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- 「離婚」を乗り切るための方法 -

相場は200~300万!? 「慰謝料」の基準と相場を知る

実際に離婚を決めるとき、どうしても気にかかるのが離婚に伴う慰謝料の問題だろう。個別の条件によって金額は違うと思いがちだが、実はおおよそ共通する相場感があるという。離婚慰謝料について、弁護士の本橋美智子さんに聞いた。

■今回のアドバイザー
本橋総合法律事務所・弁護士
本橋美智子さん

1975年東北大学法学部卒業。第一東京弁護士会所属。相続、離婚、成年後見などの相談や事件を多く扱っている。著書に『男性のための離婚の法律相談』(学陽書房)、『新版 要約離婚判例』(学陽書房)など多数。

離婚慰謝料には2種類あるが、ほとんどの訴訟が離婚自体慰謝料

本橋さんによれば一口に離婚慰謝料といっても、実は2種類あるという。

本橋さん「1つは『離婚原因慰謝料』といわれるもので、婚姻期間中の個々の不法行為(DV、不倫など)から生じる精神的苦痛に対する慰謝料です。

もう一つは『離婚自体慰謝料』で、離婚そのものによる精神的苦痛の慰謝料になります。離婚原因慰謝料と離婚自体慰謝料は、別々に請求することもできますが、訴訟を起こす場合、どちらを請求するのか明確にしなければなりません。

実際の離婚訴訟、調停においては、離婚原因慰謝料を請求する人は稀で、ほぼ離婚自体慰謝料の請求といって良いでしょう」

夫側のDV、不倫が離婚原因なら、慰謝料は200〜300万円が相場

いわゆる「離婚慰謝料」という場合は、離婚自体慰謝料を指すということはわかった。その金額に基準や相場というのはあるのだろうか。

本橋さん「私の経験に基づくと、夫の不倫、DVが離婚の原因の場合、200〜300万円が相場といえますが、当然夫の収入や社会的地位が高ければ、金額はさらに上がります。

ただし離婚慰謝料は、働く女性も増えて夫婦間の収入格差がなくなってきている傾向があるので、一般的にはそれほど高くはなりません。

夫が慰謝料を支払うかどうかは、妻が夫のDVや不倫の具体的な証拠を持っているかが判断基準になります。

当然、夫に離婚についての有責行為がない場合は、離婚慰謝料を支払う義務はありません。しかし、日頃から帰宅時間が遅いことや、家事や育児に非協力的など、妻から責められ、支払いに同意し、さらに公正証書にしてしまうと、後から無効にすることが難しくなるので注意してください」

調停や訴訟実務では、離婚慰謝料をなしとするケースも増加中

とはいえ、最近では離婚慰謝料の認定が厳しくなっている傾向にあるという。

本橋さん「離婚をすること自体はもちろん過失でも違法でもないので、個々の不法行為以外に慰謝料請求はできないという学説が有力になっています。

実務においても、先ほど述べたように女性の経済的、社会的地位の向上などから、以前よりも離婚慰謝料の認定が厳しくなっていて、訴訟や調停でなしとする事例も増えています。

もし夫も離婚を希望する場合なら、財産分与や養育費など、離婚条件全体のなかで離婚慰謝料を支払いの有無、金額を検討すべきでしょう」

最後にアドバイザーからひと言

「当事者間で離婚慰謝料の合意をしてしまうと、後で取り消すことは難しいので、まずは弁護士に相談しましょう」

Text by Akihiro Fukuda(Seidansha)