rakugo (2)_R(2)
- 外国人のアテンドにも使える!日本文化の再発見特集 -

江戸文化に触れる週末。落語家推薦の「落語再発見、東京1日ツアー」

主となる日本国内での活動のかたわら、海外でもや国内で外国人に向けて落語を数多く披露してきたし、落語を世界に広める活動を行っている落語家・立川志の春氏。前回は、外国人に向けて落語を提供し続けた氏だからこそ語れる氏に落語の魅力をわかりやすく解説してもらった。

今回は週末の1日を使うだけで、初心者でも落語文化を十分に理解し楽しめる東京1日散策プランを紹介してもらう。

■今回のアドバイザー
落語家
立川志の春

1976年8月14日大阪府生まれ。幼少時と学生時代の合計7年間をアメリカで過ごし、2002年に立川志の輔の門下に入門。古典落語、新作落語、英語落語を演じる。2012年9月にはシンガポールにてSingapore International Storytelling Festivalに参加し、翌年からは半年毎に同国で単独公演を実施。大学、企業、インターナショナルスクールなどにて英語落語を交えた講演を行う。『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか?落語に学ぶ仕事のヒント』(星海社新書)など著書多数。

■落語が10倍楽しくなる上野・両国エリアへ繰り出そう! 

もしあなたが東京あるいは東京近郊にお住まいなら、庶民の生活を彩り続け、そして今海外からの注目を得つつある落語を改めて学んでみるのも、良い週末の使い方ではないだろうか。

とりわけ上野や両国エリアには、落語の登場人物になりきれるような体験型の資料館や浮世絵専門の美術館、江戸にタイムトリップできるようなグルメスポットが集結している。さあ、時空を超える半日ツアーに出発しよう。

■落語の世界に飛び込める体験ゾーンへ

落語の世界に出てくる登場人物たちの暮らしは、ワイワイガヤガヤ、とても魅力的。。そんな暮らしぶりを体感できる場所が「下町風俗資料館」。ちゃぶ台や長火鉢の前に座り、ゆったりと時を刻む柱時計の音に耳をかたむけながら、、四季折々の下町の風情と暮らしを体感できる場所だ。

『特に「長屋」と呼ばれる家は本当に狭くて、四畳半くらいの場所に家族が住んでいるんですよ! 「下町風俗資料館」の館内には、いまだに古き良き江戸の風情をとどめている東京・下町の街並みが再現されています。落語の世界でもおなじみの商家・長屋をぜひ体験してみてください。きっとびっくりすると思いますよ!』
—————————————————————————-
下町風俗資料館
住所:台東区上野公園2-1
電話番号:03-3823-7451
営業時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
定休日:月曜日(祝日と重なる場合は翌日)、年末年始、特別整理期間など
入館料:一般300円
—————————————————————————-

■ゴッホが惚れた江戸っ子アーティストの作品で落語の世界を堪能!

江戸時代に描かれた浮世絵は、落語に登場する江戸庶民の生活を理解するのにうってつけだ。
両国にある「すみだ北斎美術館」は、江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎の作品を展示している美術館。そう、葛飾北斎は両国のある墨田区で生まれ、墨田区で暮らした浮世絵師なのである。
この美術館は2016年11月22日にオープンした新しい施設であり、同館では数々のコレクションとともに、タッチパネル式情報装置や北斎のアトリエの再現コーナーなどが展示されている。

『日本でも有名な江戸のアーティストが葛飾北斎です。彼に影響を受けたと言われるのが、画家ゴッホや音楽家・ドビュッシーたち。芸術家に大きな影響を与えた北斎は、世界における評価が高く1998年のアメリカの雑誌「ライフ」で“この1000年でもっとも偉大な業績を残した100人”として、日本人でただ一人選ばれているんです。

江戸時代に描かれた浮世絵は、落語に出てくる登場人物が目にした景色、憧れた世界、馴染みの生活などが描かれ、落語の世界そのものです。みているだけで楽しくなるユーモラスなものもたくさんありますよ。立体的に見せる工夫が随所にこらされた浮世絵の優れた3D芸術をぜひ楽しんでください』
—————————————————————————-
すみだ北斎美術館
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
電話番号:03-5777-8600
営業時間:9:30~17:30(最終入館は17:00)
定休日:月曜日※祝日の場合はその翌平日、年末年始
入館料:一般400円
—————————————————————————-

■江戸っ子が愛した味が大集結!落語グルメに舌鼓 

散策を続けると小腹が空いてくるもの。上野・両国エリアには美味しいお店が数多あるが、落語文化を満喫する1日にするならば、食事も江戸っ子に倣ったものにしたいところ。そこでおすすめなのが「ー両国ー江戸NOREN」だ。
こちらも2016年11月25日(金)にオープンした比較的新しい施設で、JR両国駅直結。歴史のある両国駅の旧駅舎に江戸の町屋を意識した吹抜け空間が広がり、「粋な江戸の食文化を楽しむ」をコンセプトにした12の和食店が集結する。

