フェラーリ,Ferrari
- スーパーカーブランド【フェラーリ】 -

オートクチュールのような跳ね馬 フェラーリ限定モデル

高級スポーツカーメーカーのフェラーリで、通常のラインナップとは別に作られた、オートクチュールのようなモデルの4台を取り上げている本企画だが、今回は、メーカー側が用意した限定生産のフオーリ・セリエの2台を紹介する。最新テクノロジーを駆使した「FXX K」と老舗デザイン会社が作り上げた「セルジョ」だ。

フェラーリは12月2日、「FXX K」を発表した。このクルマは、いわゆるスペチャーレと呼ばれる同社の超高性能限定車両「ラフェラーリ(通称LaF)」をベースにサーキット走行に特化させたモデルで、生産台数は40台未満と伝えられている。 フェラーリ,Ferrari FXX KとLaFでは、まずボディワークの違いに気付くだろう。フロントはヘッドライトが省略されて小さなLEDライトに置き換えられたため印象が大きく変わった。フロントのスポイラーは二重の構造になっており、その両端には垂直のフィンが備わる。リアはフロント以上に大きくリデザインされており、左右に追加された片持ちのウィングが目を引く。テールライトはLaFの伝統的な丸型から可変ウィング端に付いたLEDライトのみになった。ディフューザーは大型化され、その効果を高めるためにさらに後ろまで伸ばされている。これらによって、FXX Kは200km/hでの走行時に540kgという巨大なダウンフォースを生じさせる。 フェラーリ,Ferrari またパワーユニットには、LaFと同様に6292ccのV型12気筒エンジンと、ブレーキング時の運動エネルギーを回生しモーターアシストとして出力する「HY-KERS」システムを搭載するが、サーキット走行専用とあってその性能はさらに過激に仕立てなおされた。出力はエンジンの860馬力とモーターの190馬力を合計して1050馬力に達し、これはLaFの963馬力と比べてもおよそ10%の出力向上となっている。 公道走行に必要な意匠とは決別し、さらにいかなるレーシング・レギュレーションにも縛られないFXX Kというクルマは、60年以上もの間F1の世界で戦い続け、GTやプロトタイプレースにも参戦してきたフェラーリというメーカーが描いた、サーキット専用のフオーリ・セリエといえるだろう。 フェラーリ,Ferrari 今年誕生したフオーリ・セリエ、最後はイタリアの老舗デザイン会社、ピニンファリーナによって6台だけが世に出される「セルジョ」だ。このクルマはフェラーリの458スパイダーがベースになっている。フロントの左右のヘッドライトがつながったようなデザイン、前後フードとサイドパネル、フロントのスポイラーが黒く塗られたツートーンのカラーリングなど、ベースとなった458スパイダーとはデザインが大きく異なる。 フェラーリ,Ferrari このセルジョには、デザインのもとになったクルマが存在する。2013年のジュネーブ・ショーで、フェラーリとピニンファリーナの60周年におよぶコラボレーションを記念してデザインされ発表された同名のコンセプトカーだ。その名前はピニンファリーナ創業者の息子で、40年に渡って同社を率い、2012年にこの世を去ったセルジョ・ピニンファリーナに敬意を表すかたちで付けられた。このコンセプトカーは、両社の歴史の中で最も華やかであった時代のひとつ、1950年代のスポーツレーシングカーたちをイメージして、バルケッタ(伊語で小舟)と呼ばれるオープン2シーターになっている。前回、紹介した250テスタロッサも同年代のバルケッタ・タイプのスポーツレーシングカーだ。 フェラーリ,Ferrari このコンセプトカーを現実のモデルとしてリデザインしたのが今年発表されたセルジョというワケだ。実際の公道走行のため、至る所でデザインが現実的なものに修正され、コンセプトカーには関係なかった法規にも当然適合させている。またエンジンは当初想定していたものよりさらにハイスペックな、458スペチャーレAと同じの605馬力エンジンが搭載されているという。デザイン会社が量産車(といってもフェラーリの生産台数も充分少ないのだが)をベースにごく少数の特別デザインモデルを造るという、このピニンファリーナのセルジョは、まさに昔ながらのフオーリ・セリエの手法といえるだろう。 来年はどんなクルマで私たちを魅了してくれるのだろうか。2014年の4台を振り返りながら、2015年にも期待したい。

Text by Koyo Ono