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- スーパーカーブランド【ボルボ】 -

ポールスター1──ボルボ発の高性能EVブランドとは

一見すると最新のボルボのようだが、グリルに「VOLVO」のエンブレムはない。しかも、最高出力600ps、最大トルク1000Nmという途方もないパワーを秘めている。じつはこのクルマ、ボルボグループの新しいブランド「ポールスター」のファーストモデルで、その名を『ポールスター1』という。ポールスターは従来、ボルボの高性能モデルに付けられてきた名称だが、今後は電動ハイパフォーマンスブランドとして展開されていく。つまり、これはテスラに続き来るべきEV時代を先読みしたハイパフォーマンスEVなのだ。

EV時代のためにボルボが送り出す新ブランド「ポールスター」のファーストモデル

1996年に設立されたポールスターは、もともと世界のレースシーンを主戦場とするボルボの公式モータースポーツパートナーだった。

その哲学はサーキットで勝つためのマシンを作ることにあり、STCC(スウェーデン ツーリングカー選手権)やWTCC(世界ツーリングカー選手権)などで活躍。WTCC 2016年では、ドライバース/マニュファクチャラーズのWタイトルを獲得するなどの戦績を残している。

しかし、自動車メーカーにとって、もはやEV(電気自動車)は避けて通ることのできない道だ。近い将来、必ずEVが主流となる時代が来る。

そこで、ボルボはポールスターを傘下に収め、「電動車両のハイパフォーマンスブランド」へと舵を切ることを決断。その第一弾として発表されたのが2ドアスポーツクーペの『ポールスター1』である(ちなみに、ボルボ自身も「2019年以降に発売するすべてのモデルに電気モーターを搭載する」と発表している)。

フェラーリ『812スーパーファスト』を凌ぐ『ポールスター1』の強大すぎるトルク

パワートレインは、ポールスターが「エレクトリック・パフォーマンス・ハイブリッド」ドライブトレインと呼ぶ、2.0Lガソリンターボエンジンとリヤに搭載された2基のモーターの組み合わせ。最高出力はシステムトータル600ps、最大トルクにいたっては1000Nmという驚くべきパワーを発揮する。

メルセデスAMG『E 63 S 4MATIC+』の最大トルクが850Nm、フェラーリ『812スーパーファスト』が同718Nmと聞けば、そのすごさを理解してもらえるだろうか。トルクに長ける電動車両ならではのすさまじい数値だ。

プラットフォームは、『XC90』から採用されたボルボのSPA(スケーラブル・プラットフォーム・アーキテクチャー)をベースに、約50%を新設計。ボディにはカーボンファイバーが採用され、ねじれ剛性を45%アップし、同時に軽量化も実現した。

足回りにはオーリンズ社製の新型CESi(連続電子制御サスペンション)を世界初搭載。運動性能と快適性が高い次元で両立されることだろう。

ボルボ『S90』をさらに進化させた『ポールスター1』のスタイリングとインテリア

デザインは2013年の東京モーターショーで発表されたボルボ『コンセプトクーペ』を踏襲しており、フラッグシップセダンの『S90』を彷彿とさせる力強いラインを描く。T字型LEDヘッドライトの“トールハンマー”、リヤのコンビネーションランプなども、さながら「S90クーペ」といったところだ。

内装にもボルボらしさが溢れている。大型ディスプレイを中心にパネル(ポールスター1はカーボン)が彩るレイアウトは『S90』を継承しており、スウェーデン「オレフォス」社の職人が手作りするクリスタルのシフトノブもボルボのPHV(プラグインハイブリッド)モデルで採用されるもの。細長くてエレガントなエアコンの送風口も特徴的だ。上から見るとわかるように、ルーフは開放感溢れる全面ガラスとなっている。

とはいえ、これはボルボではなくポールスターのファーストモデル。ステアリング中央やフロントガラス近くにはポールスターエンブレムが配されており、同時にこれらがインテリアのアクセントとなっている。いずれにせよ、長く付き合っていける落ち着いたしっかりとしたデザインだ。

『ポールスター1』は100%オンラインの“サブスクリプション方式”で販売される

特筆すべきは、販売方法も次世代スタイルへと進化させていることである。『ポールスター1』の注文は100%オンラインで、ポールスター・アプリかオンラインポータルを通じて行う仕組みとなっている。

しかも、頭金なしで毎月規定の金額を支払っていくだけという、2年(または3年)のサブスクリプション方式を採用。月々支払い金額のなかには、代車レンタルサービスなども含まれている。

『ポールスター1』は2018年に生産がスタートし、2019年半ばに500台を販売予定。すでに本国ではオーダーが開始された。さらに、2019年末にはテスラ『モデル3』のライバルとなる『ポールスター2』の生産が始まり、その次には大型SUVの『ポールスター3』が登場するという。

プレミアムブランドが競い合うかのようにEVシフトを進めるなかで、北欧の雄・ボルボが立ち上げた電動ハイパフォーマンスブランド。その第一弾となる『ポールスター1』は、これからの市場をリードする効果的な一手となるに違いない。

Text by Muneyoshi Kitani