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その名は「GLM-G4」──京都発の国産EVスーパーカー

40代のカーガイならば、『トミーカイラZZ』という車を覚えているかもしれない。20年前、大手自動車メーカーではなく、京都の小さな自動車メーカーだったトミタ夢工場が発売したスポーツカーである。生産台数は206台。ピュアスポーツカーとしてのシャープな運動性能と台数の少なさから「伝説のスポーツカー」と呼ばれている。その『トミーカイラZZ』を電気自動車として甦らせたのが、同じく京都に本社を置く「GLM」だ。『トミーカイラZZ』の理念とロゴは継承しながら、中身は一から作り上げた最新のEVスポーツとして復活した『トミーカイラZZ』。その先進性と高い動力性能から、2016年の試乗会はメディアでも大きく取り上げられた。そして、GLMが次の一手として発表したEV車が『G4』だ。

最高出力540馬力、3.7秒で100km/hまで加速する脅威のEVスポーツカー『GLM-G4』

『G4』は、最高出力400kw(540馬力)、最大トルク1000Nmを発揮する四輪駆動のスーパーカーだ。専用開発の高効率・高出力モーター「Multi saliency power package(マルチ・サリエンシー・パワー・パッケージ)」を車両の前後に2機搭載。それぞれが道路表面の状況にあわせてタイヤの回転力を調整し、走行時の動力を最大化させるという。その結果、最高速度は250km/h、0-100km/h加速は3.7秒という高い動力性能を達成している。

EVで動力性能が高ければ、それだけ電気の消耗も激しいのではないかと思うかもしれない。消耗が激しければ、航続距離の短縮につながってしまう。それでなくても、走行距離はEV選びで気になるポイントだ。

その部分においても『G4』は優秀である。大きな電流や電圧に耐えるパワー半導体であるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)を改良し、スイッチングロス(電気回路の開閉で生じる電力損失)低減と電費の向上が図られ、航続距離は欧州の標準試験モードであるNEDC(新欧州ドライビングサイクル)で400kmを実現した。

GLM-G4のコンセプトは「路上を走るヨット」、ガルウイングとひと味違う優雅なドア

外観はスポーティーなクーペスタイル。4ドアの4人乗りである。低く構えるルーフラインは室内空間の広さが気になるが、4人の乗員がくつろげる快適さを確保している。

印象的なのは、ドアを開けたときのシルエットだ。前後ドア4枚が高く跳ね上がる「Abeam Sail door(アビームセイルドア)」は、これまでのガルウイングとは一線を画す。ちなみに、「アビームセイルドア」の「アビーム」とは、ヨットの帆が風を受けて、最もスピードが出る状態を指す。

じつは、『G4』の車両コンセプトは「RoadYacht(ロードヨット)」、つまり「路上を走るヨット。現代のラグジュアリーカーの新境地を拓く、新たな時代の「グランドツアリングカー」を目指している。静かながらも力強く、かつ優雅な姿。それでいて、排気ガスを出さず、化石燃料も使わずに、何も周囲に負荷をかけない性能は、まさにそのコンセプトを具現化した姿だろう。

プラットフォームやコアテクノロジーを販売、自動車ビジネスを変えるGLM社の試み

『G4』はビジネスモデルも先進的で、ただ車両を売るだけではない。ゆくゆくは、完成車の外装部分(ボディーカウル)を除くプラットフォーム部分も販売するという。このプラットフォームをベースに外装部分の開発を行えば、自動車メーカー以外でも比較的容易に、EV開発に着手が可能になる。また、コアテクノロジーの販売もしていく予定だ。

GLMの小間裕康社長は、「トミーカイラZZで目指したのは『童心に帰る、子どものように楽しめる時間を与えてくれる車』でした。一方でG4は『官能的な時間を与えてくれる車』を目指します」と語る。

現代のラグジュアリーカーの新境地を拓く、新時代の「グランドツアリングカー(GTカー)」として開発が進められている『G4』。すでに、2016年のパリサロンに出展されているが、今後も世界各国のモーターショーで披露される予定だ。

量産予定は2019年で、想定価格は4000万円。販売台数は1000台を目指しており、同車だけで400億円程度の売り上げを目標にしている。年内には試作車での走行テストも予定されており、今後の進捗が楽しみだ。

Text by Tsukasa Sasabayashi