地方移住で空き家リフォームや自給自足は誰でもできる?
- 第二の人生はのんびり田舎暮らし、地方移住の始め方 -

地方移住で空き家リフォームや自給自足は誰でもできる?

行く行くは地方移住をして、空き家をリフォーム、自分で野菜を育てるなど…。40代男性のなかには、自給自足の生活に憧れを抱く人も少なくない。しかし、家のリフォームや自給自足生活は誰にでもできるものなのだろうか?

■今回のアドバイザー

一般社団法人 移住・交流推進機構(JOIN)
田染賢一郎さん

企業と自治体が協力し、新たな移住・交流ビジネスの創造、地域の活性化を目的とした組織、移住・交流推進機構(JOIN)事務局に在籍。

空き家リフォームで失敗しないコツは事前調査とイメージ作り

確かに地方には空き家が多くあり、自治体によっては無償提供している場合もある。こういった空き家をリフォームするためには、どういったことに注意すべきだろうか? 一般社団法人 移住・交流推進機構(JOIN)の田染賢一郎さんによると、そのポイントは老朽化の度合いにあるようだ。

「空き家の空白期間や築年数によって老朽化の程度は様々です。まずは対象の物件が、リフォームに耐えうる物件かどうかの見極めが重要です。そもそも、リフォームで再生することが現実的でない物件もあります。単に外観や築年数だけで判断はせず、事前に床下や屋根裏、老朽化箇所、傾き程度など、しっかりと調査をしてもらい、慎重に計画を練る必要があります」(田染さん、以下同)

また、新しく暮らすことになる家なので、誰とどのように生活していくかをしっかりとイメージし、その内容を正確に業者に伝えることが、リフォームで失敗しないコツだそう。

空き家をリフォームするにあたって、気になるのはかかる費用。内容により異なるため、一概には説明できないが、費用を抑える方法があるという。

「自治体によっては空き家リフォームに要する経費について、助成制度を設けている自治体もあります。このような公的な制度をうまく活用し、金銭的な負担を軽減することも重要です。また、いくつかの市町村では『空き家バンク制度』があり、ウェブサイト上で空き家の写真や価格、住所などを閲覧できる仕組みを構築しています。自治体が掲載しているということで、信頼性のある情報です。もちろん、実物を見ないで購入や契約をすることは問題外ですが、まずは空き家選びの入り口としてご活用してみてはいかがでしょうか」

地方移住の場合、何度も現地へ足を運んで物件探しをするのは難しい。だからといって、選定作業を怠ってしまうと後で痛い目に遭う可能性も…。そうならないためにも、まずは、ネット上で前述のような情報収集をするとよさそうだ。

空き家リフォームで増えつつあるDIYも無理は禁物

リフォームをする際に、業者に依頼すれば安心感があるけれど、DIYでコツコツとリフォームしたい派もいるはず。しかし、誰にでもできるものなのか…。

「移住費用を安く抑えるため、自力で改修をおこなうケースも最近増えつつあります。ただ、ひと口にDIYといっても『壁の塗り替え』のような比較的簡単な作業する方から、水回りや浄化槽の設置などを含め、家の大部分を自力で改修する方もいらっしゃいます。しかしながら、いずれにしても無理は禁物。電気配線工事や屋根の張替えなど、危険な作業も伴いますので、無理はせずプロに任せることも大事です。とくに、電気配線工事をするには、電気工事士のような資格が必要なるので注意してください 」

専門的な知識や経験を持っていないなら、空き家リフォームをすべて自分で行うのは、避けたほうが無難かもしれない。しかし、「自分で手を加えることで、家への愛着も生まれてくると思います。最近ではホームセンターなどでもDIY用品が容易に手に入りますので、まずは簡単なところから始めてみてはいかがでしょうか」と、田染さん。DIYをするなら、危険を伴わない範囲で楽しむのもひとつの方法だろう。

悠々自適とは限らない自給自足生活

さて、前述「“のんびり”野菜でも育てながら悠々自適に暮らしたい」と考えるケース。自給自足は本当に“のんびり”とした暮らしなのだろうか…?

「自分で育てたものが食卓にのぼる。作り手がわかっていて、愛情をこめて育てたものを、採れたての状態でおいしくいただけることが、自給自足の魅力ですよね。ただ、すべての食材を自給自足で賄うのは、とてもハードルが高いように思います。農業の経験がないとなおさらです。せっかく自給自足にチャレンジしても、途中で断念し耕作放棄地化しては元も子もありません。まずは家庭菜園レベルで、少しの作物を作るといったように、小さい面積から始めて、徐々に栽培面積を拡げてみることをオススメします。自治体によっては、『市民農園
』として、農地を無料で貸し出す取り組みを行っている自治体もあります」

トマトやきゅうりを少しだけ育てる程度ならアリかもしれない。しかし、「自家製の食材で焼き上げたパンに、産み立て卵で目玉焼きを」なんて生活を実現するとなると、都会での会社員時代よりも多忙になる可能性もありそう。

農林水産省の調査によると、農業就業人口の減少が止まらず、2011年は約260万人だったのに対し、2016年の人口は約192万人。わずか5年間でおよそ70万人も減少している。高齢者の離農や後継者不足など、様々な要因が考えられるが、若い世代が農業を選択しない理由には“農業の大変さ”もあるだろう。空き家リフォームも自給自足も、まずは趣味程度と捉えて、楽しめる範囲で初めてはいかがだろうか。

Text by Yoshiharu Nako (KOUMUTEN)