180205 (10)
- 相談しにくいセクハラ・パワハラ対策【初級編】 -

感情的な対応はNG! SNSでセクハラ騒動に巻き込まれた際の対処法

自らが受けたセクハラ被害を「#metoo」というハッシュタグを付けSNS上に投稿するの動きが世界中で広まっている。日本での認知度はまだまだとはいえ、今後、身に覚えのない「#metoo」投稿をされるリスクには備えるべきだろう。もしも自分が加害者としてSNS上で実名告発された場合、どのような対処をすべきか専門家に聞いた。

今回のアドバイザー
弁護士法人プラム綜合法律事務所弁護士
梅澤康二さん

弁護士法人プラム綜合法律事務所所属。労務全般の対応をはじめ、紛争等の対応、M&A取引など、企業法務の法律相談を多く受ける。

世界で広がる「#metoo」の波。日本ではどれくらい広まっている?

SNS上にセクハラや性被害の体験を告白する「#metoo(私も)」。40代の男性にとっては、ある日突然セクハラ上司として自分の名前があがらないとも限らない。米ハリウッドで始まった運動だが、日本ではどの程度浸透しているのだろうか?

梅澤さん「現状では、SNSで実名とともにセクハラを告発された、という相談を受けたことはまだありません。日本での『#metoo』が活発化しているかは不明ですが、ネットニュースなどの情報の限りでは、活動そのものは始まっているようです」

TwitterやFacebookで「#metoo」を検索してみると、実体験を綴るものはあるが、加害者の実名が記載されていないケースがほとんど。名前まで挙がるのは、特殊な例なようだ。

SNSで告発されたら、まずは事実確認を

特殊な例といっても備えあれば憂いなし。ということで、SNSに名前が書かれた際の対処法を聞いた。

梅澤さん「もちろん、セクハラと誤解されるような行為をしないことが第一ですが、仮にセクハラ加害者として告発された場合は、反論できるだけの証拠の有無が重要です。謝罪をする前に、まずは相手がSNSに投稿した内容が事実かどうかを確認してください。方法としては、相手を不快にさせたと考えられる記録(メールや写真など)を参照したり、セクハラをしている際の目撃者がいれば、その第三者に話を聞いたりするなどの方法で事実確認をしましょう。

相手の主張が事実無根であれば、その旨を伝えて削除させるべきです。しかし、すべて事実であれば、相手に直接連絡をとって、なぜそのような行為(セクハラ)に及んだのかという理由も含めて誠実に謝罪をしたうえで、相手の具体的な要望を聞くことになります」

しかし、セクハラの事案では白か黒か、はっきり分かれるのは極めてまれ。もっとも多いのは、セクハラとして告発された内容の一部は事実であるが、一部は事実でないものや、事実の認識や事実に対する評価が加害者と被害者で異なっているというケースのため、見極めが難しいのだとか。

梅澤さん「事実を確認したうえで事実と異なると考えるのであれば、自分の認識と異なる点があることは明確に伝えつつ、不快な思いをさせたことについて誠実に謝罪してください。それから、今後の解決策について協議することになります」

また、自分のなかで“セクハラをしていない”という認識があれば、その記憶を補強する意味でも事実確認は重要だという。自分の過去から目を背けず、誠心誠意対応すべきだろう。

事実確認前の連絡、感情的なメッセージはNG

セクハラの事実があってもなくても、告発された側がやってはいけないことがある、と梅澤さん。

梅澤さん「事実の確認をする前に告発した相手に連絡をすること、相手に対して感表的なメッセージを送ることや、感情的な電話を相手にかけるのもNG行為。また、全体公開のSNSなど、他者が見える状態でのやりとりも避けてください。セクハラ事案では、感情的になり言った言わない、した、しないの水掛け論になることがほとんど。事実に対する認識や評価は、当事者双方でまったく異なるので、こじれてしまうケースも多いのです」

それぞれの主張を冷静に見るためにも、メールや録音、写真といった客観的証拠と、目撃者などの第三者の供述が重要になるという。長期戦を避けるには、感情がぶつからない工夫が必要なのだ。

最後にアドバイザーからひと言

「相手がSNSに自らのセクハラ被害を投稿するのには、それなりの理由や要求があると思います。そのため、相手が何を要求し、希望しているのかを明確に協議することが重要です」

Text by Miki Ohnuki(Seidansha)

Edit by Kei Ishii(Seidansha)