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BMW M4 CS──普段使いもできるチューニングカー

「企業はまるで一人の人間のようです。スポーツを楽しむことを通じて、自身を鍛え上げ、情熱を傾け、能力を向上させるのです」。これは1972年、かのロバートA.ラッツが誕生したばかりのBMWモータースポーツ社に捧げた言葉だ。その後、社名はBMW M社へと変わったが、モータースポーツを通じて自らの価値を高める伝統は当時となにも変わっていない。『M4』は、このM社がBMWの中核クーペ『4シリーズ』をベースにそのノウハウを注いで作り上げたモデルである。そして、M社は2017年4月の上海モーターショーで、『M4』にさらなる味つけを施した限定モデル『M4 CS』を発表。サーキット走行に主眼を置いたロードゴーイングレーシングカーというより、マニア心を擽る“チューニングカー”というべきクルマだ。

BMW『M4』に足りなかった部分に最適の味つけをし、ファン要素を高めた『M4 CS』

BMW M社は2016年、サーキットでの走行性能を最大限に高めた『M4』のスペシャルバージョン、『M4 GTS』を発表している。最大出力500psを発生するそのパフォーマンス、そして全世界700台、国内30台限定という希少性も加わり、『M4 GTS』はモータースポーツファンの心を擽った。

今回の限定モデル『M4 CS』も、BMW『4シリーズ』をベースにしたハイパフォーマンスカーという意味では『M4 GTS』と変わらない。しかし、2台が目指す方向性はまったく異なる。

『M4 GTS』は、当時の広報資料に「レース仕様のモデルでありながらも公道走行が可能」とあったように、M社のノウハウとメッセージをストレートに注入したロードゴーイングレーシングカーだ。それだけに、仕上がりはかなりスパルタン。3.0L直列6気筒ツインターボエンジンは、最高出力368kW(500ps)/6200rpm、最大トルク600Nm(61.2kgm)/4000〜5500rpmを発生。7速M DCTギアを組み合わせ、0-100km/hまでの加速は3.8秒というスペックが与えられている。このクルマを手に入れるにあたっては、日常使用と切り離す決断が必要と思えた。

それに対し、『M4 CS』は『M4』の足りない部分に最適の味つけを施し、『M4』が持つファン要素をさらに引き出しているモデルだ。『M4 GTS』がレーシングカーだとすれば、『M4 CS』は“チューニングカー”と表現されるべきだろう。

市街地からサーキットまで、幅広いシーンに使える『M4 CS』の絶妙なチューニング

パフォーマンスへの味付けはまさに絶妙だ。3.0L直列6気筒エンジンは、最高出力338kW(460ps)/6250rpm、最大トルク600Nm(61.2kgm)を発生。『M4 GTS』に比べると馬力は見劣りするものの、トルク値はまったく同じ。トランスミッションもやはり7速M DCTで、0〜100km/h加速は3.9秒と、『M4 GTS』とわずか0.1秒差という俊足ぶりだ。加速時には専用の「ツイン・フロー・スポーツ・エクゾースト・システム」が刺激的な直6サウンドを奏でる。

また、『M4 CS』は、ダンパー設定を「コンフォート」「スポーツ」「スポーツ+」とそれぞれ任意に選択できる電子制御サスペンション「アダプティブ M サスペンション」を標準装備。市街地からサーキット走行まで、幅広いシーンで最適な運動性能にセッティングすることが可能となっている。

駆動系に搭載された「アクティブ M ディファレンシャル」は、クルマの状態をモニターする「ダイナミック・スタビリティ・コントロール」と統合制御され、アクセルペダルの位置やホイールの回転数、ヨーレートなどをすべて同時に計算、走行状況に合わせた最適なトラクションと安定性を提供する。さらに「Mダイナミック・モード」を選択すれば、軽度のドリフトも可能だ。

『M4 CS』の内装は女性もドライブに誘え、スタイリングは街中に出ても違和感がない

内外装も見事なまとまりで、このエクステリアやインテリアを見れば、日常的にも『M4 CS』に乗りたくなることだろう。

外装には、CFRP製フロント・スプリッターやCFRP製リヤスポイラー、リヤディフューザーといったモータースポーツ由来の装備も見られるが、極端なチューニングカーにありがちなハリボテ感はいっさいない。ちなみに、ホイールはDTM(ドイツツーリングカー選手権)で成功を収めた『M4レーサー』のホイールを踏襲した専用品。フロントホイール約9kg、リヤは約10kgと、軽量化も追求された機能美溢れる逸品である。

インテリアには、おなじみのMのストライプカラーが配されているものの、いい意味で「スポーツカーらしさ」が抑えられ、上質さが漂う。内装に合わせてアルカンターラが縫い込まれたレザーシートは、座り心地とホールド性を両立させたセミバケットタイプ。これなら女性もドライブに誘いやすい。専用Hi-Fiスピーカーシステムも、気分をさらに盛り上げてくれそうだ。
サーキットで走ることに特化したロードゴーイングレーシングカーは、街中に飛び出すと異質なクルマとして悪目立ちしがちだ。その点、『M4 CS』のスタイリングは公道に出ても違和感がなく、むしろ歩行者は目を奪われるだろう。普段使いもできるプレミアムチューニングカー『M4 CS』の価格は1598万円(税込み)。日本では限定60台の販売となっている。

Text by Tetsuya Abe