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- 酒?料理?個室?目的別の接待の切り札店 -

豪奢な空間で堪能する本格中華「過門香 銀座本店」

色とりどりの料理が載せられた大きな皿から、各々が取り分けて食べる──中華のこのスタイルは、日本の鍋料理と同様、同じ皿を共有することから生まれるコミュニケーションが魅力となる、接待にもうってつけの料理といえよう。銀座一丁目駅すぐという銀座の中心にある「過門香」はモダンチャイニーズダイニングの店。高級感ただよう店内をあいまって、大事な接待にもオススメだ。

まさに中国の「酒楼」。映画に登場するような“異空間”は圧倒的

店名となっている「過門香」という言葉は、門の前を通り過ぎようとする人々が、漂う香りに惹きつけられ、思わず門をくぐってしまう様子を表現しているのだという。

その門にあたる扉をくぐってみれば、地階とは思えぬ空間がそこには広がっている。まずその “眺め”に驚くはずだ。
中央の通路を挟んで並ぶ一般席のテーブルは透し彫りの仕切りで仕切られた半個室。それが規則正しく並ぶことで美しく、豪奢、日常とは異なる空間を作り出している。

「最近は、まずみなさんが入り口で記念撮影なさいますね。まず、当店のコンセプトは『単に料理を売るのではなく、食を通してその国の文化、歴史も伝える』となっております。そこで、仕切りは中国内の職人が手仕事で作ったものを現地から取り寄せています。かなりの予算を使いましたが、やはり機械で作ったものとは雰囲気がまったく違いますからね。目的にかなったものになったと自負しております」そう語るのは支店長の滝下さん。
聞けば、パーティールームに置かれている巨大な景徳鎮の壺や、兵馬俑の置物なども中国の職人が作った“本物”を取り寄せたものだという。美術品、工芸品の目利きでなくとも、漂う雰囲気が違うことはわかるのだ。もちろん、透かしの仕切りではない完全個室も5室用意されているので、そこはご安心を。

本場の特級調理師が手がける麻婆豆腐は絶対食べておきたい逸品

この店の看板メニューの一つが、四川料理の本場、重慶市で活躍した特急調理師が手がけた「重慶式麻婆豆腐」だ。
麻婆豆腐の旨さ・辛さは、唐辛子による「麻(マー)」だけでなく、「辣(ラー)」のビリビリとしびれるような刺激による。その「辣(ラー)」は、うな重にかける山椒と似た、花椒がもたらすもの。最近は日本でもスーパーのスパイス売り場に並ぶほど一般的なものになり、日本の山椒と似ているが辛味、香りが強いのが特徴。とまあ、このあたりは麻婆豆腐好きであれば知っているはず。

この「重慶式麻婆豆腐」、その辛さ自体に深みがある。辛く、そしてビリビリとしびれる辣の刺激が舌を焼き、山椒に似た香りが漂う。しかし驚くのはここから。さらに、花のような甘さを伴う香りが鼻を抜けていくのだ。筆者は花椒を家にも常備しているぐらいなのだが、今までに花の香までは感じたことはない。

これを支配人に伝えれば、意を得たり、といったところだろうか。微笑みを浮かべ、こう教えてくれたのであった。

「香りが他とは違うと感じられたのではないでしょうか? 食材は基本的に日本産のものを使っていますが、やはり香辛料については日本で売られているものでは出せない味を持っているのですよね。ですから、中国産のものを、それも現地でもあまり売られていないものを独自ルートによって取り寄せています」

食材は日本産にこだわりつつ、本物の味が中国にしかない食材であれば選りすぐりのものを取り寄せる。このバランスが、味と安全性を保っているようだ。

細かいところであるが、油を使うことが多い中華料理にあって、揚げ物や炒め物には健康問題が指摘されているトランス脂肪酸が少ない低温抽出の米油を使用しているのも地味に嬉しいところである。

京都の素材にこだわる。テーマ性のあるコースが人気

コースはリーズナブルな5000円のものから、フカヒレ、アワビ、ナマコ、ツバメの巣といった高級食材が並ぶ豪華2万5000円のものまで幅広い。接待使いでの一番人気を聞いたところ、前菜から始まり、7品で構成される8500円の「隋」コースだという。
特徴は同店の看板料理は「重慶式麻婆豆腐」であるところ、このコースでは「京豆腐と根菜の麻婆豆腐」に。またフカヒレスープには聖護院大根と京丹波鶏が入るなど、京都の旬の食材を中華に取り入れ、中華でありながら京都を感じられる仕様となっていること(料理、食材は季節により異なる)。テーマ性のある一捻り効いたコース料理が、会話のつかみとして役立ちそうだ。

アルコール類は熟成3年から、20年まで揃う紹興酒を始めたとした中国酒の他、オリジナル地ビールや、人気銘柄の日本酒、そして今はまだ珍しい国産ラム、国産ジンを使ったカクテルまで幅広くあつかっている。中華料理店は、お酒の品揃えがあまり強くない、というイメージがあるかもしれないが、そうした心配は無用。さらに、各種中国茶も揃っているため、もし酒をあまり嗜まない人でも、十分にこの店を楽しめるだろう。

なお、毎月1〜10日は北京ダックフェアとなり1羽1万3000円が6500円、半羽7000円が3500円と半額での提供となる(1日10羽限定)。接待の日程とうまく重なるのであれば、追加で予約してみてはいかがだろうか。

豪奢な空間で、高級感のある接待が可能。それでありながら、円卓でひとつ鍋をつついたような連帯感も育める…。大事な接待にふさわしい店といえるだろう。

Text by Masayuki Utsunomiya

Edit by Kei Ishii(Seidansha)