだっていた気持ちも癒してくれる「心にも優しい食事」と言えそうだ。

最後にアドバイザーからひと言

「40代の方はなんとなく体調が悪いと感じたときに、加齢を原因とすることが多いように思います。しかし、より良い食生活によって若いときの能力を取り戻すことは可能です」

Text by Takumi Arisugawa