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第4回 | スマートフォン時代だからこそ始める本格一眼レフ入門

初心者必見。シャッタースピードを駆使してプロ級の美しい写真を撮る

スマホでは撮れない趣味の写真を楽しむための本連載。いよいよ具体的な撮影操作の解説へ。今回はシャッタースピード。レンズを通してカメラへ何秒の光を取りこむのかを意識できるようになることで、あなたの写真の見方が変わります。

■この連載のアドバイザー
射場本 健彦

イベントカメラマンとして、国民的アイドルや、五輪や国際イベント、外交イベントでの公式写真経験多数。現在は撮影だけでなく、政治分野におけるコミュニケーションディレクターとして、写真・動画やSNSといったツールを用いてどう世論と対話するかの設計も行っている。

実践的なカメラの撮影テクニックを紹介

初心者の方には一眼レフの楽しさと基礎知識を、中級者の方には様々な撮影テクニックをお伝えしていく目的で始まったこの連載も第4回となった。前回まではカメラ・レンズ選びの際に役立つ知識の紹介を続けてきたが、今回からは実際に撮影に関する知識・テクニックを解説していこうと思う。

一眼カメラが多数の設定項目・ボタンを持つ理由

さて、一眼カメラを手に取ってまず驚くのは、設定項目とボタンの多さである。全てカメラ任せでも写真を撮影することができるスマートフォンでの撮影との違いに戸惑う方も多いのではないだろうか。

上の画像は私が使用しているCANON 1DX Mark2というカメラである。業務用の最上位機種なので初心者の方が最初に使うカメラよりは複雑なのだが、全面・背面とたくさんのボタンがあるのがおわかりいただけるだろうか。

これだけ多くの設定項目を、自分自身で考えて操作できる事、これが一眼カメラの利点だ。最初は難しく感じるかもしれないが、チャレンジしていけば、どんなシーンでもスマートフォンでは撮影できないような最高の1枚を撮影するテクニックが身に付いていく。

一眼カメラの設定=「どのように光を集めて、どのように表現するか」

具体的に、一眼カメラにはどんな設定項目が存在するのだろうか。

その説明をする前に『写真とは何か?』を改めて考えて見よう。

写真とは、イメージセンサーに光を当てて、その光を記録したものだ。そのためにイメージセンサーを備えたカメラと、外部から光を集めてカメラに送るレンズが必要になる。第一回で説明した通り、どんなに高価なカメラでも、どんなに格安のスマホでも、レンズが集めた光をセンサーに当てて記録したものが写真であるということには変わりがない。

つまり写真の撮影は、『どのように光を集めて、その光をどのように表現するか』に尽きるということだ。光の集め方や表現方法を調整するために、カメラの設定を変えたり、レンズを変えたりするのである。
その調整できるものひとつに「シャッタースピードがある」。

シャッタースピードを遅くすることで撮影できる美しい写真

さて、下の写真は、東京湾花火大会の写真である。(今は2020年の東京オリンピック・パラリンピックの準備の影響で休止中)

この写真では、花火の光が一本一本線となって、まるで夜空に浮かぶ花のように拡がっている。実はこの写真は、スマートフォンなどで普通に花火を撮影したのでは撮ることができないものだ。

花火は燃えて発光する物体(「ほし」と言う)を爆発で散らし広げていくことで、空に美しい光の軌跡を描く。しかし「ほし」は小さな球体であり、実際には線ではなく「点」であるため、花火が拡がっている最中の一瞬を撮影したのではただの「光の点」の集まりが写るだけになってしまう。そのような写真を見たことはないだろうか。

では、その花火の光を「点」ではなく「線」のように表現する写真を撮影するために何をしたかというと、私はこの写真を撮影する際に3.2秒間シャッターを開いた。

シャッターを開くということは、その間は光がレンズに入り続けるということである。つまりシャッターを3.2秒間開いたということは、3.2秒間の光を1枚の写真に収めたということであり、もっと言えばで「3.2秒間の出来事を1枚の写真にぎゅっと収めた」ということなのだ。

このように、光を取り込むためのシャッターが開いて閉じるまでの速さのことを「シャッタースピード」と言う。この写真で利用した3.2秒のシャッタースピードは、非常に遅いシャッタースピードである。

早いシャッタースピードにした場合に撮影できる写真

次の写真は、色鮮やかなバングラデッシュの街の風景の写真である。

 この写真では、走っている自転車がブレることなくきちんと撮影されているが、ではこれを仮に、花火の写真のように3.2秒間シャッター開いて撮影したらどうなるだろうか?

