180302 (21)
- 有事に備える。不倫のダメージ軽減法 -

慰謝料にも影響。不倫をされた妻の“落ち度”はどこまで認められる?

夫の不倫がきっかけで離婚に至った場合、一般的には夫が妻に慰謝料を支払うケースが多いイメージがある。しかし、夫婦関係によっては妻の側に何らかの問題があるケースも想定されるはず。その場合、慰謝料の額が調整されることはあるのだろうか? 専門家の意見を聞いた。

■今回のアドバイザー
レイ法律事務所弁護士 第一東京弁護士会所属
松下 真由美さん

離婚等の男女トラブルを中心に取り扱う。その他、介護・相続等、家庭の中で起こるトラブルを得意分野とし、メディア出演やセミナーの開催も行っている。

夫婦関係を壊すきっかけが妻側に、慰謝料減額の可能性も

不倫されてしまった側は精神的な苦痛を強いられるため、当然それに対する慰謝料を請求する権利がある。もしそれで夫婦が離婚に至った場合、慰謝料の相場はどの程度になるのだろう。弁護士の松下さんは「ケース・バイ・ケースなので一概には言えませんが、不倫の慰謝料の相場は100~300万円ほど」という。では、仮に不倫をした夫の側だけでなく妻にも夫婦関係を壊すような落ち度があったら、その額が減ることはあるのだろうか。

松下さん「その可能性はあります。もちろん、不倫そのものを正当化することはできませんが、慰謝料の額を決める際には『何が離婚の原因となったのか』がひとつの論点となります。つまり、妻の側にも離婚に結びつくような落ち度があるとされたら、100%不倫が原因で離婚したとは言えなくなるので、慰謝料が事実上相殺され、減額されるケースがあるのです」

離婚時に払う慰謝料を夫婦間だけで取り決めるケースもあるだろう。ただし、あまりにも相場からかけ離れた額を請求された場合や、必ずしも不倫だけが離婚の原因ではないと思った場合には、一度、専門家に相談してみるのも手だという。

松下さん「夫婦間での話し合いは、どうしても感情的になってしまいます。もし、夫婦間だけで落とし所が決められない場合は、弁護士などの専門家が間に入って協議したほうが手っ取り早い場合もありますね。それでも揉めるようなら裁判所に話し合いの場を移すことになります。かえって、相手も相場感を理解し、冷静に話し合えることがあります。」

気が遠くなりそうな話だが、専門家の力を借りれば、言い値よりも支払う額が減る可能性があるのだ。

妻のDV、セックスレスは離婚の原因と認められる?

では、結婚生活において、妻のどのような行動が“離婚の原因”と言えるのだろうか。

松下さん「これも状況によって異なるので、明確なボーダーラインというのは定めにくいですね。ただ、妻が夫にDVを行っていたら、それは離婚の原因と認められやすいと思います。DVの影響で精神科などの病院にかかったのなら、その診断書をとっておくと良いでしょう。特に暴力を受けて怪我をした場合は、刑事罰となる可能性もあるので、このケースでは逆に夫側が慰謝料を請求できるかもしれません」

一方、松下さんいわく、「妻が家事をしない」「性交渉に応じてくれない」というのも夫側の主張としてよく聞かれるという。

松下さん「ただし、このような主張は証明するのが中々難しいところです。家事の分担も性交渉も、夫婦間の取り決めや生活リズムによって変わるので、それこそ一般化することができません」

いずれにしても、それが夫婦関係を壊す原因になりえると思ったら、まずは専門家に相談してみるのもいいだろう。

最後にアドバイザーからひと言

「今回は不倫の慰謝料についてお話しましたが、離婚の際には、親権や財産分与の取り決めでで争いが起こるケースも多いですね。話し合いの際は、後悔のないよう、よく情報収集をしたうえで臨んでください」

Text by Mai Matsubara(Seidansha)

Edit by Kei Ishii(Seidansha)