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最速のランボルギーニ──ウラカン ペルフォルマンテ

ドイツ、ラインラント=プファルツ州アールヴァイラー郡にある小さな町は、歴史ある古城からその地名が取られた。町の名は「ニュルブルクリンク」。しかし、その名を有名にしたのは、城ではなくあるサーキットだ。「ニュルブルクリンク ノルトシュライフェ(北コース)」。全長約20kmのコースは多種多様なコーナーを持つことや過酷な走行環境から、様々なシーンを想定したドライビングテストが可能で、<スポーツカー開発の聖地>と呼ばれている。ニュルブルクリンクでの走行タイムは、ある種、スポーツカーのポテンシャルを測る大きな指標のひとつだ。そのニュルブルクリンクで、量産車として史上最速のラップタイムとなる「6:52:01」を記録したのが、ランボルギーニ『ウラカン ペルフォルマンテ』だ。

ランボルギーニが持つDNA、革新性、技術開発のすべてが詰まった『ペルフォルマンテ』

ランボルギーニ史上最大のヒットモデルである『ガヤルド』の後継として2014年にデビューした『ウラカン』。フラッグシップである『アヴェンタドール』に対して、その弟分といった位置づけをされることもある。しかし、こと『ペルフォルマンテ』に関しては、ニュルブルクリンク最速のラップタイムを叩き出したことからも、ただの弟分ではないことがわかるだろう。ランボルギーニの社長兼CEO、ステファノ・ドメニカリ氏は『ペルフォルマンテ』をこう評する。

「ランボルギーニのDNAや革新、そして業界を牽引するスーパースポーツカーづくりに必要な全てのアプローチが詰まっています」

その言葉を具現化したひとつが、徹底した軽量化だ。ボディや各種パーツには、アルミとフォージドコンポジットを使用。フォージドコンポジットとは、ランボルギーニが開発した炭素繊維と樹脂の複合素材で、剛性はそのままに、従来のカーボンファイバー・コンポジット素材では不可能とされた軽量構造の維持と複雑な形状を両立させている。この素材をボディだけでなく、フロントやリアスポイラー、エンジンボンネット、リアバンパー、エアロダイナミック・ディフューザーなどのパーツに採用。ベースである『ウラカン』から削減された重量は40kgとなり、乾燥重量1382kgを実現した。

驚くべきは、軽量化しながらボディ剛性は向上している点だ。『ウラカン クーペ』に比べて垂直剛性が10%、ロール剛性は15%もアップ。アームブッシングの半径方向剛性と軸方向剛性が50%増加したことにより、車体の横方向制御も大幅に強化された。

0-100km/h 加速は 2.9秒! ランボルギーニ史上最もパワフルなV10エンジンを搭載

このボディに搭載されるエンジンは、『ウラカン』と同じNA(自然吸気)のV10 5.2Lがベース。しかし、最大出力640hp(470kW)/8000rpm、最大トルク600Nm/6500rpmと、ランボルギーニ史上、最もパワフルな V10エンジンに仕上がっている。

車重が軽くなり、パワーが増せば、当然、パワーウェイトレシオ(出力重量比)は向上する。『ペルフォルマンテ』のそれは、2.16kg/hp。0-100km/h加速は2.9 秒、0-200km/hは8.9 秒と、抜群の加速性能を生み出す原動力となっている。ちなみに、気になる最高速度は325 km/hだ。

動力性能を受け止める足回りには、サーキット走行時のボディ及びホイール制御の向上を意図したパッシブ型ダンパー(オプションで磁気粘性サスペンションの選択も可能)が採用された。ブレーキは、通気性に優れたクロスドリル加工カーボンセラミック・ディスク。0-100km/h のブレーキ制動距離は31メートルで、並外れた加速力とトップスピードをしっかりと受け止めてくれる。

さらに『ペルフォルマンテ』を扱いやすくしているのが、「ストラーダ」「スポルト」「コルサ」のドライビングモードだ。「ストラーダ」では、トラクションと安定性を最優先。「スポルト」は、後輪駆動寄りで、オーバーステア気味の挙動とドリフティングの手軽さが特徴だ。「コルサ」では、サーキットで最高の走りを実現するようにトップパフォーマンスとハンドリングを重視した。

