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- 【スニーカー】人気ブランド&お手入れ入門 -

幻のプロトタイプ、ニューバランス“MLP574”が復刻リリース

90年代後半に生まれ、現在も人気を集めるニューバランスの「574」シリーズの前に作られたという「Lost Proto」――幻の「MLP574」がこのたび復刻。店舗限定で販売中だ。

社内アーカイブから見つかった、90年代前半~中盤の試作品

「ニューバランス」という社名の由来はその名の通り、履いた人に「新しいバランス」感覚をもたらすことにある。その歴史は古く、1906年にイギリスからの移民であったウィリアム・J・ライリーによってアメリカのマサチューセッツ州ボストンで、アーチサポートインソールや扁平足などを治す矯正靴のメーカーとしてスタートした(ライリーはニワトリの3つの鉤爪による絶妙なバランスを見て、アーチサポートのアイデアと社名を思いついたそうだ)。

様々なデータやノウハウを蓄積したニューバランスは、1960年代からカスタムメイドのランニングシューズの製造を開始、1972年には独立を夢見た青年ジェームス・S・デービス(現New Balance Athletics Inc.取締役会長)が当時従業員6名だった会社を買い取り、自身もシューズを履き込んでテストを繰り返して、世界屈指のスポーツブランドへと成長した。

ニューバランスはこれまで様々なシューズを生み出してきたが、中でもブランドを代表するモデルといえば「M576」だろう。1988年にリリースされ、オフロードでのグリップ性と走行安定性を追求、そして抜群の履き心地を誇る名作スニーカーである。その精神を受け継いだモデルが、1990年代後半に発売され、爆発的ヒットを記録した「M574」だ。

その2つ名作の間、90年代前半~中盤に作られたという試作品「MLP574」があったことをご存知だろうか。今回アメリカ国内の社内アーカイブから見つかったというその幻のプロトタイプが復刻され、店舗限定でのリリースが始まった。

プロトタイプの細部に至るまで忠実に再現

分厚いミッドソールと高いグリップ性能を持つアウトソールが特徴のオフロードランニングシューズの系譜である「500番台」のナンバーを持つMLP574。M576よりも小さなNマーク、アッパーのスウェードとステッチの色の違い、ミッドソールとアッパーの間の僅かなすき間、広い履き口、初期のM576に採用されていた安定性重視の「SL-2ラスト」という靴型を使ったソールとスリムな「SL-1」のアッパーを使って作られるなど、細部に至るまで忠実に再現したという。
またMLP574では、現在採用されている「スポンジ×トリコット」の3層構造ではなく、3枚重ねのナイロンメッシュを使用して柔らかさと耐久性を両立させるなど90年代に追求した技術までも再現している。
カラーはネイビー、バーガンディ、ブラックの3色を展開、ニューバランスらしいカラーリングとなっている。

「ポロ」ブランドを設立したラルフ・ローレンが、その履き心地を「雲の上を歩いているようだ」と絶賛、様々な新製品を生み出したアップルの創業者スティーブ・ジョブズがプレゼンする場で履きこなすなど、各界の著名人が愛用するニューバランス。本物を知る人が満足する履き心地、この機会にぜひ体感してもらいたい。

Text by Tamotsu Narita