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第19回 | 「離婚」を乗り切るための方法

むしろトラブルの原因にも!? 話題の「離婚約」に法的権限はある?

最近、あるお笑いタレントによる造語とされる「離婚約」が話題になっている。婚約ならぬ離婚約とは、将来的な離婚を約束すること。果たして、具体的な離婚約の事例や法的権限はあるのだろうか? 「丸の内ソレイユ法律事務所」代表で離婚問題に詳しい中里妃沙子弁護士に聞いた。

■今回のアドバイザー
「丸の内ソレイユ法律事務所」代表
中里妃沙子さん

東北大学法学部卒業後、南カリフォルニア大学ロースクールLLMコース(法学修士)卒業。2009年に「丸の内ソレイユ法律事務所」を開設。日本全国から年間600件以上の問い合わせが寄せられ、とくに離婚に悩む相談者の再出発を手助けしている。著書に『なぜ男は妻よりも美しくない女性と浮気をするのか?』(宝島社)『女性弁護士がわかりやすく書いた!離婚したいと思ったら読む本』(自由国民社)など多数。

あらかじめ離婚する時期を約束することで、お互いの自立のためにも準備ができる

そもそも離婚約とは、どういったケースで行われるものなのだろうか。

中里さん「離婚約という言葉は、最近生まれたものですが、昔から離婚の約束を取り交わしながらも、夫婦として共同生活を続けているケースは、少なくありません。

離婚約を交わす理由には、『子どもが成人したら』、『夫が定年退職をしたら』、『妻の就職先が見つかったら』、『収入が安定したら』といった例があります。要するに離婚約とは、子どものためや、経済的な問題など、すぐに別れたくても別れられない夫婦が将来離婚することを前提に結婚生活を続けていく、夫婦間の約束事といえるでしょう」

法的には「単なる口約束」とみなされてしまう離婚約

昔から存在するという離婚約。実際に、法的拘束力はあるのだろうか。

中里さん「法的に考えた場合、離婚約は単なる口約束にすぎませんので、無効になる可能性が高いと思われます。

そもそも離婚というのは、双方の同意、もしくは民法770条1項に書かれている不貞行為(浮気や不倫)、悪意の遺棄(夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務)、婚姻を継続し難い重大事由などの離婚原因が必要になります。このように具体的で厳しい条件を課しているため、離婚約が法的権限を持つことはほぼないでしょう。

ただし民法756条に書かれている、離婚する際に夫婦間で財産をどう分けるかを約束する『夫婦財産契約』というのは、法的に有効になります」

離婚約成立後、夫婦によっては自暴自棄になって夫婦生活に亀裂が生じるケースも

中里さんによれば、離婚約を交わすことで、かえってトラブルを招く可能性があるとも。

中里さん「離婚約を切り出すことで、経済的、精神的な準備ができる一方で、パートナーの性格やタイプによって、かえって揉めてしまうケースもあります。『いつかはどうせ別れるから、どうでもいい』と自暴自棄になって、夫婦関係が悪化したり、離婚約期間に財産を隠されてしまったりということもあり得るのです。

ですから、夫婦間で離婚時期が同意できたのなら、離婚協議書を弁護士や行政書士につくってもらい、公正証書に残すことをオススメします」

最後にアドバイザーからひと言

「最近、よく耳にする離婚約ですが、法的権限はないので気をつけましょう!」

Text by Akihiro Fukuda(Seidansha)

Edit by Kei Ishii(Seidansha)

関連リンク
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所HP

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