『ペルフォルマンテ』の最大の特徴は、可変型のエアロダイナミクスの「翼」にあり

『ペルフォルマンテ』がニュルブルクリンクで最速記録を打ち立てることができた背景には、もうひとつ秘密がある。それが、イタリア語で「翼」を意味する「エアロダイナミカ・ランボルギーニ・アッティーヴァ(ALA)」の採用だ。ALAとは、平たくいえば可変型のエアロダイナミクス。ALAが作動することで、能動的に空力負荷を軽減してくれる。

一般的な可変型エアロダイナミクスは、速度などに連動して作動することが多い。しかし、ALAはひと味違う。極端にいえば、すべての車両状態に連動するのだ。それを可能にしたのが、「ランボルギーニ・ピアッタフォルマ・イネルツィアーレ(LPI)」。これは、車両に搭載されたすべての電子装置を「リアルタイム」で管理して、加減速やローリング、ピッチング、ヨーイングといった車両の挙動を常に把握するシステム。このLPIとALAが連動することで、あらゆる走行条件において最高の空力設定を整えるのだ。ちなみに、車両挙動の変化を感知しALAが起動するまでの時間は、わずか0.5秒だという。

ALAが作動すると、フロントでは、フロントスポイラー内のフラップが電動モーターによって開放されて空気を取り込む。これにより、車体底部へと気流が生まれて空気抵抗が減少。加速及びトップスピードの最大化に最適な条件が整う。ALAをオフにした場合はフラップが閉じて、気流は生まれない。その代わりに、高速でのコーナリング及びフルブレーキング時に必要な高ダウンフォース(車が地面に押さえつけられる力)が発生する。

一方、リアではさらに精密な制御が行われている。ALAが作動すると、開いたフラップから空気を取り込み、その空気はインナーチャンネル(空気の通り道)を伝って、ウィング下へと運ばれる。結果として、ウィング上面と下面の気流に変化が生まれてダウンフォース(車が地面に押さえつけられる力)が軽減。上から押し付けられる力が少なくなる分、加速力とトップスピード到達力が向上するのだ。逆に、ALAがオフになると、リアフラップが閉じ、従来の固定式リアウィングと同様の働きとなってダウンフォースが発生。その際の力は、『ウラカン・クーペ』の7.5倍となり、高速コーナリング時やフルブレーキ時の安定性を高めてくれる。

さらに驚くべきは、「エアロ・ベクタリング」と呼ばれる仕組みだ。曲がる方向に応じて、ALAの設定をスポイラーの左右いずれかに切り替え、どちらかに多く気流を発生させることで、揚力やダウンフォースを調整。車両全体の動的安定性を向上させるという。このALAこそが、『ペルフォルマンテ』の最大の特徴といってもいいだろう。

完璧なパフォーマンス、『ペルフォルマンテ』はランボルギーニによる技術開発の結晶

ALAは、エクステリアのポイントにもなっている。ALAのコンポーネントは艶出し加工が施され、剥き出しのデザインに仕上げられた。また、マットなボディカラーと対照的な、マット及びグロッシー仕上げのブラックカーボンファイバーを合わせている。

全体のデザインは『ウラカン』を踏襲しているが、ボディはレース用車両のピュアなラインやパフォーマンスを想起させ、シャープな佇まいを醸し出す。特に、フロントスポイラーは強い存在感を放つ一方、グリルを廃したフロントバンパーが軽量性や高性能、そしてスポーティーさを強調している。また、リアでは、高い位置に設置された排気パイプが印象的。ネイキッドバイクを連想させ、ボディとエンジンとの繋がりをより直接的なものとしている。

インテリアでもALAが存在感を放つ。ダッシュボードのディスプレイには、ALA専用画像が作動状況を表示。視覚からも、アクティブ・エアロダイナミクスを体感することができる。また、エアベント、パドル、ドアハンドル、センターコンソールは、すべてフォージドコンポジット製。ランボルギーニが培ってきたレースにおける知見を生かした内装だ。
『ペルフォルマンテ』とは、イタリア語で「パフォーマンス」を意味する。その名の通り、掲げた開発目標は「パフォーマンス志向のレース仕様車」だ。そして、実際に最速のロードカーという称号を手中に収めた。最高の走りを実現したこのスーパーカーに『アヴェンタドール』と弟分という通り名は失礼すぎる。ステファノ・ドメニカリ氏の言葉を借りれば「完璧なパフォーマンスを発揮する車を目指してきたランボルギーニによる技術開発の結晶」。オーナーになるのは難しいとしても、一度はその走りに酔いしれてみたい一台である。

Text by Tsukasa Sasabayashi