ベンテイガ オニキスエディション画像01_R(1)
- 大人のための最新自動車事情 -

オニキスエディション──カジュアルなベンテイガ

ベントレーが初めて手がけたSUVの『ベンテイガ』に、「オニキスエディション」という新たなグレードが追加された。「オニキス」とは、縞模様のある「アゲート=瑪瑙(めのう)」のことだが、一般的には黒色のアゲートを指す。この名前から、ブラックカラーを纏った上級モデルを想像するかもしれないが、じつは「オニキスエディション」は、装備を一部見直して価格を抑えた比較的カジュアルなモデル。超高級車ブランドのベントレーが、ひと握りの超富裕層だけではなく、より幅広い層をターゲットに投入した戦略的な新グレードである。

高級SUVの頂点に立つ『ベンテイガ』の装備と価格を抑えた「オニキスエディション」

世界の自動車市場を席巻する高級SUVのなかでも、ベントレーが「史上初のラグジュアリーSUV」と謳い、2015年にデビューさせた『ベンテイガ』は、その頂点に君臨する一台だ。

全長5150mm×全幅1995mm×全高1755mm、重量2350kgの圧倒的なボディサイズに、最高出力608pを誇る6.0L W12気筒ツインターボエンジンのパワーもさることながら、なにより目を見張るのは2695万円というスターティングプライスである。

この車両価格に加え、100色以上に及ぶボディカラー、リアスポイラーや前後バンパーなど数カ所のカーボンアイテムがパッケージとなったボディキット、さらにレザー、カーペット、ウッドパネルといったインテリアの素材、オーディオ装備など、無数に用意されたオプションの価格を加えれば、乗り出し価格が4000万円を超えることもめずらしくない。

ほかのプレミアムブランドのSUVには1000万円台のグレードも用意されているが、『ベンテイガ』の場合、オプション費用だけでそうしたSUVが買えてしまうのだ。まさしく別次元。そもそも、ターゲットとしている顧客の層がまったく違うのである。
しかし、さしものベントレーも、もう少し幅広い層に『ベンテイガ』に乗ってほしいと考えたのだろう。そこで設定されたのが、初のバリエーションモデルとなる「オニキスエディション」だ。ベントレーいわく「季節を問わずアクティブにラグジュアリーな生活を楽しむ方にふさわしい」としており、車両価格は標準モデルより340万円ダウンの2399万円となっている。

乗り出し価格は3000万円以上? カジュアルモデルといえどもベントレーはベントレー

標準モデルとの大きな相違点は、エクステリアでは、21インチが標準だったアロイホイールが20インチのスポークタイプになり、ボディ下部やドアミラーの基部が「テクニカルグレー」から「グロスベルーガブラック」仕上げとなったこと。それにより、ラグジュアリーセダンの『フライングスパー』がそのままSUVになったかのような『ベンテイガ』の印象が一変し、カジュアルなムードとなっている。標準モデルでは無数に近かったボディカラーは11色に限定される。

インテリアでは、5色のシングルトーンが選択可能で、そこに組み合わせるウッドパネルは「ダーク・フィデルバック・ユーカリプトゥス」。フルーテッドシートやエリアーデクロス製アッパートリム、「マリナードライビングスペック」など、より豪華さを演出するアイテムは非装備となるが、外装と同様に、それがむしろカジュアルな印象を際立たせている。

メカニズム面では、SUVとして世界初採用となった電動アクティブスタビライザーの「ベントレーダイナミックライド」がオプションとなり、「コンベンショナル・パッシブアンチロールバー」が標準装備となった。
カジュアルな装いとなり、価格が多少抑えられている意味では、「オニキスエディション」は標準モデルの『ベンテイガ』の廉価版といえるだろう。しかし、それでもオプションや諸費用を含めれば乗り出し価格は3000万円近く、あるいはそれ以上となる。カジュアルなグレードといっても、やはりベントレーはベントレー。乗る者を選ぶ特別な一台であることに変わりはない。「オニキスエディション」の本年度の日本販売は30台で、デリバリーは第4四半期を予定している。

Text by Muneyoshi Kitani