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- 【40代向け】若年性アルツハイマー・認知症 -

初期症状に共通点が! 若年性アルツハイマーとうつ病の見分け方

40代でも発症の可能性がある“若年性アルツハイマー(若年性認知症)”。代表的な初期症状として、物忘れや人格の変化が挙げられるが、実はこの初期症状は、うつ病とも共通するという。どちらも気になる病気だが、その見分方は? 専門家に話を聞いた。

■今回のアドバイザー
おくむらメモリークリニック院長
奥村歩さん

医学博士。2007年に認知症、脳卒中、うつ病の早期発見を得意とする、おくむらメモリークリニックを開設し、メディアでも活躍。著書に『ボケない技術』(世界文化社)、『「うつ」にならない技術』(世界文化社)などがある。

若年性アルツハイマー病とうつ病の共通点は“遂行実行機能”

初期症状が似ているといわれる、若年性アルツハイマーとうつ病。具体的な共通点はどこなのだろう?

奥村さん「若年性アルツハイマーとうつの初期症状には、どちらも『遂行実行機能』と呼ばれる脳機能の低下が含まれます。遂行実行機能とは、計画した仕事を段取り通りに、効率よく着実にこなしていく脳の機能のこと。このはたらきが低下すると、仕事の能率が悪くなり、仕事に手間と時間がかかるようになります。働き盛りの40〜50代であれば『以前よりも急に仕事の能率が悪くなる』とい言い換えてもよいでしょう」

職場で“その人らしからぬミス”が増えるのが、若年性アルツハイマーと、うつ病の共通点。そのため、本人よりも先に一緒に働く仕事仲間のほうが、異変に気がつくケースが多いという。

まずは診察! 若年性アルツハイマーの発見の遅れが招くデメリットとは?

初期症状が似ているため判別が難しい若年性アルツハイマーとうつ病。診断に時間がかかるが、若年性アルツハイマーの場合は早期の治療と対策が必須、と奥村さんは語る。

奥村さん「治療に使われる、認知症の進行を遅延させる薬の効果は、早ければ早いほど有効性が高まります。また、発症後も以前と変わらずにムリな労働をつづけると、加速度的に本人の健康状態と精神状態を増悪させる可能性があります。職場は、早急に本人の状況に応じた配置転換を考慮しなければなりません」

若年性アルツハイマーの診断が出たあと、即座に休職・退職をする必要はないが、病の進行度に合わせた業務の変更や、本人の人生設計の見直しなどの対応が必要になるという。

奥村さん「発症後に退職を余儀なくされた場合は、生命保険の生前早期支払いを受け、本人や家族の生活費を保証する制度もあります。若年性アルツハイマー病の診断が早ければ、さまざまな対策ができるので、やはり早期発見が望ましいでしょう」

早期の発見がカギを握る。若年性アルツハイマーとうつ病の具体的な見分け方は?

早期発見がカギを握るため、初期症状のうちにうつと若年性アルツハイマーを見分けたいのがホンネだろう。そこで、双方の違いについても聞いた。

奥村さん「うつ病と聞くと『気分が落ち込む』『不安・不眠』など、精神の問題と思われがちですが、脳の機能低下と身体的な問題が必ず出るのが特徴です。脳の機能低下として、頭の回転が鈍くなる『もの忘れ』が出現します。ど忘れ、うっかりミス、相手のいうことをすんなり理解できない、言いたいことがうまく伝えられないなどのコミュニケーション能力の低下が見られます」

さらに、うつ病の身体的な問題は、頭痛や腰痛、肩こり、めまい、胃もたれに動悸息切れなど多岐にわたるため、奥村さん曰く「内科や整形外科に行ってもよくならない身体症状の影にうつ病あり」とも。ただし、“ど忘れ”と聞くと、アルツハイマーの特徴であるようにも思えるのだが…?

奥村さん「若年性アルツハイマー病の記憶の問題は、もの忘れではなく、見たこと、聞いたこと、経験したことを新しく記憶できない、覚えられないことが本質です。たとえば『この出来事や重要な約束はふつう忘れないでしょう!』ということが記憶できなくなるんです」

記憶の問題は時間の経過とともに加速度的に悪化していくという。忘れるのではなく覚えられないことがアルツハイマー病の特徴なのだ。

うつ病、若年性アルツハイマー病が心配な場合、まずはかかりつけ医に相談を

遂行実行機能や記憶に不安を感じたら、何科を訪れるべきだろうか?

奥村さん「40〜50代で遂行実行機能に異変がある場合は、圧倒的に発症頻度が高いうつ病が想定されるので、うつ病の治療が優先されます。しかし、うつ病としての治療・対応がなされて半年ほど経っても改善しない場合は、かかりつけ医やメンタルクリニックの先生に、最寄りの認知症専門医を紹介してもらい、認知症の精密検査をする必要があります」

最後にアドバイザーからひと言

「現代人は、身体的疲労だけでなく、うつ病や老後の認知症リスクを高める『脳疲労』を抱えています。1日に5分だけでもスマホの使用をやめて人工的な情報を遮断し、五感で自然を感じる時間を持つのも予防につながりますよ」

Text by Miki Ohnuki(Seidansha)