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- 酒?料理?個室?目的別の接待の切り札店 -

旬の接待を牡蠣料理専門店で。六本木「かき心」

冬牡蠣の旨いシーズンがやってきた。牡蠣という食材は好みが分かれる食材だが、そのかわり好みのあう相手であれば、専門店での接待がぴったりハマるもの。六本木交差点すぐそばの牡蠣料理ダイニング「かき心」は、“牡蠣接待”の候補にいれておきたい「東京一うまい牡蠣ふらい」を出す店だ。

滋味溢れる牡蠣を、いくつもの料理で味わい尽くす

「兵庫で生まれで子供のころから牡蠣をたくさん食べて育ちましたし、なにより牡蠣が大好きなんです。でも、東京に移り住んでから30年間、うまいと評判の店をいくつも訪ねましたが、納得できたことは一度もなくて。そこで、一念発起して自分で店を始めることにしたんですよ。牡蠣の質、調理の技は東京のどの店にも負ける気はしないですね。大きい声でいうと角が立つから、あまり言わないようにしてるんですけど(笑)」

茶目っ気たっぷりに、しかし確かな自信を覗かせながら語るのは、店主の濱尾昌孝さん。牡蠣はすべて国産。秋冬は広島産牡蠣を、春夏はその時期ごと最良の岩牡蠣を産地から直接仕入れているという。
ではさっそく、その実力のほどを、まずは殻付き生牡蠣で確かめてみたい。

「この時期(10月末の取材時で)出せるものとしては一番のものだけれど、これから寒くなってからならもっといい牡蠣が出せる」そう濱尾さんは言うが、こちらとしてはこれで十二分。質のよい、新鮮な牡蠣であることは間違いないことがわかった。では素材そのままではない、牡蠣“料理”はどうか。

次に出てきたのは、焼き牡蠣と牡蠣のクリームソース焼き。絶妙な焼き加減で提供された焼き牡蠣は、生よりも濃縮された風味が楽しめる。もちろん、焼き加減も完璧。対照的に“凝った味付け”となるクリームソース焼きだが、こちらはクリームソースの濃厚な味が牡蠣自身の濃厚な味に重なり、これもひとつの正解なのだとわかる逸品である。

では最後に、同店自慢の料理で「東京一」を謳う「究極の牡蠣ふらい」をいただいてみよう。

六本木で味わう東京の一番。「究極の牡蠣ふらい」

ぱっと見で大ぶりなことはわかるが、ほかに一般的なものとの違いといえば定番調味料、ソースもカラシも、タルタルソースも見当たらないことぐらいか。そんな疑問を口にしようと思う前に、マスターから先に釘を刺された

「申し訳ないけど、うちの牡蠣ふらいはソースもカラシも絶対に出さない。お願いされることもあるけれど『絶対に』出さない(苦笑)。ソースじゃ味が強すぎてせっかくの風味が消されちゃうから。代わりに、自家製のポン酢とワサビを出しているのでそちらでどうぞ。あっ、でも下味がついてるから最初は何もつけないで食べてみてよ」

なるほど、言われた通りに何もつけずに食べてみれば、物足りない感じはまったくしない。下味のみで料理が完成しており牡蠣の良さが十分に引き出されているのだ。これは確かに旨い。

「●●で1番」を謳うものは、何かひとつは尖った特徴があったりするものだが、この牡蠣ふらいはそうした強烈な何かが口にやってくることはない。磯臭さも一切なく、牡蠣の風味=磯臭さと思っているなら「これで東京一?」と一瞬戸惑うほど。しかし、そうした雑味に影響されることのない旨みを堪能していけば「なるほど、これは1番の味」と思えてくる。

なにもつけずとも十分に旨いが味を変えるために、ポン酢、ワサビも試してみる。あっさり目のポン酢もいいが、独自の調味を加えたすりおろし本ワサビは、スーッと後に残らない辛味が、濃厚な牡蠣の風味は消さずに持ち上げる。

やはり、これは「東京一の牡蠣ふらい」なのだろう。ただ、ノリの良い店主のキャラ、絶対の自信からして「日本一」を名乗りそうなのに、あえての遠慮がちな東京一とはこれいかに?
種を明かせば、店主の実家は兵庫で大正時代から続く牡蠣料理の専門店であり、「たった3年、そこで修行したぐらいの技術じゃまだまだ勝てない。あっちが日本一だから」というのがその理由。もっともこれは謙遜でありつつ、さらなる上を目指すための決意といったところだろう。

さて、メニューを見ると5000円から始まるこの店のコースには、当然全てに「究極の牡蠣ふらい」が入っている。ほか、共通するのが焼きガキ、牡蠣ごはん、牡蠣のおすまし。コースの値段が上がるほど、そこに料理が増える形だ。

もっとも、店主おすすめの頼み方は1万円から1万5000円までの範囲で金額指定する「飲み放題付き完全おまかせ」なのだとか。実際にも、接待使いや常連さんには「一番高いので」という注文が多いという。

なお、個室は6名までの1室のみだが、10名以上で飲み放題込み1万円以上の注文があれば貸切(3時間〜)も可能。また、朝の4時まで営業しているというから、接待目的以外でもビジネスマンの切り札として覚えておきたい店である。

Text by Masayuki Utsunomiya