デザイナー植木莞爾の手がける住宅
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アップルストアのデザイナーが語る部屋作りのコツ

アメリカのアップルストア1号店で空間デザインを担当したデザイナーの植木莞爾氏は、数々の住宅インテリアも手がけてきた。デザイナーとしてキャリアをスタートしたイタリアでは、人々の生活意識の高さを身にしみて感じたという。3回にわたるインタビューの第2回では、センスよく快適な住空間を作る秘訣について話を聞いた。

植木莞爾氏は、ミラノのデパート、リナシェンテのデザイン室では、外注したデザイナーや建築家から上がってきたデザインを図面に起こす作業に携わった。 植木「70年代はイタリアのデザインが非常に魅力的な時代でした。そんな時期に、雑誌ではなく実物の建築や家具デザインに触れられたのは貴重でした」 「それと、リナシェンテのあとに勤めた建築事務所では現場に行くことが多かったんですが、そこで出会う大工さんやペンキ屋さんがよく自宅に招待してくれるんですね。経済的に豊かなわけではない職人さんの家でも、掃除が行き届いていて、テーブルクロスも折り目なくアイロンがかけられていたりする」 「おそらく親の代から受け継いだような古い食器やカトラリーを丁寧に使っていて、食事が始まるときには綺麗なナプキンが用意されて、非常に生活意識が高いと感じました」 House of Toranomon House of Toranomon House of Toranomon House of Toranomonでは、ニュークラシックのテーマで1930〜40年代の家具のリプロダクションを選び、空間を作り上げた 植木氏の話からは、イタリアのそれぞれの家庭がスタイルを持っている様子が伝わってくる。 統一感を持たせることが、居心地のよい住空間を生み出す。 植木「部屋を作るときには、ひとつテーマを決めることが重要です。有名デザイナーの家具を選んでも、バラバラだと家具屋のショールームになってしまいますから。例えば最近、改めて注目を集めているのが1930年代のフランスの家具。クラシックな印象もあるけど、モダンデザインの始まりなので今見ても非常に鮮度がいい」 「それと、1950年代のいわゆるミッドセンチュリー。イームスなどのアメリカのミッドセンチュリーは有名ですけど、フランスやイタリアの当時のデザインも個性的でいいものが多い。1960年代の北欧、1970年代のイタリアなど、時代ごとで区切って、テーマ性を持って選ぶのが、コツだといえます」 過去の施工例を使ってインテリアの説明をする植木氏 過去の施工例を使ってインテリアの説明をする植木氏 自分の好きなものを見極めること。 そして、テーマを持ってインテリアを演出すること。 仕事を終えて帰宅したときにスッと自分の時間に戻れる空間を作るためには、その2つが大きな原則になるのだと植木氏は説く。 植木氏のインタビュー記事第3回では、ついにアップルストア1号店のイメージ動画が登場する。 スティーブ・ジョブズを瞬発的に魅了し、現在のアップルストアの原型となった空間デザインが1分30秒程度の動画に表現されている。 20世紀フランスを代表するデザイナーのひとり、ジャン・プルーヴェの作品で統一した空間 20世紀フランスを代表するデザイナーのひとり、ジャン・プルーヴェの作品で統一した空間 Thierry Orban / ABACAPRESS.COM / ゼータ イメージ 1960年代の北欧デザインというと、アルネ・ヤコブセンの存在感が大きい 1960年代の北欧デザインというと、アルネ・ヤコブセンの存在感が大きい Soeren Stache / dpa / picture-alliance / ゼータ イメージ

Text by Ryohei Nakajima