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911GT3――ポルシェの真髄を感じ取れるロードカー

ワンメークレースとは、エンジン、タイヤ、シャシーなどを同じコンディションで揃えた同一車種で行うモーターレースのこと。日本では、気軽に参戦できることから参加台数も多い、トヨタ『ヴィッツ』による「GR Netz Cup Vitz Race」などが有名だ。そんなワンメークレースで、日本、いや世界でも最高峰とされているのが、「ポルシェ カレラカップ」である。世界各国で開催されており、日本でも16年前から国内各地のサーキットで熱線をくり広げている。このレースに参戦している車が『911 GT3 カップ』。レースに特化した911で、ポルシェの真髄を体現する一台だ。そして、この『911 GT3 カップ』に搭載されているエンジンが、ほぼ仕様変更されることなく搭載された車が、今回発表された最新鋭の『911 GT3』である。

『911 GT3』は、レーシングカーのエンジンを搭載したサーキット特化型のポルシェ

もともと『911 GT3』は、自動車レースに使用する競技車両のカテゴリー「GT3クラス」に対応するために開発されたモデルだ。「GT3クラス」は市販車を改造した車両を使用するため、市販段階でポテンシャルが高いほうが有利なのである。

そういった意味で、『911 GT3』は、日常的な公道走行とサーキットをつなぐ一台といってもいいだろう。なかでも、今回の新型は別格かもしれない。なにしろ、純血種のレーシングカーである『911 GT3カップ』のエンジンが、ほとんど仕様変更されることなく使用されているのだ。

その心臓部は、4.0Lの自然吸気型水平対向エンジンで、最高出力368kW(500ps)/8250rpm、最大トルク460 Nm/6000rpm。この数字からも分かるように、高回転型で、まさにサーキットで最大のパフォーマンスを発揮できるようにセッティングされている。

エンジンに組み合わされるのは、GT3専用に調整された7速デュアルクラッチトランスミッション(PDK)。エンジンの実力をいかんなく引き出し、0-100km/h加速タイムは3.4秒、最高速度は318km/hに達する。また、オプションとして6速マニュアルスポーツトランスミッションも準備されているのもうれしい限り。こちらは、0-100km/h加速タイムは3.9秒、最高速度は320km/hだ。

ポルシェのサーキット走行に対するこだわりが垣間見える『911 GT3』のエクステリア

エクステリアは基本的に『911』のDNAを踏襲。そんななかでも、リアにそびえ立つカーボン製のリアウイングが、『911 GT3』の存在意義がレースにあることを如実に表している。また、フロントエンドとフロントスポイラーは、エアフローのさらなる向上のために最適化。排気のための開口部を備えたリアエンドと新しいディフューザーが、リアウイングとともに、エアロダイナミクスの高さを印象づける。
ちなみに、見た目だけではわからないが、車両重量は1430kgと超軽量だ。パワーウェイトレシオは3.88kg/kW(2.86kg/ps)と、やはりこちらもレーシングカー直系であることを感じさせる。

インテリアは、卓越したドライビングダイナミクスを受け止める作りになっている。繊細なコントロールを司るステアリングには、「史上最強のポルシェ」との呼び声も高い『918 スパイダー』に由来した直径360mmのGTスポーツステアリングを採用した。

シートには、運転席と助手席の両方に、サイドサポートが強化された「スポーツシート プラス」が装備される。これは前後の調節は手動で、高さとバックレストは電動で調節する。ほかにも、すべてのシート機能(18-way)が、電動調節される「アダプティブ スポーツシート プラス」と可倒式バックレスト、内蔵式胸部エアバックおよび手動式前後調節機能を備えた「スポーツバケットシート」、そして、カーボン模様仕上げの軽量な「CFRP製フルバケットシート」から選ぶことが可能だ。

価格2115万円、ポルシェモータースポーツセンターで開発された公道を走るレースカー

『911 GT3』は、ドイツ・フラハトのポルシェモータースポーツセンターで開発、試験、調整のすべてが行われた。これは、ポルシェのモータースポーツテクノロジーをロードカーに詰め込むために、レーシングカーと同じテストサーキットでの開発し、かつ同じ生産ラインで製造したということだ。まさに、公道を走ることができるレーシングカーといっていいだろう。

価格は7速PDKモデルで2115万円(税込み)。6速MTモデルは秋以降の生産開始となる。価格的にもスペック的にも、「普段使いのポルシェ」とはいかないかもしれないが、『911 GT3』でサーキット走行会に参加すれば、ポルシェの真髄が何たるかを感じ取ることができるかもしれない。

Text by Tsukasa Sasabayashi