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40代のために作られたV8フェラーリ――GTC4ルッソT

フェラーリの創始者、エンツォ・フェラーリは、12気筒エンジンに強いこだわりを持っていた。「12気筒エンジン以外の市販車はフェラーリではない」と公言していたのは、有名な逸話だ。現在も、フェラーリ原理主義者のなかには、12気筒を崇拝する熱心なファンもいるだろう。一方、1970年代半ば以降、フェラーリの収益の屋台骨を支えてきたのがV8搭載車種であることも事実。現行モデルにも『カリフォルニアT』『488GTB』『488スパイダー』などが存在している。そして今回、4シーターでは初のV8ターボエンジン搭載車となる『GTC4Lusso(ルッソ)T』がV8ライナップに追加された。

近年増加する30〜40代のフェラーリオーナーに最適、普段使いできる『GTC4ルッソT』

『GTC4ルッソT』のカスタマー・プロフィールには、「エレガントでこれまでとは違う一台を求めている30〜40歳。毎日の通勤はもちろん、スポーツを楽しみにビーチに行ったり、子どもの学校への送迎、また、パートナーと夕刻にドライブを楽しむために利用する人」とある。

じつは、ラグジュアリーカーを取り扱うある自動車販売店で「最近は若い世代でもフェラーリを購入されるお客様が増えています」という話を聞いた。この「若い世代」とは30〜40代。医者や弁護士、ビジネスでの成功者が多いとのことだ。

フェラーリを買いやすくなった理由はいくつかある。たとえば、12年間までの保証延長サービスができたこと。過去のフェラーリに比べると、故障などの頻度が少なくなったこと。また、運転しやすく、日常でも乗れる車種が増えたことも関係しているだろう。そして、もうひとつ大きな理由が、V12よりも価格的にリーズナブルな、V8搭載車種が充実したことだ。実際、「若い世代」にはV8が人気だという。

そういう意味では、運転がしやすく、4人乗りで日常使いに長け、かつV8でリーズナブルな『GTC4ルッソT』は、30〜40代に最適のフェラーリといえる。そして、カスタマー・プロフィールを見る限り、フェラーリもそのことを強く意識しているようだ。

最高速度320 km/h以上、猛烈な加速を実現する『GTC4ルッソT』のV8ターボエンジン

前置きが長くなったが、『GTC4ルッソT』の特徴に触れていこう。『GTC4ルッソT』は、もちろん、V12エンジンを搭載した『GTC4ルッソ』の派生モデルである。パワーユニットは、3.9L V8ターボエンジン。『488スパイダー』に搭載される2016年インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーを受賞したエンジンの最新進化版だ。

最高出力は610cv/7500rpm。最高速度は320 km/h 以上で、0-100 km/h 加速はわずか3.5秒、そして、100-0 km/hからの制動距離は33mである。この猛烈な加速は、最大トルク760Nmを3000〜5250rpmという幅広い回転域で発生させることが可能ゆえに実現できた。その秘密は「可変ブーストマネジメント」にある。

「可変ブーストマネジメント」は、選択されているギアごとに最適なトルクを発生させる制御ソフトウェア。シフトアップと歩調を合わせてエンジン・トルクを上昇させ、7速で最大トルク760Nmに到達するようになっている。結果として、アクセル操作に瞬時に反応し、パワフルなドライビングフィールを得ることができるのだ。

ドライビングでは、V12バージョンと同等のハンドリング特性を維持しつつ、よりスポーティーな感覚を際立たせるように再調整することを目標にしたという。具体的には、V12バージョンにも搭載されている「4WS」と「SCM-Eコントロールシステム」に『GTC4ルッソT』専用のセッティングを施すため、車輌総重量の軽量化、さらに前後重量配分が46:54とリア寄りに設定している。

ちなみに「4WS」は後輪フロントホイールと同じ方向に後輪をステアさせることで、コーナーの進入時も脱出時も、シャープなレスポンスでステアリングからの入力に応える仕組み。「SCM-Eコントロールシステム」は、ホイールに設置したセンサーからの情報によって減衰力を変化させることのできる、磁性流体力学式サスペンション・コントロール・システムのことだ。

また、SSC3(サイドスリップコントロール3.0)を搭載することで、リアルタイムで横滑りを検知。各システムに取るべき動きを伝達し、あらゆる状況下でもグリップコンディションに合わせて車輌の挙動を制御し、より高い精度で正確にコントロールされるようになった。

『GTC4ルッソT』は新たな時代のフェラーリファンを開拓する魅力を持ったスーパーカー

エクステリアはV12バージョンを踏襲している。リアに向かって流れるように細くなる絞り込とルーフ後端を低く落としたリアスタイリングで、ファストバックスタイルを実現。4シーターとは思えないスポーティーなフォルムとなっている。

インテリアでは、匠の技がいかんなくつぎ込まれたレザーが洗練されたエレガンスさを演出。そこに、スポーティーメタル、カーボンファイバーパーツなどのスポーティーな趣をを見事に融合させた。コックピットと助手席は、センターデバイスによって仕切られたシンメトリックなデザインを採用。ドライバーだけでなく、同乗者もドライビングエクスペアリエンスを共有することができる。
フェラーリはそのパワーから、ある意味じゃじゃ馬で、日常使いには向かず、乗る人を選ぶ。そんなイメージは、すでに過去のものだ。それを証明する最たるモデルが『GTC4ルッソT』だろう。価格は2970万円。高嶺の花であることは間違いないが、新時代のフェラーリファンを開拓する一台になることだろう。

Text by Tsukasa Sasabayashi