そう、自転車はその間にも動き続け、ビシッと止まらずにブレブレの自転車になってしまうことだろう。
実際にこの写真はたった200分の1秒のシャッタースピードで撮影したものであり、ほんの一瞬の出来事を写真に収めたということになる。

次の被写体は新幹線。自転車よりもかなり高速に走っているわけだが、この写真の新幹線は全くブレていない。

この写真のシャッタースピードはなんと500分の1秒。新幹線ほど速く動く被写体となると、非常に早いシャッタースピードに調節して、本当にほんの一瞬の光をカメラに収める必要があるということなのだ。

シャッタースピードを駆使して芸術的な写真を撮影

これまで紹介した花火・街撮り・新幹線の3枚のシャッタースピードは、このぐらいで写せば当たり前に上手く写真が撮れるだろうという教科書的なスピードである。しかし、これをわざと外す事で面白い写真を撮ることもできる。

上の写真は香港の高層ビルの写真だが、4秒のシャッタースピードにすることで通過するバスの光を長時間取り込むことで写真の中に光跡を作ることができた。
単に高層ビルを撮るだけでは表現できない、香港のスピード感や勢いを表現することができるというわけだ。

 このように、「どのような写真を撮りたいのか」から逆算して意図をもってシャッタースピードを調整することで、写真のテクニックが向上し、もっともっとカメラを楽しむことができるようになる。

一眼カメラのシャッタースピードを変えるにはモードダイヤルで

では、シャッタースピードはどのように変えるのだろうか。

みなさんの一眼カメラを見てみてほしい。メーカー毎に多少表記が違うのだが、「P/A/S/M」や「P/A/T/M」、「P/Tv/Av/M」などと書かれたダイヤルがついていないだろうか?

これはモードダイヤルと言い、どのメーカーのカメラでも同じようにカメラの上部についているパーツである。(下記の写真はソニーのモードダイヤル)

このモードダイヤルをS(シャッター)もしくはT(タイム)に設定した上で、もう一つのダイヤルあるいはボタンを操作することでシャッタースピードを変えることができるのだ。

カメラのモードダイヤル「P/A/S/M」の意味とは

他のモードの意味もこの機会に紹介しよう。こおでは「P/A/S/M」のモードダイヤルを例にとって解説する。

まずPは「プログラム」の意味で、全ての設定をカメラ任せにする、というモードである。Aは「アパーチャー(Apature /絞り)」で、次回説明するレンズの絞りという機能だけを撮影者が調整するモード。Sは「シャッター」で、先ほど説明した通りシャッタースピードだけを撮影者が調整するモード。最後にMは「マニュアル」で、シャッタースピードも絞りも全て撮影者が調整して決めるモードとなる。

今後この連載では様々な撮影テクニックを紹介していくが、その中ではいろいろなモードや調整すべき項目など、多くの撮影者が決めるべき設定事項が登場する。その中でも今回解説した「シャッタースピードの操り方」が写真において最も重要なポイントなので、ぜひシャッタースピードを変えた撮影に挑戦してみてほしい。

また、日常生活の中で、皆さんは広告などを通じて多くの写真を目にしているだろう。その中で気になった写真があったら、ぜひ「どういう意図で、どういう光を、何秒ぐらいのシャッタースピードで撮影したのかな」と考えながら見てみることをおすすめする。そうすると驚くほど写真撮影の技術が上がっていきますよ。

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