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- 相談しにくいセクハラ・パワハラ対策【初級編】 -

女性部下と2人きり…セクハラを疑われない出張中の過ごし方は?

女性の部下や後輩を連れた出張が発生した場合には、自分が“セクハラ加害者”として疑われるリスクがあることに留意したいもの。とはいえ具体的には、どのような点に気を付ける必要があるのだろう? 具体的なポイントを鳳和虎ノ門法律事務所の杉山和也弁護士に聞いた。

■今回のアドバイザー
鳳和虎ノ門法律事務所 代表弁護士
杉山和也さん

早稲田大学法学部卒業、平成16年に弁護士登録。平成22年鳳和虎ノ門法律事務所を開設。セクハラ、パワハラなどの労働問題や、男女間の離婚問題などに詳しい。どんな事件にも誠意と熱量を持って取り組む「オーダーメイドのテーラー」らしい法律事務所がモットー。

女性部下と2人きりの出張…そもそも会社の労務管理を疑うべき!?

ビジネスマンとして、想定しておきたい問題といえる「女性部下との出張」。しかし、セクハラ問題に詳しい杉山弁護士は、そもそも“女性部下と2人きりの出張”を命じる会社に対して疑問を投げる。

杉山さん「出張は、セクハラの相談件数も多いシチュエーションであり、女性部下と2人きりの出張を命じるような会社は、昨今のセクハラ問題への認識の甘さや、労務管理に問題があると言えます。

一般的にセクハラの“加害者”である男性が、女性の評価権者(賞与や昇進の査定をする者)の場合は、よりセンシティブな状況になります。男性側がセクハラで訴えられればたちまち不利な立場に立たされてしまうため、誤解されるような行動を慎んだうえで、もしもの時に備え、のちに証拠となる“足あと”を残しておくことが重要になります」

セクハラ裁判で不利にならないために! 出張中に残しておくべき“足あと”

後にセクハラ疑惑が出た際に備え、出張時に残しておくべき“足あと”とは、いったい何か? シチュエーション別の対策を、杉山弁護士に教えてもらった。

●新幹線、タクシーなどの移動時
杉山さん「移動の飛行機や新幹線では、隣同士の席になることも多いはず。その場合は、女性は死角のない通路側の席に座ってもらってください。また、タクシーを利用するときは、できるだけ目的地までの最短ルートを通り、走行距離や時間に不自然がないようにしてください。そのうえで、客観的な証拠になるレシートを保管しておくことは必須です」

●滞在先での夕食
杉山さん「セクハラが起こりやすい個室居酒屋やカウンターの店は避けて、できれば飲酒も控えた方が賢明です。また、カラオケなどの密室は一発アウト。店舗名や時刻をあとから証明できるように、ここでもレシートは必ず保管してください」

●滞在先のホテル
杉山さん「宿泊先は、簡素なビジネスホテルに限ります。部屋は必ずシングルルームにして、フロアも別々にしてください。当然、互いの部屋の行き来は厳禁です。夜は、その日の業務を簡単にまとめた日報を作成し、会社用のメールアドレスに送信しておくことで、その間は作業をしていたというアリバイをつくることができます」

●帰社時
杉山さん「円満に業務を終えて帰ったという証明のために、同じ交通機関で一緒に帰社するのが望ましいです。バラバラに帰ってしまうと、主張先で何かあったのではと疑われる原因になります」

セクハラで訴えられ……社内調査で示談になっても、油断は禁物!

円滑に業務を終えて、無事出張から帰ってきたはずなのに、それでもセクハラを訴えられてしまった! その場合は、どう対応すべきだろうか?

杉山さん「女性が会社側にセクハラを申告すると、まずは社内調査が始まります。しかし、会社側はあくまで自社の保身を優先。たとえセクハラの事実はなくても、“被害者”である女性の言い分を立てるため、男性に引責させる形で、内々で示談に済ませることが多いようです。

しかし、やってもいないセクハラを認めることは、もちろん得策ではありません。会社で内々に済ませたはずが、あとになって女性から訴えられるというリスクもあり、裁判で仮にもセクハラを認めていたという事実は、不利な証拠になってしまいます。もしも社内の示談に応じる場合は、慰謝料の件や、裁判まで持ち込まないという相手の合意を取った『示談書』を作成し、互いの調印を結んでおくことが大切です」

最後にアドバイザーからひと言

「今の時代は、女性に『髪切った?』と聞くだけでも、法律上のセクハラ判定はクロ。誤解のないような行動を心がけてください」

Text by Mai Tachikawa(Seidansha)

Edit by Kei Ishii(Seidansha)