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- 最も多い突然死、虚血性心疾患・心筋梗塞とは? -

アゴの痛みも!? 見逃してはならない心筋梗塞の前兆とは?

がんに次いで死亡率が高い“心疾患”。なかでも加齢とともに気になるのが、心臓の血管が詰まる心筋梗塞だろう。急に発症するイメージがあるが、本発作の発症24時間以内にはさまざまな前兆があるという。心筋梗塞のサインについて、専門医に聞いた。

■今回のアドバイザー
池谷医院 院長
池谷敏郎さん

医学博士。心臓、血管、血液などの循環器系のエキスパートとして、さまざまなテレビ番組に出演し、わかりやすい解説が好評を博す。『血管力』(成隆出版)、『血管を強くして突然死を防ぐ!』(すばる舎)など、著書多数。

生活習慣が大きく関係する心筋梗塞

そもそも、心筋梗塞はどのようなメカニズムで起きるのだろうか?

池谷さん「心筋梗塞を引き起こす原因となるのが、血管の内側にできる“プラーク”と呼ばれるコブ。血管の壁の内部に酸化した油(LDLコレステロール)が溜まり、血管の一部を厚くしてコブ状の隆起となり、血液の通り道を狭めます。このプラークが破裂すると、患部に血小板が集まって血を固め、それと同時に血栓を作ることになります。この血栓が、その場で血液をせき止めたり、血液中を漂って血管が狭い場所で引っかかったりして血流を止めてしまうのです。血栓が心臓を養う冠動脈の血流をせき止めた場合、心臓の一部に血液が送られなくなり、筋肉が壊死してしまうのが、心筋梗塞というわけです」

息苦しさや体の痛みなど、心筋梗塞直前に起きるサイン

突然発症するイメージがある心筋梗塞だが、じつは前兆となる症状があらわれている場合があるという。

池谷さん「運動したときに胸が痛む、階段を登ると苦しいなどの自覚症状に注意してください。その症状は“狭心症”と呼ばれ、プラークの大きさが血管内の75%を占めると、酸素を運ぶ血液の通り道が狭くなり、運動時に増す心臓の酸素消費量に対して供給される酸素が追いつかずに息苦しさを感じます」

狭心症というと胸の痛みが特徴と思われがちだが、実はさまざまな症状があり、その症状の変化から心筋梗塞の発症を予測することもできるそうだ。

池谷さん「狭心症は胸の痛みが特徴と考えられていますが、そのほかに、普段よりも歩くスピードが遅い、吐き気がするなどの不調が、心筋梗塞のサインである可能性があります。また、左肩に痛みを感じたり、アゴが痛んだりといったように、心臓以外に症状が出る“関連痛”が、心筋梗塞の前兆として表れることもあります」

心臓疾患であっても、脳が錯覚を起こして違う場所に痛みが出る関連痛。まさか心臓が原因とは思わずに病院に行かず、発見が遅れるケースも少なくない。

池谷さん「大切なことは、狭心症がはじめて現れたり、それまであった狭心症が安静時やごく軽度の運動でも生じるようになったりすると、心筋梗塞の発症の危険性が高まるということ。このとき、冠動脈のコブは不安定で血管内腔が血栓により詰まりかけています。このような状態は『不安定狭心」とよばれ、まさに心筋梗塞の前兆とかんがえられているのです」

生活習慣の改善や特定健康診査(メタボ検診)の結果を真摯に受け止める

長期に渡る心筋梗塞の前兆は発見が難しくても、せめて24時間以内の症状であれば早めに医療機関を訪れるべき、と池谷先生は勧める。

池谷さん「心筋梗塞による心臓の壊死を最小限にとどめるには、6時間以内に治療をする必要があります。日頃から生活習慣を改善する必要があるのですが、その指標となるのが特定健康診査(メタボ検診)の結果です。血中コレステロール値や高血圧、高血糖など、それぞれの項目でひとつでも引っかかった人は、心筋梗塞のリスクがあると考えて、医師の指示に従って予防しましょう」

最後にアドバイザーからひと言

「以前は50代、60代の病気といわれていた心筋梗塞ですが、食の欧米化や運動不足によって生活習慣が乱れ、40代の発症も増加しています。とくに夏場は脱水によって血液中に血栓ができやすく血管が詰まりやすいので、注意が必要です」

Text by Miki Ohnuki(Seidansha)