180131-2 (28)
- スーパーカーブランド【ポルシェ】 -

世界で最も古い911を見よ──蘇った幻のポルシェ901

すべてのスポーツカーのアイコンモデル、ポルシェ『911』。この名車が1963年の発表当時に『901』という名だったことは、ポルシェファンにとって常識だろう。プジョーが中央に「0」が入るモデル名を商標登録しており、異議を申し立てたため、『901』は販売時に『911』へと改められたのだ。このとき『901』として生産された『911』はわずか82台──。2017年12月、ポルシェはそのうちの一台を3年の年月をかけてレストアし、ポルシェミュージアムで公開した。シャシーナンバー「300.057」(901 No.57)の「幻の『901』」である。

わずか82台しか生産されず、ポルシェ自身も所有していなかった“最も古い『911』”

ポルシェ『901』が『356』の後継モデルとして1963年9月のフランクフルトモーターショーでデビューし、量産モデルとして生産開始されたのは、1964年9月のことだ。

しかし、それから数週間後の10月、商標権の問題でプジョーから訴えられ、販売時にはモデル名を『901』から『911』へと急遽変更することとなる。この期間に『901』として作られたのが、計82台存在するとされる最も古い『911』だ。

そのうちの数台は今もコレクターの手で保存されているが、じつはポルシェ自身は『901』を所有していなかった。ポルシェミュージアムに保存されていた『911』のなかで、これまで最も古かったのは1965年に生産されたモデル。ポルシェにとって、その手に幻の『901』を取り戻すことは、非常に重要なプロジェクトなのである。

今回復元された車両は、シャシーナンバー「300.057」(901 No.57)の『901』。1964年10月22日にラインオフした極めて貴重かつ歴史的な車両だ。

可能な限りオリジナルのポルシェ『901』に近づけるために3年をかけてレストア

このプロジェクトが始まったのは、アンティークやコレクターズアイテムを扱うドイツのテレビ番組がきっかけだったという。

2014年、同番組がある車庫で埃をかぶったボロボロの『911』を発見する。そこで、鑑定をポルシェミュージアムに依頼したところ、その車両が『901』であることが判明したのだ。
ポルシェは即座にこの車両の購入を決定し、レストアを開始した。それから3年の年月を費やして復元されたのが、今回公開された『901』である。

とはいえ、ボルボロに朽ち果てたクルマを元通りに戻すのは、我々が想像する以上に手間がかかる作業だ。発見された当時、この車両のボディ全体はひどく錆びつき、室内には雑に修復された痕跡も残されていたという。

加えて、ポルシェはパーツ交換を最小限にとどめ、可能なかぎりオリジナルを利用する原則を採用。ボディの修復にはほかの車両の純正パーツを使い、エンジン、トランスミッション、足回り、電装品も同じ方法でレストアを施した。

こうしたあえて手間のかかる方法を選択したために、この『901』を完全に復元するまで3年もの歳月を要したわけだ。なにしろ、最も傷んでいたボディだけで、その修復に12カ月もかかっているのである。

復元されたポルシェ『901』は、4月8日までポルシェミュージアムで特別展示中

復元された幻の『901』は現在、ドイツ南西部の都市、シュトゥットガルトにあるポルシェミュージアムで、「911 (901 No. 57) – A legend takes off」という特別展示として公開されている(2017年12月14日〜2018年4月8日)。

ポルシェミュージアムの開館時間は、午前9時から午後6時まで、休館日は月曜日。入場料は8ユーロ(約1080円、1ユーロ135円換算)とお手頃だ。ガイド付きの特別ツアーをお望みなら、事前予約すれば60ユーロで利用できる。

スポーツカーのアイコンとして、絶大な人気を誇るポルシェ『911』。その最も古い車両を見るためにシュトゥットガルトへと旅する──。これは『911』ファン、すべてのポルシェファンにとっての聖地巡礼となるのではないか。

Text by Kenzo Maya

Photo by (C) Porsche AG.

Edit by Takeshi Sogabe(Seidansha)