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ラギットな匂いのBMW『R nineT』ヘリテージモデル

「heritage(ヘリテージ)」とは、「遺産」「継承物」、あるいは「伝統」を意味する言葉だ。いまバイクシーンでは、ヨーロッパを中心に、クラシカルなテイストを取り入れたヘリテージモデルが人気となっている。BMW モトラッドが2017年4月14より販売を開始した2モデルは、ヒットモデルの『R nineT(アール・ナインティー)』をベースにした、伝説のロードスターや初期スーパーバイクのレースマシンを彷彿とさせるスタイリングの新しいヘリテージモデルだ。それが『R nineT Pure(ピュア)』と『R nineT Racer(レーサー)』である。

BMWの名機『R nineT』をよりクラシカルにアレンジした『ピュア』と『レーサー』

BMW伝統のボクサーエンジンや脱着可能なリアフレームを採用した『R nineT』は2013年のミラノショーでお披露目された。カスタマイズを前提とした設計、取り回ししやすいコンパクトさなど、ユーザビリティ溢れる仕上がりが高く評価される名機である。

また、『R nineT』は、快適性や疲れにくさがクローズアップされがちで、「ユーザーの年齢層が高いロングツアラー」といった従来のBMW製バイクの固定イメージを打破。ファッショナブルかつクラシカルなデザイン、自由に愉しめるカスタム、タウンユース向きのサイズ感により、若いライダーの支持も獲得し、スポーツクラシックのジャンルに確固たる存在感を示した。

この『R nineT』の進化版といえるのが、『R nineTピュア』と『R nineTレーサー』だ。

『R nineTピュア』は、極限まで無駄を削ぎ落とし、1970〜1980 年代の伝説のロードスターを彷彿とさせるモデル。『R nineTレーサー』は、初期スーパーバイク時代のレースマシンに重なる流線的フォルムが特徴だ。ともにベースモデルの個性を生かしつつ、よりオールドライクにシフトし、レーシーからカジュアルまで、どんなスタイルでもマッチする1台となっている。

極限まで贅肉を削ぎ落として随所にソリッドな見どころを配した『R nineTピュア』

『R nineTピュア』は、その名の通り、徹底的に無駄をなくして走りとカスタマイズ性を純粋に追求。アルミキャストホイールやシートスチールタンクのほか、取り外し可能なパッセンジャー用セカンダリーフレームを装備し、精密鋳造部品の代わりに鍛造部品を採用している。

しかし、贅肉はなくても、要所にソリッドな見どころが配され、プレーンスタイルでも魅力は十分だ。もちろん、『R nineTピュア』がその真価を発揮するのは自分好みにカスタマイズしてからとなるが…。適度にシェイプされたシートによって見た目以上に足つきが良いのも特徴だろう。

プライスは、同クラスでは比較的リーズナブルな167万円(税込み)。BMWのアイコンであるボクサーツインエンジンを味わうエントリーモデルとしても最適だ。

1980年代後半の「スーパーバイク」マシンのようなルックスの『R nineTレーサー』

『R nineTレーサー』は、1980年代後半の「スーパーバイク」マシンからDNAを継承したかのような塗装が施されたハーフフェアリングとスチールタンクを採用。セパレートハンドルやシートが低めに設定され、渋いバッククステップも有する。そのため、ライディングポジションはレースマシンと同様に前傾だ。

また、『R nineT』シリーズでは初となるASC(オートマチック・スタビリティ・コトロール)を標準装備。それにより、安定感のある走りを容易に愉しめる。

インパクトあるロケットカウル、スポーティなフレームワーク…と、ヴィンテージ志向の強い大人のライダーを魅了する要素たっぷりにもかかわらず、『R nineTレーサー』の価格は183万円(税込み)。後のカスタム費用を考慮しても、なお買い得な印象が強い。
BMWモトラッドの2台の新しいヘリテージモデルは、デザイン面だけではなく、フレームの一部やホイールもアップデートされ、ライディングの最適化もされている。従来のBMWとはテイストを異にする存在ながら、モータサイクルの大御所らしい配慮や計算が随所に見受けられ、きっとビギナーからベテランまで満足させることだろう。むしろ、ヘリテージゆえのラギットな匂いや気取らなさが、“今のムード”にうまくハマるかもしれない。

Text by Sachio Kanai

Photo by BMW Motorrad Japan