180104 (2)
- 「離婚」を乗り切るための方法 -

我が子の場合と同様!? ペットの「親権」はどのように決まる?

子どもがいる夫婦が離婚をする場合、一番悩ましいのが親権の行方。折り合いがつかず裁判で親権を争うケースも多いという。では、ほとんどの飼い主にとって我が子同様に愛おしいペットの「親権」は、どのように決まるのだろうか? 専門家に詳しく聞いた。

■今回のアドバイザー
弁護士法人ITJ家庭法律事務所 弁護士
飯塚恵美子さん

東北大学法学部卒業。東京弁護士会所属。離婚や相続など、家庭問題を主として扱うITJ家庭法律事務所の代表弁護士。

財産分与の対象となり得るペット。とはいえ資産価値を決めることは難しい…

飯塚さんによれば、そもそもペットは夫婦間での『共有財産』として扱われるのが基本になるという。つまり離婚時の財産分与の対象として、話し合いを持つ必要があるわけだ。

飯塚さん「法律上ペットはタンスや冷蔵庫などと同様に“モノ”として扱われことになります。そのため同居後に飼い始めたペットは夫婦の『共有財産』となり、財産分与の対象となります。血統書付きなど財産的価値があれば、売却してその金額を折半することも可能かもしれませんが、ほとんどのペットは財産的価値がありません。どちらかが引き取るケースが一般的でしょう。

とはいえ、子ども同様に愛する家族の一員であるペットは、離婚時にどちらも権利を主張するため、分与の際に揉めることが少なくありません。どうしてもペットを引き取りたい場合は、話し合いの際に“他の財産を譲歩する”といった対応もひとつの手といえるかもしれません」

裁判官は『ペットの幸福』を重視。大きく分けて4つの争点から総合的に判断

もし、話し合いで決まらなかった場合は裁判所にどちらに財産分与するのが妥当かを判断してもらうことになる。その際に争点となるのはどういった部分なのか。

飯塚さん「子どもの親権決定の際には、子どもにとって不利益とならないよう『子の福祉』といった点が争点になります。ペットの財産分与(親権)も同様で、引き取りを巡る裁判では『ペットの幸福』とでもいったらいいでしょうか、そこが重要視されます。具体的には、大きく下記の4点から総合的に判断されることになります。

1.これまでペットの世話にどれくらい関与してきたか

ペットは子ども同様に手のかかる存在であり世話も大変です。そのため、飼育を放り出さずに責任を持って世話ができるかどうかという点も重要。それを裁判官は、今までどれだけペットの世話に関与していたかという点で判断します。

2.ペットのなつき度

なついている方と一緒に暮らしたほうがペットとしては幸せです。そのため、よりなついている方が裁判官の心象は良くなります。

3.離婚後の飼育環境

離婚後、ペットがより劣悪な環境に置かれるのは、たとえペットを愛していても大問題です。そのため、ペットを飼育するための快適な環境を準備できるかということや、飼育できるだけの時間の猶予があるかなどが争点となります。

4.無理なく飼育できる経済力

ペットと一緒に暮らすと、経済的な負担も大きくなります。引き取った際にペットを飼っても無理のない生活ができるかどうかの可否を裁判官は見ます。見逃しがちですが病気になった際の医療費負担の可否も考慮されます」

面会交流や養育費の取り決め内容にも要注意。離婚後、大きなトラブルになることも

たとえ引き取ることができなくても、我がペットを一目でも見たいと願う飼い主は多いはず。子どもと同じように養育費や面会交流などを設定することはできるだろうか?

飯塚さん「ペットは単なる『モノ』ととらえられているため、引き取らなかった相手に『飼育費(養育費)』や『定期的な面会(面会交流)』を求める権利は、法律上はありません。

ただし、お互い合意のもとで取り決めることは可能です。その際は離婚後にトラブルにならないよう、取り決める内容に注意が必要となります。分与されなかった相手方との交流頻度や会う場所、飼育費の場合は医療費などの臨時費用も含め、誰がどこまで負担するかという点をしっかりと決めるようにしましょう」

最後にアドバイザーからひと言

「婚姻ないし同居以前から飼っていたペットは、予め飼っていた側の『固有財産』となり財産分与の対象外となる点もおぼえておくと良いでしょう」

Text by Katsuya Hokonoki(Seidansha)