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レクサスLC――変革を象徴するフラッグシップクーペ

2012年のデトロイトモーターショーに出展されたレクサスのデザインスタディモデル『LF-LC』。その後、幾度となく市販化の噂が立ち上ったモデルである。それから、時が経つこと4年。2016年のデトロイトモーターで豊田章男社長自ら、『LF-LC』の市販モデルとなる『LC』を発表。さらに1年後となる2017年3月、ついに『LC』の発売が開始された。リリースによると、発売から1ヵ月で月販目標の50台に対して36倍となる約1800台の受注があり、好調なスタートを切っている。

「驚きと感動」の提供によって欧州勢のラグジュアリークーペに挑むレクサス『LC』

フェラーリ、ポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツ、ベントレー、アストンマーティン。世界のラグジュアリースポーツクーペは、ほぼ欧州車の独壇場といっていいだろう。そして、どのブランドを選択するかによって、オーナーのライフスタイルさえ垣間見えてくる。車に限らず、ブランディングの意味合いのひとつはそこにある。

だからこそだろう、レクサスも今後は、オーナーに「驚きと感動を提供するライフスタイルブランドとしての進化」を目指すという。欧州のラグジュアリーブランドに追いつき追いこすため、本質的な部分の変革が必要だとわかっているのだ。その「変革の象徴」として誕生したフラッグシップクーペが『LC』である。

フラッグシップを標榜するだけに、その作り込みは舌を巻くほどだ。車の骨格部分であるプラットフォームには、新型『LS』をはじめ、新世代レクサスのFR車にも展開される新開発プラットフォーム「GA-L(グローバル アーキテクチャー ラグジュアリー)」をいち早く採用した。

「GA-L」の特徴は、高剛性や軽量化にこだわり、FR車がもつ本質的な魅力である走りの歓びを実現するところにある。もちろん、『LC』も高い剛性を確保。加えて、走行中のボディへの力のかかり具合や変形特性にも着目し、フレーム全体のねじれ特性を均一化することで、ドライバーの思い通りにラインをトレースする優れた旋回性能を実現した。

レイアウトは、エンジンなどの重量物を前輪軸よりも後方にあたる車両中心近くに配置したフロントミッドシップ。前後重量の最適化が図られ、回頭性やコーナーリング時の安定性も大幅に向上している。また、軽量のCFRP(炭素繊維)やアルミ部材の積極的な採用により重心高を下げたことも、回頭性やコーナーリング時の安定性に貢献している。

ハイブリッド車『LC500h』にはパワフルな走りを実現する「世界初のシステム」を採用

『LC500』には、最高出力351(477)kW(ps)/7100rpm、最大トルク540(55.1)N・m(kgf・m)/4800rpm の5L V型8気筒エンジンが搭載される。組み合わされるミッションは、新開発の「Direct Shift-10AT(電子制御10速オートマチック)」。シフトチェンジの際の心地良いフィードバックと、切れ味の良い変速を実現したほか、構成部品のアルミ化による大幅な軽量化と部品の小型化が図られている。

また、アクセルやブレーキ、車両のG(重力加速度)から、ドライバーの意図を読み取り、最適なギヤを選択する新制御も採用した。

ハイブリッド車の『LC500h』の動力は、最高出力220(299)kW(ps)/6600rpm、最大トルク356(36.3)/5100rpmの3.5L V型6気筒エンジンに、最高出力132(180)kW(ps)、最大トルク300(30.6)N・m(kgf・m)のモーターを組み合わせたものだ。

特筆すべきは、これまでの「ハイブリッドの走りはあまり期待できない」といったイメージを刷新する「マルチステージハイブリッドシステム」の採用だ。これはハイブリッドシステムに有段ギヤを組み合わせた世界初の機構で、エンジンと走行用モーター両方の出力を制御することにより、低速から力強い駆動力を生み出しパワフルな走りを実現する。加えて、低速域から高速域まで、システム効率の高い動作点を選択することで、エモーショナルな走りと燃費性能に優れた快適なクルージング走行を両立した。

足回りには、フロント・リヤともに新開発サスペンションを採用。フロントのハイマウントマルチリンクサスペンションは、運転操作や路面の凹凸による揺れや振動に対して、より細かなにコントロールできるダブルジョイント式上下4本アーム構造。即座に車体の変化に反応してくれる。

艶やかな曲面とシャープな線によってエレガントさを醸し出す『LC』のエクステリア

卓越したスポーティーな走りは、外観でも表現されている。全体は、低重心で低い全高とワイドな全幅によってアグレッシブな印象。フェンダーが張り出し四隅のタイヤを強調するスタイルは、抑揚のある立体構成を強調し、クーペとしての機敏さを表現している。また、各部位の表面は艶やかな曲面とシャープなラインを描き、ラグジュアリークーペにふさわしいエレガントさを醸し出す。

フロントマスクにはレクサスのアイコンであるスピンドルグリル。ボディと一体化させることで躍動感を高めた。目元には小型3連LEDヘッドランプとL字型に発光するLEDクリアランスランプを配置して、精悍かつエレガントな表情を演出している。

リヤは、中央部にフロントからの流れを受けたスピンドル形状。テールランプ外側から縦下方向に伸びたターンシグナルランプや、マフラーディフューザー左右下端の配置と合わせ、重心の低さとワイド感が強調されている。

レクサス『LC』のライバルはドイツ御三家の『Sクラスクーペ』『6シリーズクーペ』

ドアを開けてコックピットに腰かけると、この車がドライバーズファーストであることがよくわかる。ドライバーとクルマの一体感を醸成するドライビングポジションは言うに及ばず、ペダルやスイッチ類の配置、ステアリング傾角、シートのホールド性など、徹底した走り込みに基づく細部にこだわったレイアウトは秀逸だ。

ステアリングは、握る位置に合わせて断面形状が緻密に変化。手にしっくりと馴染む配慮がされている。ステアリング裏のパドルシフトはマグネシウム素材で、細部までスポーティーさにこだわった。

助手席は、乗員を包み込みながら、車両前方に視覚的な広がりを感じさせる空間へと仕上がっている。シートは表皮にレザーやアルカンターラを採用。インテリアの表皮巻きやステッチはすべて手作業で仕上げたという。触って感じる素材感や、使うたびに深まる心地良さを、レクサス独自の感性とクラフトマンシップによる繊細で高品質なモノづくりで実現しているのだ。
価格は1300万円〜1450万円(消費税込み)。車格としてのライバルは、メルセデス・ベンツ『Sクラスクーペ』、BMW『6シリーズクーペ』といったところだろう。もちろん、これら欧州のラグジュアリースポーツクーペに勝るとも劣らないだけの性能があることは間違いない。しかし、『LC』はそれ以上に、「LEXUS(レクサス)」というブランドそのものを、新たな次元に引き上げる使命も持つはずだ。ぜひ、「驚きと感動を提供するライフスタイルブランド」を体現した一台かどうかを、自らの目で確かめてみて欲しい。

Text by Tsukasa Sasabayashi