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- 40男が嗜む逸品 -

今年こそ男も「日傘」を! 選び方と使いこなしをプロが伝授

一歩外へ出れば汗が吹き出し、照りつける灼熱の太陽は苛烈さを極める日本の夏。何かいい対策はないかと思っている男性諸氏に、ぜひ試してもらいたいのが「日傘」だ。「男も日傘をさそう会」の会長で、大阪の傘店「心斎橋みや竹」の四代目・宮武和広さんにお話を伺い、日傘の有用性や選び方、そしてオススメの日傘をご紹介いただいた。

日本の男性には確実に日傘使用の“DNA”が存在する

男性がまず気にするのが「男が日傘なんて…」ということだろう。しかし宮武さんは、日傘は帽子と比べて汗だくにならず髪型も崩れない、また日差しをカバーできる範囲も広く、突然の降雨にも対処できる優れたツールであると指摘する。

「環境省が公式に男性用日傘の普及や積極使用を明文化したり、また日傘男子が新語流行語にノミネートされたりしてから認知度もぐっと広まってきた感があります。そもそも防水・撥水に優れた生地が登場するまで、昔は傘といえば晴雨兼用で、男性も好んで使っていました。それは『絹紬(けんちゅう)』と呼ばれ、広く普及していたんです。ですので日本の男性には、確実に日傘使用の“DNA”が存在するのです」

絹紬とは柞蚕(さくさん)の糸で織った淡褐色をした一種の紬で、布団や兵児帯、衣服、そして洋装の男性が手にしていた傘などに用いられた。それを現代の技術で再現したのが、小宮商店の「ラシーマ」(32400円)だ。
「すべて日本橋の匠が手掛けています。価格は高価ですが、日傘ファンには最高のコレクターズアイテムです」

またどうしても日傘をさすことに抵抗感がある人は、パートナーの傘をシェアする「愛の傘下」からはじめてみて下さい、と言う宮武さん。「陽射しを遮って歩くことの心地良さを一度でも体感いただくと、日傘の有用性がご理解いただけると思います」

“シャツ感覚”で楽しめる涼しげなスタイルの「GINO(ジノ)」(12960円/写真上)や「デュアル・シャンブレー/写真下」(11880円)なら、そんな抵抗感も軽減してくれることだろう。クールビズスタイルにも自然にマッチする色彩と素材感が魅力となっている。

男の日傘は、自分で自分の身を守るための“いのちの傘”

持ち歩く日傘のサイズはどうしたらいいのか、長い傘と折り畳み傘はどちらがいいのか…など、スペックや機能を重視する男性が日傘を選ぶ際のポイントについて、宮武さんは「イメージとしては『ポータブル・シェイド(持ち運べる陰)』とお考え頂ければどうでしょうか。陰の欲しいときに欲しい大きさの陰を作れる。ドラえもん風に言うと 『どこでもカゲ』ですね」という。

「雨傘の場合は全身が濡れないよう大きめを所望される方が多いですが、日傘の場合は必要充分な広さが確保できればOKなので、雨傘ほどの大きさは必要ありません。また日傘ビギナーの方には二段折畳式がお勧めです。その理由は、雨傘は24時間出番がありますが、日傘は陽が沈めば用がないからです。日没以降は鞄の中にしまえると便利ですし、出張などの折に気軽に携帯できることもメリットなので、晴雨兼用であることは必須ですね。ちなみに『日傘に撥水の機能をもたせたもの=晴雨兼用』『雨傘にUVカットなどの機能を付加したもの=雨晴兼用』と言いますが、どちらでも良いでしょう」

また機能については「色やデザインよりも機能優先でという方は『遮熱遮光マーク』のついたものを選ばれると良いと思います。最も大事なことは、雨傘ではなく日傘らしく見える佇まいと、涼感や質感、お洒落な感覚があるかどうかです。それが感じられないと、せっかく求めた日傘もとても使いづらいものになります。個人的には表は涼しげで洒落たイメージ、裏はしっかり遮熱機能が備わったものがベストだと考えます」とのことだ。

宮武さん一押しは、クリエイターのいとうせいこうさんが「男日傘、売ってないかな?」とツイッターでつぶやいたことに宮武さんが名乗りをあげて製品化、ドクロマークはいとうさんがデザインしたというオシャレな男性用日傘「マクロッサ」(8640円)だ。
「表は涼感あふれるシャンブレー、裏は遮光、遮熱性能に優れたヒートブロックを採用しています。また売上の一部を国境なき医師団に寄贈するプログラムも兼ねております」

また品質とともに大事なのが「店選び」だ。

「絶対壊れない傘というのは存在しませんので、メーカー修理取次対応ができる店でご購入になることが大事です。専門店や百貨店にはアンブレラ・マスターの資格表示が出ていますので、それも大事な目安ですね。不明な場合は『壊れたら修理していただけますか』と尋ねてみてください。ちゃんと返事ができない店で購入されると、それは値段にかかわらず使い捨てになってしまいます」

もちろん「心斎橋みや竹」は相談や修理対応は万全だ。また業界内でいちはやく遮光傘を手掛けたサンバリアの男性用日傘のシリーズ「サンバリア100」(12744~14040円)もオススメだという。
「サンバリアさんや当店(みや竹)は傘屋としての誇りと使命感をもって製造販売していますので、確かな技術力とサポート体制が売り。安心してご愛用いただける機能的な男性用日傘といえましょう」

宮武さんは「男日傘はアリかナシか?」という初期のフェーズはとうに過ぎており、傘業界もマーケットの可能性に気付き、アイテムや売場を拡充していると力説する。とにかく日光が照りつける暑い日に、誰かに借りて試しに一度日傘を差して歩いてみてほしい。日差しを遮ることがどれほど楽であるかがわかるはずだ。そして炎天下を歩いた傘にぜひとも触れてほしい。その表面が驚くほど熱くなっていることに驚くことだろう。何もなければ、その熱はあなたの全身を直撃しているのだ。

「現代は様々なライフスタイルが共存しています。『何が許せて何が許せないのか』という狭い視野ではなく『必要とする人が自由に活用する』という心を社会が持てば暮らしの豊かさはぐっと広がります。男の日傘、それは自分で自分の身を守るための“いのちの傘”なのです」

Text by Tamotsu Narita

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