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- スーパーカーブランド【ベントレー】 -

ムーンクラウドエディション―—月夜に映えるベントレー

「月夜に映えるクルマを作ってほしい」。もし上顧客からこんなオーダーを受けたなら、各高級車メーカーはどのようなクルマに仕上げるだろうか。ベントレーの答えは、ベースはセダンではなくクーペの『コンチネンタルGT V8S』、エクステリアカラーはブラックとシルバーのデュオトーン、インテリアには黒のレザーにピアノブラックのウッドを組み合わせるというもの。ベントレー英国本社のビスポーク部門「マリナー」が手がけた『コンチネンタルGT V8 S ムーンクラウド エディション』は、「月夜に映えるクルマ」をコンセプトに日本だけで12台が販売される限定モデルだ。日本の水墨画の繊細さからヒントを得たかのようなモノトーンの内外装に、「Klein Blue(クラインブルー)」の差し色が光る。

クーペ初のデュオトーンカラーを採用した『コンチネンタルGT V8 S』の特別仕様車

ロールスロイスの「ビスポーク」、ポルシェの「ポルシェエクスクルーシブ」、フェラーリの「テーラーメイド」、さらにアストンマーチン、ジャガー・ランドローバー…と、欧州のラグジュアリーカーブランドでは近年、上顧客のスペシャルオーダーによる「特別な1台」の製作が盛んに行なわれている。

ベントレーの「Mulliner(マリナー)」も、そうした注文製作モデルや限定モデルを作るエクスクルーシブなビスポーク部門だ。2002年には、英国のエリザベス女王のために『ステートリムジン』を製作している。このマリナーが日本市場向けに特別生産したのが、528psを発生する4.0L V8ターボエンジンを搭載した『コンチネンタルGT V8 S』をベースとする「ムーンクラウド エディション」である。

ボディカラーに採用されたのは、漆黒の闇をあらわす「オニキス」というブラック、そして闇に浮かび上がる雲のような「ムーンビーム」という名のシルバーによる「デュオトーン」だ。2色構成となるこのデュオトーンは、これまで『フライングスパー』『ミュルザンヌ』といった4ドアサルーンにしか提供されていなかったコンビカラー手法で、クーペモデルでは初めての採用となる。

また、通常モデルの『コンチネンタルGT V8 S』ではオプションとなる21インチホイールもダークカラー仕上げでコーディネートされた。当然、これも「月夜に映えるクルマ」をより意識したものだろう。

ヒドン・デライト仕様で“青”が浮かび上がる「ムーンクラウド エディション」の内装

インテリアには、「ベルーガ」という黒のレザーにピアノブラックのウッドパネルが配された。華を添えるのは、助手席側のピアノブラックパネルに施された真珠白色と現代的なグレーを組み合わせたジオメトリック細工。そこに月明かりを受けて青白く光る雲のような「クラインブルー」がアクセントとして入る。

このクラインブルーは、ヘッドレストの「Mulliner」の刺繍、ステアリングやドアトリム、シート、センターコンソールのステッチ、スイス機械式クロノグラフメーカー「Breitling(ブライトリング)」のアウターフェイスベゼル、フロアマットのパイピング…と、いたるところで目にすることができる。

さらに、アームレスト、クラフトウッドケース、グローブボックスの内側など、隠れたところもクラインブルー仕上げだ。これは『ミュルザンヌ』のみに設定されてきた「ヒドン・デライト」と呼ばれるインテリアの仕様である。
ブラック、シルバー、クラインブルーは、漆黒の夜空に浮かぶ銀色の月、そしてうっすらと青みが感じられる月夜に浮かぶ雲をイメージしたもの。日本市場向けの限定モデルだけに、日本の伝統風景によく馴染むベントレーといえるだろう。

価格はベースの『コンチネンタルGT V8 S』から100万円アップの2410万円。ベントレーに「お得」という言葉は似合わないが、これだけの特別仕様と限定12台という希少性を考えれば、バーゲンプライスともいえる。もし叶うのなら、ベントレーのビスポーク部門が手がけたスペシャルクーペで月夜のクルージングをしてみたいものである。

Text by Taichi Akasaka