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GT-Rトラックエディション――通人の心を擽るクルマ

「世界の名だたるスーパースポーツと互角に渡り合える日本車」。国産スポーツカーのなかでも、この表現がふさわしいクルマは2台しかない。ひとつは2016年に10年ぶりに復活した2代目『NSX』。そして、もうひとつが2007年に「スカイライン」の名と決別し、新たな最強伝説をスタートさせた『GT-R』だ。2017年モデルの『GT-R』は発売以来の最大規模となる進化を遂げたが、このうち、通好みかつ屈指の人気を誇るグレードが4月のニューヨークモーターショーで北米デビューを果たした。それが『GT-Rトラックエディション』である。

『GT-Rトラックエディション』は、標準仕様とNISMO仕様の間の溝を埋めるグレード

2017年モデルの『GT-R』には5つのグレードが存在する。まず標準仕様となるのが、「GT-R Pure edition(ピュアエディション)」「GT-R Black edition(ブラックエディション)」「GT-R Premium edition(プレミアムエディション)」の3車種だ。

この3つは内装や装備がそれぞれ異なるが、基本性能はどれも変わらない。スーパースポーツとはいえ、快適な乗り心地が強く意識されているモデルだ。ただし、搭載されるパワーユニットは3.8L V6ツインターボエンジンで、最大出力565ps/6800rpm、最大トルクは467lb-ft/3300-5800rpmを発生。ここに改良型6速デュアルクラッチトランスミッションを組み合わせる。

一方、日産のワークスチームでもある「NISMO(ニスモ)」が開発し、パフォーマンス的にも価格的にも『GT-R』シリーズの頂点に君臨するのが『GT-R NISMO』だ。ボディ剛性を高めると同時に、足回りは標準モデルが採用しているモード設定型電子制御式のショックアブソーバーをNISMOモデル向けにチューニング。GT3 選手権で使用する高流量・大口径のツインターボチャージャーを搭載した3.8L V6ツインターボエンジンは、最高出力600psを誇る。

2017年4月のニューヨークモーターショーで、世界最大の自動車市場である北米デビューを果たした『GT-Rトラックエディション』は、このNISMO仕様と標準仕様の間の溝を埋めるグレードである。日本国内では2016年から発売されており、こちらには『GT-Rトラックエディションengineered by nismo(エンジニアード バイ ニスモ)』の名がつけられている。

『GT-R NISMO』よりも500万円安い「標準仕様モデルの皮を被ったNISMO仕様モデル」

『GT-Rトラックエディション』をひと言で表現するなら、「標準仕様の皮を被ったNISMO仕様」。エンジンこそ標準仕様と同じ565psの3.8L V6ツインターボエンジンだが、それ以外のさまざまな部分で『GT-R NISMO』と共通の部品や装備が使用されている。

ボディは構造用接着剤で剛性を高めたNISMOによる専用の強化車体で、路面状況や走行条件に対してダンパーがより硬質な減衰力を発揮するサスペンションも『GT-R NISMO』と同様にNISMOがチューニングを手がけたもの。ほかにも、NISMO製20インチ鍛造アルミホイール、タイヤ、レカロ製シート、拡幅フロントフェンダー、拡幅フロントプロテクターなども備えており、もはやスペシャルモデルといってもいい趣だ。

ただし、北米仕様の『GT-Rトラックエディション』はリアスポイラーがドライカーボン製に変更されるなど、日本仕様とは微妙に違う部分もある。
じつは、『GT-Rトラックエディション』は、『GT-R』シリーズ全体で売り上げの約3分の1を占めるほど人気が高いグレードだという。一見すると標準仕様のようにも見えながら、その中身は限りなくNISMO仕様に近い…。これが通人の心を擽るうえ、価格は『GT-R NISMO』に比べて約500万円安いなど、極めてお買い得感が高いからである。

ちなみに、標準仕様の「GT-Rプレミアムエディション」の価格は1058万円で、『GT-R NISMO』は1870万200円。そして、『GT-Rトラックエディションengineered by nismo』は1369万9800円(いずれもメーカー希望小売価格、税込み)。北米仕様の『GT-Rトラックエディション』は2017年夏からアメリカのGT-R認定ディーラーで受注が開始される。

Text by Kenzo Maya

Photo by (C)Nissan USA