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- 大人ライダー向けのバイク -

最高速度160kmのイーバイク──Düsenspeed Modell 2

休日や朝、あるいは深夜にふと思い立ち、ふらりと海までバイクを飛ばす。ライダーにとって最高の瞬間のひとつだ。そして、ひとしきり走ると「ちょっとカフェで一服」。1960年代のロンドンでは、カフェに集まる公道レーサーの若者たちを「カフェレーサー」と呼び、それはのちにバイクのスタイルを表す言葉となった──。そんな古き良き時代のカフェレーサーのようなe-bike(電動自転車)をご存じだろうか。スイスのDüsenspeed(デュゼンスピーツ)が生んだ『Modell 2』は、e-bikeながら最高速度160km/hを誇る革新的プロダクトだ。

“1960年代のカフェレーサー”のような電動自転車、デュゼンスピーツ『Modell 2』

クルマやバイクだけではなく、最近は自転車にも電気を動力とし、斬新なアイデアやメカニズムを盛り込んだ製品が次々と誕生している。歴史が浅いために名称もさまざまで、「e-bike(イーバイク)」「electric bicycle(エレクトリック・バイシクル)」、あるいは「pedelec(ペデレック)」と呼ばれることもあるようだ。

ここでは便宜上「e-bike」と呼ぶが、近い将来には呼称の統一に加え、セグメント化も進んでいくことだろう。

e-bikeがおもしろいのは、工業先進国の大手メーカーのみならず、中小のエレクトロニクス企業、エンジニアによる個人事業者のような会社、さらには異業種メーカーにいたるまで、その数を正確に把握できないほど多くの企業が参入していることだ。そして、その製品はいずれも驚くほどデザインや機能面のクオリティが高い。

こうした群雄割拠のe-bike群で、今ちょっと気になる存在なのが、スイスのデュゼンスピーツが開発した『Model 2 Cafe Racer(カフェレーサー)』だ。古き良きカフェレーサーをモチーフとした個性的なデザインが特徴のe-bikeである。

最高速度160km/hのパワーを完全オリジナル設計の革新的一体型フレームで支える

デュセンスピーツは、機械や小型船舶の設計、木工や複合繊維加工などを行う一方、経営管理の資格も有するユニークな企業だ。

最初に手がけたe-bikeは、2016年に発売した『Model 1 Boad Tracker(ボードトラッカー)』。第2弾となる『Model 2 Cafe Racer』は、その名が示すように、往年のブリティッシュモーターサイクルのテイストを漂わせる非常に個性的なスタイリングを実現している(『Model 1』も十分個性的だったが)。

『Model 2』がカフェレーサーを名乗る理由は、大きすぎるガソリンタンクのようなメインフレームに対して、アンバランスにも見える細身のホイールリムやサスペンション…といったデザインにあると思われる。しかし、じつはそれだけではなく、最高速度が160km/hに達するという「速さ」も兼ね備えているからに違いない。

注目すべきは、その速さを支える車体だ。『Model 2』は、動力性能の高さからe-bikeとモーターサイクルの中間的な存在になるが、いずれにせよ高速で走る二輪車のフレームやサスペンションには、当然ながら高い剛性(外力による変形のしにくさ)と剛性バランスが要求される。つまり、どれだけパワーがあってもパッケージ全体がまとまっていなければまともに走ることはできないのだ。

『Model 2』に限らず、デュゼンスピーツのe-bikeのメインフレームは一体化されたカーボンファイバー製で、単体重量はわずか5.5kgしかない。

カーボンファイバーは鉄と比べると、重量が4分の1、強度は約10倍、弾性も7倍あるうえ、摩耗性や耐熱性、耐酸性にも優れている。しかし、その半面、非常に加工が困難という致命的なデメリットも持ち合わせている。

量産しやすいパイプや板状の部材を使った製品はよく見られるが、『Model 2』のようにユニークな形状の一体型フレームとなると、完全なオリジナルとして設計するしかない。この技術こそデュゼンスピーツの持ち味なのである。

デュゼンスピーツ『Modell 2』は、お洒落なデザインに途轍もない能力を秘めている

残念ながら、『Model 2』に関するオフィシャルデータは非常に少ない。

出力は250〜2000W、最大トルクは80Nm(これはガソリンエンジンの750ccクラスに匹敵する)。バッテリーは500〜1800Whのなかから選択可能で、移動距離はバッテリーによって40〜200kmになるとのことだ。

しかし、基本的にはセミオーダーシステムが採用されており、カラーリングを含むパッケージ全体がユーザー次第なので価格すら明確になっていない。

『Model 2』は、このお洒落でユニークなデザインのなかに途轍もないポテンシャルを秘めている。こんなe-bikeを目にすると、近未来の移動手段としてだけでなく、エネルギーに対する感覚すらアップデートする必要を感じてしまう。

Text by Koji Okamura Photo by (C) Düsenspeed Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)