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ジュネーブショー2017――夢のコンセプトモデルたち

最先端のテクノロジーとデザインを用いたコンセプトカーは、各自動車メーカーがこの先に実現しようとしている世界観、いわば将来戦略を示唆するモーターショーの華といえるもの。それはスーパーカーの祭典であるジュネーブモーターショーも例外ではない。3月9日から3月19日にかけて開催されたジュネーブモーターショー2017でも、市販化を前提にしたモデルから夢のクルマまで、数多くのコンセプトカーが発表された。そのなかから「注目のコンセプトカー3モデル」を紹介しよう。

「ラグジュアリーセグメントのEV」を表現したベントレーの『EXP12スピード6e』

ベントレーが発表した『EXP12スピード6e』は、同社が確立しようとしている「ラグジュアリーセグメントのEV(電気自動車)」を表現したコンセプトカーだ。

『EXP12スピード6e』は2シーターのオープンモデル。ケーブル接続の必要ない非接触充電を採用し、1回の充電でロンドンからパリ、あるいはミラノからモナコへの無充電走行が可能だという。ベントレーの顧客である富裕層の「ロングドライブのニーズ」を満たす航続距離の確保こそが、このクルマに込められたビジョンである。

エクステリアでは、ブランドの象徴であるメッシュグリルを3Dで形作り、走行中はこのグリルに「6e」のロゴが白色で点灯する。しかし、それよりも目を奪われるのは、最先端技術と最高級素材が融合したインテリアだ。

センタートンネルはガラス板の削り出しで、高解像度OLEDディスプレイを包み込むようにデザイン。このパネルからすべてのインフォテイメント機能にアクセスできる。その下に配されたドライブモードのセレクトスイッチは、まるでスイス製の高級時計のように美しい仕上がりだ。ステアリングは10時と2時のポジションで切り取られ、その左右頂点にはそれぞれ「瞬時にパワーを上げる」「都市部などで速度を制限する」という2つのボタンが装備されている。

ベントレー・モーターズいわく、「このコンセプトカーで富裕層のお客様の注目を集め、我々の取り組みに対するフィードバックを得たいと考えています」という。すでにベントレーは全ラインナップにPHEV(プラグインハイブリッド)モデルを導入する方針を打ち出しているが、『EXP12スピード6e』は、その先のベントレーの姿を表現したコンセプトカーといえる。

完全自動運転を目指すプジョーのPHEVコンセプトカー『インスティンクト コンセプト』

プジョーは2025年までの完全自動運転の実現を見据えているが、同社がジュネーブモーターショーで公開した『インスティンクト コンセプト』は、その完全自動運転に対応したPHEVのコンセプトカー。掲げられたキーワードは、「自由」だ。

『インスティンクト コンセプト』の走行モードは、自動運転の「Autonomous」とドライバー自らがハンドルを握って運転する「Drive」。さらに、自動運転では快適性を重視した「ソフト」とより走りを愉しめる「シャープ」、通常の走行でも「リラックス」「ブースト」と、それぞれ2種類のモードが用意される。運転をクルマに任せるのも自分で行うのも、その際の感覚や動きも、すべて自由。『インスティンクト コンセプト』はこうした自由を形にしたコンセプトカーなのである。

エクステリアでは、前後ドアが観音開きとなるシューティングブレークのプロポーションが特徴的だ。このドアを開くと現れるインテリアは、まさに未来の空間。自動運転モード時にはステアリングがダッシュボードに格納されるほか、ペダルも床に収められ、運転席も快適でくつろげる空間となる。

また、『インスティンクト コンセプト』は、クルマに組み込まれたIoTの機能により、スマートフォン、スマートウォッチ、ホームオートメーションなどのデータを取り入れることが可能という。こうしたシームレスな使い方の提案も、コンセプトカーらしい部分だ。

ポルシェ『パナメーラ』に挑むメルセデスAMGの4ドアスポーツクーペ『GTコンセプト』

メルセデス・ベンツにとって、2017年はAMG創立50周年というメモリアルイヤーにあたる。その記念事業のひとつとして開発されたのが、ジュネーブモーターショーで公開したメルセデスAMG『GTコンセプト』だ。フラッグシップスポーツ『GT』から派生した4ドアスポーツクーペのコンセプトカーである。

ほかのコンセプトカーと異なるのは、このクルマが『SLS AMG』、そして『AMG GT』シリーズに続く、AMG独自開発の「3番目のモデル」として市販化することを明確に予告している点だろう。

パワートレインは、メルセデスAMG初となる4.0L V8ツインターボエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッド方式。後輪を電気モーターでも駆動することで、コーナリング時のトルクベクタリングも可能という。エンジンとモーターを合わせたシステム出力は800psを超え、0-100km/h加速はスーパーカー並みの3秒以下とされている。

エクステリアでは、最強モデルの『AMG GT R』と同様に、フロントグリルに15枚のクロームフィンを縦に配置した「パナメリカーナグリル」を採用。しかし、フロントミッドからリアにかけて大きく弧を描くルーフはこれまでのメルセデスAMGにはないものだ。サイドを見るとミラーがなく、その代わりに小型のカメラが装備されている。詳細は不明だが、これは映像を室内に表示するシステムに間違いないだろう。

あくまでもコンセプトカーとして公開された『GTコンセプト』だが、スタイリングは次に登場するAMGの独自モデルに継承される。その量産モデルはポルシェ『パナメーラ』に真っ向勝負を挑むべく、今後2年以内に発売される見通しだ。
自動車メーカーがコンセプトカーで将来戦略を示し、見る者たちがクルマの未来に思いをめぐらすことができるのもモーターショーの魅力のひとつ。とはいえ、これだけの錚々たるブランドが一斉にコンセプトカーを公開するのはジュネーブモーターショーならではのものだ。2018年春のジュネーブでは、どのような夢のクルマが登場するのだろうか。

Text by Tetsuya Abe

Photo by (C)Daimler AG (C)Peugeot S.A. (C)gims.swiss