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- スーパーカーブランド【メルセデス・ベンツ】 -

MベンツE350──48Vマイルドハイブリッドとは何か?

欧州の自動車界では今、「48Vマイルドハイブリッド」がひとつのキーワードになっている。システムの電圧を従来の12Vから48Vに高め、高効率化を図ったシステムだ。欧州では実用化に向けた取り組みが急ピッチで進んでいる。そんななか、メルセデス・ベンツが『Eクラス』に48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載し、先ごろ本国で正式発表した。これは新たな最上級モデルの登場といえるだろう。

メルセデス・ベンツが『Eクラス』に「48Vマイルドハイブリッド」を搭載する理由

最初に「48Vマイルドハイブリッド」という聞きなれない言葉について簡単に説明しておこう。

48Vとは、「48V(ボルト)電圧」という意味だ。48Vである理由は、中学の理科の授業を思い出してもらえれば、イメージしやすいだろう。電力には「出力(W)=電圧(V)×電流(A)」という関係があり、同じ出力を得るなら、電圧を高めたほうが電力消費量を減らすことができる。つまり、効率化できるわけだ

効率化が重要なのは、省燃費という面だけに限らない。現代のクルマにはインフォテイメントシステムやアクティブサスペンションなど、電力を必要とするデバイスが数多く搭載されているので、電力の効率化は必須となるのだ。

「マイルドハイブリッド」は、電気モーターだけで走行せず、始動や加速するときだけモーターがエンジンをアシストする方式である。日本車のフルハイブリッド──たとえばトヨタ『プリウス』のように、電気モーターだけでも走行できるシステムは、仕組みも複雑なので、開発にコストもかかる。

そこで48Vを共通規格とし、「48Vマイルドハイブリッド」の開発を進めてきたのが欧州の自動車メーカー各社だ。その成果は、10月の東京モーターショー2017でアウディが『A8』の全車に48Vの電源システムを採用するなど、すでに現れ始めている。日本にも近く48V化の波がやってくるに違いない。

そうしたなかでメルセデス・ベンツが発表したのが、新開発の48Vマイルドハイブリッドを搭載した『Eクラス』だ(下の写真は新世代のプラグインハイブリッドを搭載した『Sクラス』)。

メルセデスの次世代パワートレイン「EQブースト・スターター・ジェネレーター」

発表されたのは『E350クーペ』『E350カブリオレ』の2車種。2.0Lの4気筒ガソリンターボエンジンに、「EQブースト・スターター・ジェネレーター」と呼ばれる48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載したニューモデルだ。

「Electric Intelligence(エレクトリック・インテリジェンス)」を意味する「EQ」は、メルセデス・ベンツが今後展開していくEV(電気自動車)ブランドの名称となる。それと同時に、今後のエレクトリック・モビリティに関する製品やサービス、新技術のシンボルともなる予定だ。

スペックは、システム合計最大出力が220 kW(299hp)、最大トルクは400Nm(40.8kgm)。電気モーターは、エンジン回転数が2500rpm以下の場合に、最大出力10kW、最大トルク150Nmでアシストする。減速時には最大12kWのエネルギー回生を行う。

最高速度こそリミッターによって250km/hに制限されるが、その動力性能は0~100km/h加速が5.9~6.1秒と、スポーツカーのような俊足ぶりである。燃費は『E350クーペ』で6.7L/100km(日本式の表記に直すと14.9km/L)。ガソリンエンジンモデルの『Eクラスクーペ』のなかでは最良だ(下の写真は通常モデルの『Eクラス クーペ』)。

『E350』の日本上陸は未定だが…「すべてのクルマに電動化技術が搭載される未来」

これで本国での『Eクラス クーペ』『Eクラス カブリオレ』のラインナップは、「E350」「E200 4MATIC」「E220d 4MATIC」となった。メルセデス・ベンツは、ハイパフォーマンスのAMGモデルを除けば、これまでの6気筒モデルに代えて「E350」をシリーズのトップモデルに据えたことになる。

ただし、48Vマイルドハイブリッドを搭載した『Eクラス クーペ』『Eクラス カブリオレ』がいつ日本に上陸するかはわからない。じつは、2017年にマイナーチェンジされた『Sクラス』にも48Vマイルドハイブリッドを組み合わせたモデルが登場したのだが、まだ日本には導入されていないのだ。

しかし、アウディ『A8』が全車に48Vマイルドハイブリッドを採用したように、メルセデス・ベンツにとっても「EQブースト・スターター・ジェネレーター」は将来を見据えた重要なパワートレインとなる。「すべてのクルマに電動化技術が搭載される未来」は、もうそこまで来ているのである。

Text by Muneyoshi Kitani