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- 肩こり・腰痛・不眠 40代に効果的な疲労回復術 -

一流企業がこぞって取り入れる 脳の疲労回復トレーニング 「マインドフルネス」とは

肉体労働をすることが減った現代人だが、体を動かすことが少ない生活を送っていても辛い疲労に悩まされている人は多い。それは、肉体ではなく脳が疲労しているから。過度のストレスやIT機器の駆使によって、現代人の脳は慢性的に疲れていると言われている。そんな、どれだけ体を休めてもなかなか取れない脳疲労を癒す方法として広まりつつあるのが「マインドフルネス」。アメリカを中心に世界的なブームとなりつつあるメンタルトレーニング「マインドフルネス」について、詳しい内容をライフバランスマネジメント研究所代表の渡部卓さんに教えてもらった。

■今回のアドバイザー
ライフバランスマネジメント研究所代表
渡部 卓(わたなべ たかし)

帝京平成大学現代ライフ学部教授、ライフバランスマネジメント研究所代表、産業カウンセラー、エグゼクティブ・コーチ。1979年早稲田大学卒業。米コーネル大学で人事組織論を学び、米ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院でMBA取得。複数の企業勤務を経て2003年会社設立。職場のメンタルヘルス対策、ワークライフコーチングの第一人者。著書に「折れない心をつくる シンプルな習慣」(日本経済新聞出版社)など多数。

最新の脳科学で実証されたマインドフルネスの疲労回復効果とは

近年、テレビなどでも特集が組まれることが増え耳にすることが多くなった「マインドフルネス」。最新の脳科学によってその効果が検証されつつあり、Googleやintel、apple、マッキンゼーなどの一流企業も能力開発のトレーニングとしてこぞって取り組んでいる。

渡部さん「マインドフルネスの効果については、様々な有名大学や研究所が最新の脳科学によって研究がされている最中です。fMRIという脳スキャン機器を用いた実験により、脳の働きや組織、脳内ホルモンなどにマインドフルネスが良い影響を及ぼすことが認められ、脳の疲労を癒すのに最適な手段として知られるようになりました。

米国の一流企業を中心に、業務パフォーマンスの向上といった目的で取り入れられることの多いマインドフルネスですが、大きく5つの効果があると思います。

1. ネガティブな感情の緩和
人の持つ喜怒哀楽の感情のなかでも、怒や哀のネガティブな感情を緩和する効果があります。怒りやうつ、不安などを改善することが可能です

2. 身体への好影響
マインドフルネスを行うことによって脈拍が安定することが認められています。血圧の安定や、不眠、頭痛、腰痛、食欲の乱れなども改善されることがあります。

3. ネガティブなアクションの改善
ネガティブな感情が緩和されると同時に、言動や行動面も改善される傾向があります。力みすぎたり、そわそわしたり、行動が粗野になったり、逆に鈍くなったり、たるんでいたり…。そういった行動が落ち着いてくることがあります。

4. ストレスの緩和
外部からのストレスに対しての受け取り方が合理的になり、余計なストレスをためることが少なくなります。少しのストレスでクヨクヨと悩んでしまうという人も、ストレスを合理的に分析できるようになればメンタルを強く保つことができます。

5. 社会への好影響
忘れがちですが、マインドフルネスに取り組む人が増えれば、社会への好影響が期待できます。たとえばマインドフルネスを職場に取り込んできた多くの欧米の超一流企業では、『社員のコミュニケーションが改善した』『生産性が向上した』といった調査結果が公表されています。職場が和やかになれば家庭や社会にも好影響がありますので、社会全体がより良くなる原動力になる効果があると言っても大げさではありません」

ゆったりとした呼吸に身を任す…場所を選ばず疲れた脳を癒そう

脳の疲労を癒すことによって、心と体、仕事の面でも良い影響が期待されるマインドフルネス。早速取り入れたいところだが、具体的にはどのように行えば良いのだろう?

渡部さん「マインドフルネスはその普及と共に多くの書籍やインストラクターが誕生しており、やり方も多様化しています。ここでは私が普段セミナーで行うシンプルな方法をご紹介しますので、初心者の方は次の4ステップの通りに行ってみてください。

1. 静かな環境に身を置き、穏やかでゆっくりとした意識で腹式呼吸を行います。立っていても座っていても良いので、姿勢を正しましょう。吸う息は鼻から。ゆっくり静かに楽な状態で、空気を下腹部に送り込みます。4拍子のゆっくりした音楽に合わせて、4拍で鼻から息を吸い、次の4拍で口をすぼめながら息を吐き出すことを繰り返します。4拍子の呼吸に慣れてきたら、呼吸をさらにゆっくりとしたペースで行います。吐き出す息を八拍に変えてみてください。吸う息より、吐く息を長めにとっていく練習をします。

2. 4拍で吸って8拍で吐く呼吸に慣れてきたら次のステップです。呼吸の流れが体の中を通っていくイメージをしてみましょう。目をつぶり、天空から良いエネルギーが呼吸とともに頭から足先にゆっくり通過していくイメージです。森の中で周囲の樹林からのエネルギーが手から足元へ通り抜けるイメージ。大地のエネルギーが足から頭に通り抜けるイメージなど、やりやすいイメージならばなんでも構いません。ゆっくり穏やかな呼吸に合わせて、呼吸が体を通り抜けるイメージをしてください。

3. 静かな環境でゆっくりと呼吸することになれたら、普段の生活の中でも穏やかな呼吸を行うように心がけましょう。同時に、言動や行動も呼吸に合わせて穏やかでゆったりとした動きで行うよう心がけます。たとえば、一人で食事をするときにも、五感を感じながらゆっくり感謝して食べる。職場で部下の話を聞くときも、ゆっくり呼吸をしながら傾聴する。歩くときも、足先が地面につき重心が踵にうつりながら体がバランスをとって進んでいく感覚を、呼吸を意識しながら歩いてみる…などです。

4. マインドフルネスの根底の理念である、『いま、ここに生きている』『いま、ただここに集中する』という感覚を味わいましょう。過去、将来、他人などへの雑念を、理性で振り払うことはできません。しかし、いま、ここで呼吸をしているその感覚に集中すると、雑念は次々と湧いてきますが、呼吸に意識を向けるとかなりの部分で雑念が排除できるようになります。

色々なマインドフルネスの手法がメディアでも紹介されていますが、なかには初心者には難しいものもあります。この4つのステップを出来る範囲で気楽にやっていただければ、効果を実感できるはずです」

いまの瞬間に意識をむけて、ゆっくり楽に呼吸をする。これを習慣にするだけで「性格が穏やかになった」「集中力が上がった」といった声が寄せられている、と渡部さん。手軽かつ最先端のメンタルトレーニング法・マインドフルネスで、疲れを知らない一流ビジネスマンの脳を手に入れよう。

最後にアドバイザーからひと言

「マインドフルネスを行った後に深いリラクゼーション状態となり、直後の仕事や運転でミスをすることもあります。慣れないうちは、マインドフルネス後の仕事の前には軽く体操をするなどしてみてください」

Text by Takumi Arisugawa