『落語の中には、美味しそうなグルメの描写も出てきます。江戸っ子たちはどんなものを食べていたんだろう? と興味がわいたら、きっと楽しいのが「ー両国ー江戸NOREN」。

江戸時代、両国で握りずしを考案したと言われる「華屋与兵衛」のすしを再現する「政五ずし」。江戸時代から盛んに作られるようになった日本酒の伝統を受け継いだ、東京の全ての酒蔵の日本酒が集結する「東京商店」。大正7年創業、100年の伝統が流れる老舗の姉妹店「天ぷら食堂 ひさご」では職人が目の前で揚げる天ぷらをいただけます。

お寿司も、お酒も、天ぷらも、江戸っ子たちの大好物。時を超えて愛される味をはしごして、ホロ酔いの夜を過ごすのも楽しそうですね。』
—————————————————————————-
ー両国ー江戸NOREN
住所:東京都墨田区横網1-3-20
電話番号:03-6658-8033
開館時間:10:00~23:30(※営業時間は店舗により異なる)
定休日:1月1日、2日、施設点検日(不定)
—————————————————————————-

■来年の春リニューアルオープンする江戸体験スポットも

『実は、落語の世界を体感するなら最もオススメなのが「江戸東京博物館」! 日本人はもちろん、外国人までもが楽しめるスポットとして、日々多くの方が訪れてきました。

残念ながら、2018年3月31日までリニューアルのために休館していますが、これまでの常設展示では、「江戸ゾーン」エリアの壮大なジオラマ模型が芸術的だと話題になりました。江戸のにぎわいを伝えてくれる、素晴らしい体験スポットです。きっとリニューアル後はさらにパワーアップするはず。4月に再開したら、ぜひとも足を運んでみてください。』
—————————————————————————-
江戸東京博物館
住所:東京都墨田区横網1-4-1
電話番号:03-3626-9974
営業時間:9:30~17:30 (土曜日は9:30~19:30)
定休日:毎週月曜日(月曜が祝日や振替休日の場合は翌日)年末年始
入館料:一般600円
2017年10月1日〜2018年3月31日まで改修工事のため全館休館
—————————————————————————-

■落語に登場する千両みかんを思い浮かべながら… 

最後に、おいしいフルーツの話を一つ。落語の「千両みかん」という演目を紹介してもらった。

『ある暑い夏のことです。

とある大きなお店の若旦那が、急に寝込んでしまいました。恋煩いかと思いきや、理由は「みかんが食べたい…」。番頭さんが「わかった、買ってきますよ!」と申し出ましたが、若旦那の父に「今は夏だよ」と言われて真っ青に。みかんといえば冬の食べ物。真夏にはどこに行ってもなかったのです。

あちこち駆け回り、大変な苦労の末に、「万惣」と呼ばれるみかん問屋の蔵でやっと一つだけみかんを見つけた番頭さん。「おいくらですか?」と聞くと「千両(1億円)です」。すさまじい吹っかけぶりに度肝を抜かれて帰りましたが、両親は「命に比べりゃ安いもんだ!買っておいで」。

いよいよ食べる若旦那を見守る番頭さんが「何房あります?」「10房あるよ」「大事に食べてください…1房100両(1000万円)です」一口食べるごとに大騒ぎする、そんな話です。まだオチがあるのですが、そこは伏せておきましょう。

そんな万惣は実在の問屋で、2012年まで「万惣フルーツパーラー本店」として神田で営業されていました。落語の世界が現実と地続きになっているのも楽しい点です。江戸時代からおいしい果物を扱っていた問屋といえば、日本では有名なのが「千疋屋」。東京に来たら、ぜひ日本最高峰の果物もご賞味あれ。千両払っても食べたい味に出会えるかもしれません!』
—————————————————————————-
千疋屋総本店 フルーツパーラー・レストラン
住所:東京都中央区日本橋室町2-1-2 日本橋三井タワー内
電話番号:03-3241-1630
営業時間:11:00-22:00(21:30) 、日祝 11:00-21:00(20:30)
定休日:無休
—————————————————————————-

■実際に落語を聞きに行くなら寄席を探そう

落語文化を理解し、楽しんで満喫できる東京1日散策プラン、いかがだっただろうか。
もちろん落語を聞きに行くなら寄席の紹介もしたいところだが、今回は敢えて初心者の方への導入として、まずは落語の世界観を楽しんでもらえるプランを紹介してもらった。

落語の背景である江戸文化を満喫し、落語に興味を持ったならぜひ寄席にも足を運んでみたい。
寄席は様々な場所で開催されているので、立川志の春氏の公式サイト(下記)から確認をしてほしい。

日本人の心に響く味わい深さがあり、同時に異国の地からも注目を浴びつつある落語。ぜひその魅力を再発見し、その深さを体験する週末を過ごすのも、「粋」というものだろう。