譚ア莠ャ繝「繝シ繧ソ繝シ繧キ繝ァ繝シEV髢狗匱遶カ莠・逕サ蜒・1_R(2)
- モーターショーからの最新リポート -

東京モーターショー2017──EV開発競争の現状は?

10月28日から11月5日まで開催され、世界中から多くの来場者を集めた東京モーターショー(以下、TMS)。2017年のテーマに掲げられたのは「BEYOND THE MOTOR」というキーワード。自動車産業の枠を超えて、クルマに様々なテクノロジーを取り入れ、モビリティとしての価値を広げていくという意味だ。これからのクルマは、EV(電気自動車)、AI(自動運転)、コネクテッドカーに力を入れないと生き残れないというメッセージともいえる。なかでも重要となるのはEVだ。日本、そして世界でEV開発はどこまで進んでいるのか?

EV開発競争の背景には「日本メーカーからシェアを奪い返す」という思惑がある?

2017年のTMSは、イタリアメーカーやデトロイトスリー(GM、フォード、FCA)、ジャガー・ランドローバーなどが参加を見送り、ショーとしての凋落を嘆く声も聞かれた。たしかに、一般公開に先立って報道関係者に公開されるプレスデーに会場を訪れると、以前より規模が小さくなった印象を受けた。

しかし、現在のモーターショーは、どのメーカーも開催国への市場戦略によって出展を調整するのが常識となっている。1980年代に日米貿易摩擦を引き起こした日本車の人気は、今も国内や北米で圧倒的だ。つまり、TMSに参加する海外メーカーが少なくなったというより、日本市場で日本のメーカーに不利な戦いを挑もうとする海外メーカーが減少したともいえるわけだ。

じつは、EV化の波についても同じことがいえる。世界市場では今、EVシフトが一大潮流となっている。日本でもEV強化が産業界やメディアで叫ばれ、そこには環境への配慮から、ヨーロッパなどでガソリン車やディーゼル車への規制強化が進んでいることが背景にある。

ただし、このEV化には、欧米の自動車産業による「日本車からシェアを奪い返す」という思惑があることも否定できない。日本の国産メーカーは、かつてF1グランプリやWRC(世界ラリー選手権)などを席巻したが、レースを主催するヨーロッパ側はそれを快く思わなかったらしく、日本に不利なレギュレーションに変更。その結果、苦杯をなめさせられているのだ。

トヨタ、日産、マツダ…、海外メーカーに比べてEV開発が遅れている日本メーカー

とはいえ、TMSを見た限り、現時点で海外メーカーに比べて国産メーカーのEV化が遅れているのは事実。国産メーカーが展示するEVにはコンセプトカーが多く、どこか現実感がない。

たとえば、マツダブースで来場者の人気が高かったのは、『VISION COUPE』というEVとは関係のないコンセプトカーだった(上の写真)。これを目玉にするというのは、マツダがEVをまだそれほど重視していないことを意味する。

ホンダは2020年にコンパクトEVを投入すると発表したが、展示したのはやはり試作車の『スポーツEVコンセプト』だ。

トヨタはAIを搭載した完全自動運転の『Concept-愛i』、FCV(燃料電池自動車)の『Fine-Comfort Ride』を展示した。これもいずれもコンセプトカーで、一部の機能を公道で実験するのにまだ3〜4年はかかる見込みだ。

エンジンのないEVは、ガソリン車より部品の数がかなり少ない。系列に多くの部品メーカーを抱えるトヨタは、これまでハイブリッドに力を入れていたことあり、急激にEVへかじを切れない事情もあるのかもしれない。

国産メーカーでもっともEV化が進んでいるのは、カルロス・ゴーン会長の掛け声によって2000年代からEVに投資してきた日産だろう。TMSでは「e-power」シリーズの『リーフ』と『ノート』、さらにフルハイブリッドEVのミニバン『セレナ』を展示。もっとも、ヨーロッパに比べるとまだまだ推進力が足りないが…。

しかし、国産メーカーも水面下ではEV開発のプロジェクトの見直しや再編に躍起になっている。9月下旬には、トヨタとマツダなどがEV開発のために共同出資で新会社を設立するというニュースがあった。当然、ここにはトヨタグループのダイハツが加わり、スバルやスズキの参加も募っている。これからの数年間は、きっとEV開発競争が一層激しくなるに違いない。

さらに、EV進化においてもっとも重要な課題となるバッテリーも、リチウム電池よりも飛躍的に航続距離が延ばすことができ、充電時間も圧倒的に短く済む「全固体電池」は、トヨタを筆頭に日本国内の電池関連メーカー間ですでに熾烈な開発競争となっている。

これも関連の特許出願数で世界のトップに立っているという現状は、なかなか頼もしいといえるだろう。

脱化石燃料へのロードマップの先頭で旗を振るメルセデス・ベンツなどのドイツ勢

海外メーカーで目立っていたのがBMWだ。同社はすでに2010年代半ばにEVブランドの「BMW i」を立ち上げており、TMSには2014年から販売している『3i』の進化版『3iレンジエクステンダー』を展示した。

これは発電専用に同社のモーターサイクル用650ccエンジンを載せたもので、EVの最大の課題である航続距離を延ばすためのひとつの答えとしている。

そのBMWの永遠のライバルであるメルセデス・ベンツは、もっとEVに力を入れているように見えた。BMWに続く形でEVに特化した新ブランド「EQ」を設立し、2016年のパリサロンでは市販化を前提にした『ジェネレーションEQコンセプト』を発表。TMSにはその進化版となる『EQ A』を持ち込んだ。

『EQ A』はデュアルモーターで272hpを発揮し、最大航続距離は400km、わずか10分の充電で100kmの走行が可能という。メルセデス・ベンツは、この「EQ」ブランドから2020年までに10モデルの市販化を目指している。

メルセデス・ベンツブースでもっとも来場者の視線をくぎ付けにしたのが、アジアプレミアムとなった2シーターのEVスーパースポーツ『Project ONE』だ。メルセデスAMGによる最新のF1ハイブリット技術をほぼそのまま投入したスペックは、最高出力1000hp、最高速度350km/h。価格は2億5000万円と噂されている。

ほかにもメルセデス・ベンツはプラグインバッテリーと水素燃料電池の二電源を備えた『GLC F-CELL』を展示。こうしたドイツ勢の姿勢は、まるで脱化石燃料へのロードマップの先頭で旗を振っているかのようにも見えるのだ。

海外メーカーに日本車が勝つにはEV化を国家レベルのプロジェクトにする必要も

今回のTMSで再確認できたのは、自動車メーカーにとって、もはやEVは「投資するかどうか」ではなく「どう投資するか」の段階に入っているということ。

そのとき最大の課題となるのは「航続距離」「充電時間の短縮」「エネルギー供給のためのインフラ整備」といったテーマだ。これらはメーカーだけでクリアできる問題ではなく、非常に大きな国家レベルの投資が必要になってくる。

不正問題でEV化の引き金を引いたフォルクスワーゲンは、アウディなどの系列ブランドを含め、2025年までにグループ全体で50車種以上のEVを投入する予定だ。開発に投じられる投資は2030年までに200億ユーロ(約2兆6000億円)。それとは別に、電池の調達にも500億ユーロを投入するという。

ドイツでは、EV化を政府主導で推進する一大プロジェクトと捉え、不正問題というピンチをチャンスに変えようとしているのだ。日本にとってもクルマは国の基幹産業であり、まさに大黒柱。日本車が世界市場で戦っていくには、EVを国家レベルのプロジェクトにする必要があるのかもしれない。

Text by Koji Okamura

Photo by Akihisa Kudo