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第5回 | マツダの最新車デザイン・性能情報をお届け

引き算の美学──マツダ“VISION COUPE”が美しい理由

2018年で33回目を迎えた「Festival Automobile International(国際自動車フェスティバル)」。1月下旬にフランス・パリで開かれたこの催しで、マツダが「Most Beautiful Concept Car of the Year」を受賞した。美しさ、デザインにおける創造性、新しいトレンドを最も体現しているコンセプトカーに贈られる賞で、著名な建築家やファッションデザイナーが選考委員に名を連ねる。そんな、デザインの本質を知る匠たちが選んだマツダ車が、2017年の東京モーターショーで大きな話題をさらった『VISION COUPE(ビジョン・クーペ)』だ。

マツダ車を変えた哲学「魂動(こどう)SOUL of MOTION」を深化させた先にあるもの

「マツダ車が変わった」。この見解に異を唱える者はいないだろう。

パワートレイン、足回りなどメカニカルな部分も進化しているが、マツダブランドの向上に最も貢献したのは、なんといってもデザインの進化。2010年から取り入れられた「魂動SOUL of MOTION」という哲学によるものだ。生命感溢れるダイナミックな造形で、まさにクルマに魂、つまり命を与えているようでもある。

『ビジョン・クーペ』では、その「魂動」をさらに進め、深く追求した。進化であり深化でもある。そして、これからの「魂動デザイン」に求められるものにたどり着いた。 マツダはそれを、「日本の美意識を礎とした“新たなエレガンス”」と考える。

ここで言う「エレガンス」とは、日本の美意識に通じる、控えめでありながら豊かな美しさで、凛とした印象のなかにもどこかゆとりがあり、艶があることだ。『ビジョン・クーペ』は、その概念を具現化した、デザインビジョンモデルである。

礎は『ルーチェロータリークーペ』、要素を削り落とした「引き算の美学」を意識

基本骨格は、伸びやかでシンプルなワンモーションフォルムの4ドアクーペ。マツダのデザインヘリテージである1969年発売の『ルーチェロータリークーペ』などの美しさを礎とした。

意識したのは、飾り立てるのではなく、要素を削り落とした「引き算の美学」である。

ショルダー部のシャープな光、ボディサイドのリニアに変化し続ける光と影の移ろいを創り込み、その繊細な動きのコンビネーションによって、より自然な新しい生命感を表現したという。また、内装も無駄がなく、シンプルで洗練された美しさだ。木目調のパネルが高級感を漂わせている。

東京モーターショーでは、回転台に載せられて披露されたが、このときボディに反射して生まれた陰影が、このクルマの真骨頂だ。特に陰にフォーカスしたリフレクション(光の反射・反映)の美しさは、一見の価値がある。

谷崎潤一郎の随筆『陰翳礼讃』にもあるように、日本人の美意識には繊細な光に反映するセンスがある。世界の潮流におもねるのではなく、日本の感性で世界に誇るべきデザインを実現したといってもいいだろう。

『ビジョン・クーペ』から、マツダの次世代のロータリー『RX-9』の姿を想像する

気になるのは、『ビジョン・クーペ』が市販されるかどうか。

ロータリー信奉者なら、『RX-9』の復活とどうかかわるのかに注目していることだろう。現時点では、あくまで『ビジョン・クーペ』は次世代のマツダデザインを牽引するコンセプトカーとのこと。

とはいえ、この要素を盛り込んだ次世代のロータリーモデルがデビューするのは確実。その発表が待ち遠しい限りである。

Text by Tsukasa Sasabayashi
Photo by (C) Mazda Motor Corporation
Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)

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Mazda VISION COUPE 360° オフィシャル動画

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