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第9回 | いまさら人には聞けない仮想通貨「ビットコイン」とは?

住民税と合わせ最大で55% ビットコインへの税金はどうして高い?

価格の急上昇と乱高下によって、昨年より様々な話題を振りまいてきた仮想通貨。さらには仮想通貨取引所「コインチェック」が、不正アクセス被害によって日本円換算で580億円に相当する仮想通貨「NEM(ネム)」を流出させたことから、取引所のセキュリティや安全性に関する問題点が浮き彫りとなり、再び連日話題となっている。

こうした安全面への不安は購入検討者にとって不安の種だが、さらに、検討者を悩ませているのが「税金」。ビットコインには最大で55%(所得税+住民税)という、高額な税金が課せられているからだ。女性と女性ファイナンシャルプランナーのマッチングWEBメディア『FP Cafe』の運営などを行う株式会社Money&Youの代表取締役・頼藤太希氏に、ビットコインの税金事情について詳しく話をうかがった。

■今回のアドバイザー
株式会社Money&You代表取締役/マネーコンサルタント
頼藤太希

慶應義塾大学経済学部卒業後、大手生命保険会社に入社。資産運用リスク管理業務に6年間従事し、2015年に退職し株式会社Money&Youを創業。マネーコンサルタントとして、資産運用・節税・仮想通貨などFintechに関するコラム執筆、書籍の執筆・監修、講演など日本人のマネーリテラシー向上に努めている。著書に『1000円から増やす積み立て投資術』『税金を減らしてお金持ちになるすごい!方法』など多数。

ビットコインの税金が高額である理由は”慣習”

国税庁は2017年12月1日、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について」を公表。それによると、ビットコインをはじめとする仮想通貨を売却(または使用)することによって生じる利益については、原則雑所得に区分するものとし、所得税の確定申告が必要であるとしている。

雑所得は給与所得や事業所得など、様々な所得と合計して総所得を計算した後、納税額を計算するが、所得税はご存知累進課税制度。所得が高いほど税率が高く設定されており、その税率は5%~45%まで7段階となっている。

具体的には、その納税額の計算は以下の通り。(2018年1月30日現在)

(1)195万円以下:所得金額x5%
(2)195万円超330万円以下:所得金額x10% – 9万7500円
(3)330万円超695万円以下:所得金額x20%- 42万7500円
(4)695万円超900万円以下:所得金額x23% – 63万6000円
(5)900万円を超1800万円以下:所得金額x33% – 153万6000円
(6)1800万円超4000万円以下:所得金額x40% – 279万6000円
(7)4000万円超:所得金額x45% – 479万6000円

さらに、上記所得税額に地方税である住民税の10%が課税される。こちらは、所得金額に関係なく一律10%となることから、雑所得への課税率は「所得税+住民税」で、15%~55%ということになる。ビットコインや仮想通貨で得た利益にもよるが、場合によってはその半分以上が税金となってしまう可能性もある、ということだ。

ちなみに、株式の配当・譲渡所得等にかかる税率は20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)。比べると、ビットコインはずいぶん割高な印象を受ける。いったい、どうしてこうなっているのか?

株式会社Money&Youの代表取締役である頼藤太希氏は「そもそも新しく始まった金融商品や投資商品に関して、まずは高額な税率を設定するのは日本の金融の慣習でもあります。FXが国内で開始した時も、やはり同様の動きでした」と話す。

今から20年前の1998年。為替法の改正が行われ、日本でFXが解禁された。その際も、FXによる所得には総合課税が適用されることとなり、現在の仮想通貨同様の計算方式でスタート。その後、2005年に金融先物取引法の改正によって、申告分離課税の対象となり税率は一律20%に。現在は復興特別所得税の0.315%が加算され、一律20.315%になったという経緯がある。

しかし、いったいなぜこのように高い税率からスタートする慣習があるのだろうか。そこには裏の狙いがあると頼藤さんは分析する。

「国が新しい金融商品に高い税率を課す理由には、『国民の資産を守りたい』という意思があると思います。特に仮想通貨の値動きは激しいので、資産を失う可能性が高く、税率を高めることで、その金融商品の取引を抑制する狙いはあるでしょう。また、ビットコインのような仮想通貨は中央銀行のような管理主体がないため、国がコントロールすることができない。中国や韓国、ドイツが規制に向けた検討を始めているのも、同様の観点でしょう」

国が仮想通貨など、新しい金融商品による所得への税率を低く設定した場合。国民が自分の資産を切り崩し、購入に充てる動きが加速することも予想される。年利の低い大手都市銀行や地方銀行などに預けるよりも、価値が上がる可能性が高いとなれば、なおさらだ。すると、国民は銀行に預金を預けず、仮想通貨に資産を移動する。仮想通貨は値動きが激しいので、資産を失う人が増える。日本人の資産が減り、経済も停滞していく。仮想通貨が主流になれば、日本円での金融政策も機能しなくなり、経済のコントロールも難しくなる。国はその危機を回避したいがため、新しい投機商品にはあえて高めの税率を設定するということだ。

反面、2015年のギリシャ金融危機の際には、銀行が出金制限を行い、多くの人たちがATMから通貨を引き出すことに苦労するなか、ビットコイン専用のATMから現金をおろして難を逃れたという実例もある。このように、国になんらかの金融危機が発生し、法定通貨の価値が大暴落した場合は、保有する資産をビットコインなど仮想通貨に換えておくことで、危機を逃れられる可能性はあるかもしれない。

幸い、日本円の価値は安定しており、ビットコインなど仮想通貨よりも価値や信用はまだまだ上。こうした日本円の価値を支えるためにも、税率は調整されているのだ。

Text by Daisuke SUZUKI(KOUMUTEN)

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