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- 大人のための最新自動車事情 -

ボリンジャーB1──箱型ボディのクールなEVトラック

このクラシカルな箱型ボディを持つトラックは、何十年も昔の軍用車などではない。聞いて驚くなかれ、最新の電動パワートレインを搭載した完全電気駆動のSUT(スポーツ・ユーティリティ・トラック)なのだ。開発したのは米国ニューヨーク州ホバートに本拠地を持つBollinger Motors(ボリンジャー モーターズ)。なんとも無骨なこの電動オフロード四駆は、その名を『B1』と言う。

EVのメリットをトラックに活かす斬新な発想と設計で生まれたボリンジャー『B1』

ボリンジャー『B1』を目にした人は、かなりの高確率で軍用車をイメージするに違いない。あるいは、ごく初期のランドローバー『レンジローバー』やメルセデス・ベンツ『Gクラス』を思い起こすかもしれない(『Gクラス』はNATO軍の軍用車両をアレンジして開発されたクルマだ)。

だが、この『B1』はSUTとして作られた最新EV(電気自動車)なのだ。それも、環境規制に対応するために生まれたのではなく、EVであることのメリットをトラックに活かした斬新な発想と設計で生まれたクルマなのである。

欧州では今、自動車業界に排ガス規制の嵐が押し寄せている。イギリスは2040年までにガソリンやディーゼル車の販売を全面的に禁止し、オランダやノルウェーは2025年、ドイツも2030年までにガソリン車の販売を禁止する。もはや自動車のEV化は避けられないというのが世界的な潮流だ。

ところが、現在の市販EVは環境問題への“対応策”という意味合いから抜け出せず、逆に『テスラ』はスポーツカーとしての方向性を強調するあまり、実用性が置き去りにされた。そのため、EVは特殊なカテゴリという位置づけとなっている

しかし、クルマ好きが全員、ロードスポーツカーが好きなわけではない。むしろ、日常をクルマとともに愉しみたいと考える人のほうが多数派のはずだ。そうなれば、EVも乗り物としての走りはもちろん、そこにどれだけ実用性があるかがポイントとなる。そういう意味で『B1』には注目せざるを得ないのだ。

ピックアップにもなる『B1』、アウトドア派ドライバーには夢のようなコンポーネント

『B1』は注目ポイントだらけだが、まずその特徴を表しているのがシャーシだろう。角材で構成されたかのようなスチール製のラダーフレームは、見た目と見事に符合し、そこにバッテリーを並べるための床板をつけた…といった形状を持つ。

よく知られているように、電気モーターは動力として非常に小さく、バッテリーを含めた重量物を低い重心位置に集中させることができる。このために、ガソリンエンジンでは到底不可能な低重心を実現しただけではなく、前後輪の重量配分を理想的な50:50にすることも可能になった。

そして、なによりもトラックとしての機能を重視、いやトラックとしての機能の追求こそが、この『B1』のコンセプトとなっている。シャーシに乗せた無骨な、しかし美しいボディは全アルミ製で、スペースを取るエンジンや小さなミッション(一般のEVにはミッションはない)特性を生かし、後部の荷室からボンネットまで貫通させたペイロードを確保している。

なにしろ、全長12フィート(365cm)のボディ素材をはみ出すことなくドカンと載せられるのだ。長尺の材料だけではない。後部座席は取り外しが可能なので、トランクだけでも4×8フィート(約120×240cm)のボードを平積みできる広さがある。

しかも、ハーフキャビンへの変更もできるので、ピックアップトラックとして使うことも可能だ。これはアウトドア派のドライバーにとって夢のようなコンポーネントに違いない。

「テスラ」とは違う…シリコンバレーではない牧草地で生まれた画期的EVトラック

クルマの動力性能をはかるものはパワーや加速性能だけではないが、『B1』の数値を見ると披露しないわけにはいかない。

パワーは馬力に換算すると、じつに360hp。加速性能は0-60mph(96.56km)で4.5秒を誇る。これはメルセデスAMG『C63』やアウディ『S4』と並ぶ数字だ。もはやオフロード車の概念を変えかねない動力性能である。

航続距離は、標準の60kwhのバッテリーパックで120ml(193km)。オプションで200ml(322km)走れる100kwhバッテリーが用意される予定だという。
ボリンジャー モーターズの創業者、ロバート・ボリンジャー(Robert Bollinger)は、マサチューセッツ工科大学やカリフォルニア工科大学と並ぶ名門大学、カーネギーメロン大学で工業デザインの学位を取得。大手の広告代理店などに勤めたのち、牧草地の牛舎でSUTの設計に取り組み始めたという。

そこはニューヨーク州とはいえ、大都会マンハッタンからは遠く離れた場所だ。ボリンジャーは自分たちの居場所がシリンコンバレーから離れていることをたびたび強調しているが、その言葉が「テスラとは違う」ということを意味するのは明白だ。

セレブレティのためのEVスポーツではなく、実用的であることをコンセプトとした無骨なルックスのEVトラック。価格や販売時期に関してはまだアナウンスがなく、今のところ、2018年初頭に1000ドルの予約金を支払うことによって予約注文できることだけが決まっている。

Text by Koji Okamura

Photo by (C) Bollinger Motors